──なるほど。寺田さんたちの時代は媒体がたくさんあったじゃないですか。でも、EYEちゃんたちって媒体が少なくなっていますよね。
寺田音楽番組もないしね〜。
──そう。だから、寺田さんたちが経験した苦しみとはまた違う苦しみがあると思うんです。
EYE本当にそうなんです。メジャーデビューする頃には知ってる雑誌もどんどん消えていってたので。しかも今の人たちって雑誌を買わないじゃないですか。WEBマガジンとかもありますし、お金かけずに情報得られちゃうから。自分も雑誌って買わない世代なんですよ。好きで追っかけてるバンドしか買わないって風潮があったから。じゃあどうしたらいいんだろう?って考えたら、メジャーデビューして宣伝打ってもらうじゃなくて、結局ネットとかで自力で頑張るしかないみたいな。見てくれる人たちに拡散してもらうとかして。だから、逆に今はカッコつけてられないみたいのがあるんで、素の部分でギャップを狙っていったりとか。
──動画とかでね。
EYEそう。この間のツアーのときにレクチャー動画を出したんですけど(笑)。グッズを使って、めちゃくちゃゆるいどうしようもないような動画を上げたりはしたんですよ。ああいうのとかもどんどん広まっていったらいいなっていう1本目だったんです。メジャーに行ってからレコーディング環境などはプロ仕様に変わりましたけど、ほかに何が違うのって聞かれると、今はメジャーとインディーズがあんまり変わらないっていうのはそういうことなのかなって思ったり。
寺田本当に今と昔で言うとさ、昔はデビューするのが大変だったけど、今は好きな音楽でデビューとかCDを出すことが可能な時代になってるじゃない。でも、じゃあCDは売れるのかって言われたらCDが売れない時代に突入しちゃってるし、じゃあミュージシャンってどうしたらいいの?っていう感じになっちゃうよね。ライヴとかやればいいのかって言ったら、ライヴは知ってもらうために大事かもしれないけど、一生懸命書いた楽曲を買ってもらわないと、“24時間とか1ヵ月寝ないで書いた!でも一銭にもならない!”みたいな話だもんね〜。まぁ、なんか夢のない話になっちゃうけど、今の時代って本当にそうだなって思うよ。
EYE悲しいですよね。
寺田そうやって考えると、今の子たちは自分たちがやりたいことをやりやすい環境ではあるんだけど、それを続けていくのが厳しい時代に突入してるって思うよね。まだ雑誌があるときだけど、売れてる人しか雑誌やテレビに出られないとかだったじゃない。私ね、その頃から、もうこれからはネットの時代になるから、ホームページを早く立ち上げようって言ったの。業界の中では早く立ち上げてる方なんじゃないかな。まだ、メールとかをみんなが持っていないときからやり始めたからね。事務所にこれからネットの時代が来るから勉強してって言って、うちの事務所のデスクの子がホームページの作り方を全部勉強して、最低限ここからは発信できるっていうのを作ったんだよね。でも、今は情報過多になってるから、興味があるものしかないからね。
EYEそうなんですよね。情報多すぎますよね。だから、見てる側はお金をかけないし、好きなものだけを見てる。ライヴハウスに足を運ぶとか、自分からネットサーフィンして探すってほぼないですからね。ホームページまでたどり着くのか?これって感じですもんね。まず名前知ってもらってなかったら検索もできないですし。今、うちはそれを悩んでます(笑)
──始めやすいし、自分たちの理想の形は作りやすいけど、ここからどうしようってところで続かないんですよね。
EYEそうなんですよね。そんな中、<NAONのYAON>に出させていただいて、フォロワー数とかネットの数字で見られるものは格段に大きくなりましたね。<NAONのYAON>ってすごいなってみんなで感動したんです。
寺田ほんと!?よかった!
EYEお世話になってます!
寺田お世話してまーす!
EYE出させてもらうたびに、素晴らしいイベントだなって思います。
──実際に見て、おお!ってなれば検索するもんね。ライヴってやっぱりすごいんだなって感じますよね。
寺田そうなんだよね〜。視覚で入って来る印象と、耳だけで聴くのとは全然違うから。まずは本当にライヴを観てほしいんだよね。でも、今はバンドの数も飽和状態なのかなって感じはするよね〜。すんごい多いじゃん。
EYEそうですね。でもロック系ってそんなにいなくないですか?今、アイドルとかダンスグループの方が多い気がします。バンドもなんていうのかな、純粋なロックバンドがいなくなっちゃった気がします。
寺田たしかにね。そうなんだよ。ロックはいないんだよ。
EYE爽やか系のバンドさんはけっこういますけどね。
寺田でも、SHOW−YAのときも割とそうだったよ。PRINCESS PRINCESSが売れてくれたから、しょっちゅう比較されていたしね(笑)
──天使と悪魔みたいにね。
寺田そうそうそう(笑)。ほんと、そう。PRINCESS PRINCESSはいい子たち、私たちは悪い子たちみたいな感じで取り上げてもらえてたから、メディアに取り上げてもらう機会があったんだけど、今みたいにこんだけバンドがいっぱいいると、どこを中心にするのかわかりにくくなってるっていうのもある。ハードロックっていうジャンルがそんなに受け入れられない土壌ではなくなってるとは思うんだけど、やっぱり難しいところもあるのかなって思うよね。
──コアなんですかね?
寺田どうなんだろうね?でも、コアじゃなくなってたはずなんだけどね。
EYEそうなんですよね。
──私も昔からハードロックが好きなので、そんなにコアなイメージはなくて、自分の中ではど真ん中なんですけど、一般的にはまだやっぱり市民権は得られていないのかなと。
寺田時代って言っちゃうとダメなんですけど、時代を覆すぐらいの勢いがないとダメなんだとは思うんだよね。その時代に必要な音楽だったり、トレンドのサイクルの中で、たまたまロックが必要とされてた時に出られるっていうのも大きいのかなって思うのね。私たちのときはロックシーンのあとにTKサウンドが流行って、私みたいな声は必要ないと思われたから。自分が変わったわけじゃなくて、時代が変わっていくから、その中に居場所があるかないかっていうのも大きいのかなって思うよね。でも、ハードロックとかをやってたりとか、聴いてたりすると元気になれるから、今の時代に必要なんじゃないのって思ったりするんだけどね。いろんなことがあって元気がなかったりとか大変な思いをしてる人たちがいる中で、パワーを分けてあげられるみたいな。“大丈夫かい”っていうのはポップスの方とかがやってくれればいいんですけど、“お前ら〜!”みたいなのは、私たちがやってあげられたらなって思うんだよね。
EYE分かります!ロックってストレス発散の方ですよね。どちらかと言うと、パーっと。気を遣う世の中じゃないですか、今って(笑)。そういうのを吹き飛ばす力がハードロックにはあると思うんですよね。このジャンルじゃないとできないってのはありますよね。ウジウジしてないで、もう1回盛り上がりましょうか!ってなる感じというか。