ハナレグミとフジファブリックによるスペシャルユニット“ハナレフジ”が全国5箇所6公演に及ぶ1stツアー「ハナレフジ LIVE TOUR “宝船” 〜僕らはすでに持ちあわせている〜」を開催する。かねてより対バンライブなどで共演してきた二組が、ツーマンではなく、フジファブリックのサポートドラマーであるBOBOも加えた5人で鳴らしたい音とはどんなものなのか。新バンド結成の経緯、お互いの印象、全国ツアーへの意気込み、そして、ツアータイトルに記されている「持ちあわせているもの」とは。
いろんな音楽に向き合う力を持ってる、表現できる人たち(永積)
こういう音楽の人って文字にしづらい、全身音楽だって感じてて(山内)
──改めて、スペシャルユニット結成の経緯からおうかがいできますか。
山内総一郎(フジファブリック/Vo,G)フジファブリックの2マンイベント『フジフレンドパーク2017』(2017年7月@Zepp Diver City(TOKYO))に永積くんに出演していただいた時に、バンドがフジファブリックで、ハナレグミをやったんです。そこが一番のきっかけですね。打ち上げでもっとやりたかったっていう話で盛り上がって、年末のフェスでもう一度それをやって。
──永積さんはその時にもう「今日はハナレフジです」ってMCをしてるんですよね。関係者に配られたセットリストでは「ハナレグミwithフジファブリック」となっていたんですが。
永積 崇(ハナレグミ)あ、そうだっけ(笑)。よく憶えてるな~。ま、すでに持ちあわせてたんですね(笑)。そういうことです(笑)。だから、あらたまって結成したっていうよりかは、僕は最初に共演した『フジフジ富士Q』(2010年7月@富士急ハイランド・コニファーフォレスト)の時に、本当に上手いっていうか、音楽的素養がすごい人たちだなって思って。ザ・バンドのように、いろんな音楽に向き合う力を持ってるっていうか、表現できる人たちだなって思ったのね。で、前からバンドの上で自分の曲を一緒にやってもらうっていうのに興味があって。そしたらちょうどフジフレンドパークがあって。いろいろアイディア出し合って構成考えたりして。そしたら打ち上げで、自分が普段やってるようなマイク1本で演奏するとか、共鳴してくれて。なんかうれしかったんだよね。
山内マイク1本でやりましたね。マイク1本に集まって、生音をマイク1本で拾って。普段のライヴではなかなかできないんですけど、そういう環境で録音したりとか、楽器を演奏したりするのが好きだったし、それが大きなライヴハウスでできたっていう。もしかしてこれはまだまだ追求できるんじゃないかっていう気持ちになったんですよね。
金澤ダイスケ(フジファブリック/Key)1個1個がとても有機的な感じで、決まりがない感じがとても良かったね。
加藤慎一(フジファブリック/B)あの時は永積くんが弾き語りで1曲やったあと入るっていう感じだったから、本当に我々はリスナーになってしまって、そのまま次の曲を期待してしまうみたいな(笑)。演奏してるんですけど、歌を聴いちゃうんですよね、永積くんの。危ない危ない!ってなって(笑)。やりながらリスナーになっちゃうっていう。
山内あれは危ないね(笑)。
──(笑)もともとはレーベルメイトでデビュー当時から交流もありましたよね。
永積池ちゃん(レキシ)がね、ダイちゃんと近くて。で、僕は鈴木惣一朗さんにプロデュースをしてもらってた時に、総くんも惣一朗さんと近くて。その時に会ったりしてて。あと、ライヴは……。
──2007年3月にZepp Tokyoで開催された「倶楽部AKANEIRO vol.6」で対バンしてますね。
山内その時は永積くん、弾き語りだったかな。そこから『フジフジ富士Q』(2010)があって、『フレンドパーク』(2017)があって。
永積その間に『LIVE OASIS』(2016年9月@EXシアター)でも対バンしてるよね。その時は、僕はバンドで出てて。
山内ああ、そうですね。あれもけっこうきっかけですね。
永積そのあと、総くんには、『トーキョー・ギター・ジャンボリー』(2017年3月)でも飛び入りでギター弾いてもらって……いろいろやってるね!(笑)
ひとつのことをバンドでやる時とは違う形に進んだりするのが面白い(金澤)
新しい刺激というか、そういうのをお互いしあえてる感じがします(加藤)
──(笑)お互いにとってはどんな存在って言ったらいいですか?
永積僕はね、普段の自分の音楽でもそうだけど、なんとかバンドになりたいんです。スーパーバタードッグをやってたこともそうだけど、ハナレグミでも、いわゆるサポートメンバーっていうことじゃなくて、バンドになりたい。そういう意味で、フジファブリックの3人とやると、バンドにしてもらえるんですよね。なかなかそういう気持ちにさせてもらえることってないから。
山内塊みたいなね。
永積うん。やっぱりバンドって、信じてるものがあるじゃないですか。それが何とは言えないけど、だからこそ強く弾ききれる音が出せるんだと思う。それはなかなかバンドでないと出ないスピード感っていうのがあって。そういうことをあらためて感じたんですよね。なんか真面目に答えてるけど(笑)。
山内あはははは。永積くんは、まず、先輩っていうのもあるんですけど、本当に、こういう音楽の人って文字にしづらいくらい、全身音楽だって感じてて。無理のない永積 崇さんっていう音をいかなる状況でも奏でられるミュージシャンなんですよね。僕もこうでありたいっていうふうに憧れる存在であるので、一緒に演奏してて、自分たちの変な緊張を解いてくれる人ですね。普通にやりゃあいんだよ~って(笑)。そういう存在ですね。
加藤普段のバンドにプラスされる新しい刺激というか、そういうのをお互いしあえてる感じがしますね。
金澤とっても反射神経が速いので、永積くんは。だからひとつのことをバンドでやる時とは違う形に進んだりするのが面白いなって。
山内空間のとらえ方が面白いんですよね。ライヴハウスでも野外でも部屋でもスタジオでも、そこにどんな音が漂ってるかみたいなことにたいして鼻が利く人っていうか(笑)。
金澤犬みたい(笑)。
永積あはははははは。
山内それをどうしたいかっていうことが感覚的にある人なので、それはすごく共感できるっていうか。やっぱ音楽ってそうだよねってことを感じさせてくれる人だなって思うんですよね。だからマイク1本っていうアイディアが出てくるし、オーディエンスの人たちがもしかしたら感じたことがないかもしれないことを提供したいっていうふうに考えてて。もっと自分たちがやってる音楽は敷居が低いんだよ、素晴らしいんだよっていうことを表現したいっていうか。まあ、そんな堅苦しくないんですけど、観に来てくれる人に感じてもらいたいっていうのは思ってるんじゃないかなって。
永積うれしいです!としか言えないです(笑)。でも3人はその両方を持ってるよなって思う。音楽も洗練されてるし、瞬発的なセッションみたいなものにもすごく反応するし。どっちにも行けるってすごいなって。俺はもう身ひとつみたいなところがあるから(笑)。
山内それが素晴らしいよ。
永積でもそのグラデーションが出たら面白いなって思うんだよね、今回のツアーで。いろんな入口があっていいんじゃないかなっていうか。それは自分の音楽をとおして、また新しいものにオーディエンスの人たちに出会ってもらいたいっていう感じもあるし。