──<スター・ウォーズ in コンサート JAPAN TOUR 2018>の公演詳細をよく見ると、上演の間に休憩が入ってますよね? これはどのような理由からなのでしょうか?
岩崎『スター・ウォーズ』に限らず、<シネマ・コンサート>では作品の途中で必ず休憩が入ります。そこは通常のクラシックのコンサートと同じですね。もちろん、ちょうどいいシーンを考え抜いて休憩を入れているので、感動が削がれるようなことはないので安心してください。
飯島基本的に、映画のスコアというものはパートごとにスタジオでレコーディングされているものですよね。つまり、映画音楽の作曲者は、丸ごと一本通して演奏できるようなものとしては作っていないわけです。それを全部一気に演奏するというのは、オーケストラにとって相当大きな負担がかかることなんです。
岩崎作品によって違いますけど、『スター・ウォーズ』は特に音楽のないシーンが少ないので大変です(笑)。
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒 in コンサート』2017年10月15日 Bunkamura オーチャードホール 他
──そう考えると、あっという間に売り切れてしまいましたが、初期三部作:『新たなる希望』と『帝国の逆襲』と『ジェダイの帰還』を一挙に上演する7月29日の東京オペラシティでのコンサートは、観客も覚悟して臨まないといけませんが、出演者にとってもとんでもなく負担がかかることをやるわけですね。
飯島だから世界初なんです(笑)。
岩崎こんなムチャなことを考える人は飯島さん以外に他にいないです(笑)。
──(笑)。他に、『スター・ウォーズ』ならではの聴きどころはどこになりますか?
岩崎これはジョン・ウィリアムズという作曲家の素晴らしいところですが、楽曲の構成が本当にしっかりしているんですよ。物語の転換やキャラクターごとにいくつものテーマがあって、それがいろんな場所に隠れていたり、かたちを変えて出てくるっていう。それって、完全にクラシックの楽曲と同じで、オペラの音楽にも非常に近いんですよ。そういう点でも、奏者の演奏意欲も非常にくすぐられる作品なんですね。
それ以前に、奏者にも『スター・ウォーズ』のファンは多いので、「このエピソードは大好きだから絶対にやりたい!」と言われるようなこともとても多いんですけどね(笑)。
それ以前に、奏者にも『スター・ウォーズ』のファンは多いので、「このエピソードは大好きだから絶対にやりたい!」と言われるようなこともとても多いんですけどね(笑)。
飯島それと、やっぱり『スター・ウォーズ』は、冒頭のあのテーマ曲を生のオーケストラで演奏する、生のオーケストラで聴くという、その瞬間に押し寄せてくる感動ですよね。あの鳥肌が立つような感覚は、一度体験しないとわからないと思います。
──もしかしたら一般の人の中には、<シネマ・コンサート>というのは、その映画の名場面の映像に合わせて、有名なテーマ曲をダイジェスト的に演奏するものだと思っている人も多いかもしれません。今日お二人からお話を訊いて、<シネマ・コンサート>というエンターテインメントのフォーマットが、映画ファンにとっても音楽ファンにとっても興味深い、いかに新しい体験であるかがよくわかりました。
飯島そこは、実際によく誤解されるところなんですよね。なので、<シネマ・コンサート>というものをより日本で定着させるべく、これからも継続的におこなって、その素晴らしさをできるだけ多くの人に広めていきたいと思っています。これまで自分たちがやってきた『スター・ウォーズ』や『ゴッドファーザー』や『タイタニック』や『ラ・ラ・ランド』は、海外で上演されてきたものを日本にもってきたわけですが、9月に上演する<ニュー・シネマ・パラダイス シネマ・コンサート>は、こちらから海外の権利元と交渉をして実現したもので、日本が完全な世界初上演となるんです。今後も、どのような作品が観客に求められているのかを綿密にリサーチしつつ、このような新しい試みを実現させていきたいと思っています。