「ワンダーラスト」(映画『虹色デイズ』エンディング・テーマ)は映画を観て、100%映画の内容に寄り添って歌詞もオケも作ってるんだよね。学生にとって学校は世界のすべてだし、そこで起きた不幸せは世界の終わりだし、幸せは世界平和になる。ああいうキラキラした映画が苦手な人もいるだろうけど、彼らは彼らの世界で懸命にあがいて、ぶつかって愛し合って生きてる。そういう映画のイメージや印象を自分なりに飛躍させて、自分の世界観でどう寄り添えるか?っていうところで作ったのが「ワンダーラスト」。で、その反動で作ったのが「Playground」。楽しいこと以外は全部フタをして、楽しいことだけをしていたいという願望、だよね。広い世界に目を向けず、物理的にも精神的にも閉じこもろうとしてるし、好きなものだけを求める束の間の時間にしがみつこうとしてるわけだから、実社会に即したリアルな歌とはかけ離れてるわけだけど、でも自分がそう思ってるならそれでいいんだよね。
言葉を音楽に乗せることへの過剰な自意識が、「Playground」で吹っ切れた
自分の中で、Dragonはこうだっていうイメージを決めて作ってるから、そこからはみ出すものも多いし、だからこそ光量の強いものになると思う。でもソロはもっと自由なんだよね。よくも悪くも、俺は音楽を作ることに対して誠実過ぎるというか、言葉を音楽に乗せて作品を届けることに対して、神経質過ぎるんだよ。めちゃめちゃアッパーな曲は別だけど、基本的には、曲の中で真理を探究したり、平凡な言葉で特別なことを歌ったり、誰にでも寄り添える曲になるように、というようなことをどこかで考えてしまう。芸術活動なんだから、道徳的に正しくなくても、本当にそう思ってるなら別に書いてもいいわけなんだよ。ましてや、ロックバンドだったりバンドマンなんだから、むしろ正直に書けない方が弱虫だと思う。けど、やっぱ俺は音楽を通してそういうことをやって来なかったんだよね。だから制作することが苦しいんじゃないか?ってことに気づいて。で、「Playground」を書いたらスカッとしたというか、吹っ切れた。それがデカイと思う。
自分でセルフプロデュースして、自分でイメージを固めてるだけのことだから、自意識過剰だっただけなんだけどね(笑)。どのモノ作りにも言えるけど、モノを作ることって膨大に時間を溶かしていく作業だと思うんだ。かと言って、48時間かけてやっと作ったワンフレーズがいいフレーズとは限らないし、逆に5分で本質をつけることもあるから切ないものなんだけど。でも、どうせモノを作らずには生きていけないなら、納得した上で有意義に時間を費やしたい。たとえ利己的なことであっても、俺が本当に思っていたらそれでいいんだっていうところに今はいる。ソロだからね。そう思えたらすごいラクになったし、「Playground」を書いてからは、歌詞を書くのもすごく早くなったよ。
ホーン演奏はHEY-SMITH。幸いにも素晴らしいバンド仲間がいる
「Playground」で自分なりに音楽観が開けた部分もあったんだけど、ホーンが入るとその開けた感じとかが音に出るのかな?ホーンはさすがに自分では演奏出来ないから、HEY-SMITHのメンバーに演奏してもらった。1st(『Everything Becomes The Music』)の時は、レコーディングも含めて制作作業は1人っきりでやろうと決めてたし、完全に1人で作ったけど、だからと言って、今回はなるべく第三者と制作していこうっていうような計画があったわけではなくて。シンセでホーンの音を入れたらしっくり来なかっただけなんだよね。でも今回のホーンのように、自分が出来ない楽器や欲しいアプローチが色鮮やかになるなら、これからは第三者の力も柔軟に取り入れていくというか。幸いにも素晴らしいバンド仲間がたくさんいるからね。
俺、アニメも大好きなんだけど、次のアルバムの中にはアニメのキャラに完全になりきって書いてる曲とかもあるからね。そのアニメを知らないと歌詞を読んでもまったく意味がわからないと思うけど(笑)。今回の2曲だけ聞くとそうでもないかもしれないけど、2ndアルバムは結構アッパーだよ。1stアルバムよりはオルタナティブな感じというか、がっつりライブハウスでやれる感じのアルバムだと思う。
ツアーが目標だった。今はソロのバンドでライブをやるのが何より楽しい時間
今のメンバー(Gt.PABLO<Pay money To my Pain、POLPO>、Ba.武史<山嵐、OZROSAURUS>、Key.渡辺シュンスケ<Schroeder-Headz>、Dr.桜井 誠<Dragon Ash>)でワンマン・ツアーをするのがずっと前からの目標だったので、それがやっと達成出来るってことだよね。今はこのバンドでライブをやれるのが何より楽しい時間だし、『Playground/ワンダーラスト』もそれを有意義に過ごすための音楽。最初の頃は、ライブに来てくれるお客さんもステージの上の俺らも、お互い手探り状態だったけど、今は本当の意味で自由にその空間にいる感じがする。どう乗ってもいいというか、捉え方はいろいろ出来る気がするからね。そういう人たちのためにも、もっと楽しい空間にしたいという思いはめちゃくちゃある。
その辺はすごく自由だね。すでにあのメンバーとはイベントとかでカバーもよくやってるけど、出来ればワンマンだから、きちんとショーケースとしてやりたいと思ってる。極端な話、10分ぐらいインプロでジャムっててもいいわけじゃん?ソロだし、自由だし。そういう意味では、Dragon Ashとは競技が違うんだよね。何年やってても、イントロ聞いただけで地割れ起きるんじゃないか?!っていうぐらい人が盛り上がるのもクソかっこいいことだし、ありがたいし嬉しいし楽しいこと。だけど、その貴重な時間を削ってかなぐり捨ててでも自由な音楽を鳴らしたいんだよね。これからはライブで共有出来るような曲をどんどん増やして、時間が許す限り現場にいっぱい出たいし、そういうことをもっとたくさんやっていこうと思ってる。
PRESENT
降谷建志オリジナル「ラバーバンド」を3名様に!
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