飛び立ちましたね(笑)。2ヶ月って本当にあっという間だったんだなって思いつつ、有意義な時間だったとするべく、これから頑張ろうと思います。
ただ単純に音を楽しむっていうことを、もう1回、純粋に体感できた
基本的には、(アルゼンチンの打楽器奏者)サンティアゴ・バスケスが編み出した<リズム・ウィズ・サイン>のシステムを学生として学びに行ったので、働くこともなく、家と学校を往復し、暇な時間は復習をするという日々を過ごしてましたね。たいしたハプニングもなく、平々凡々と暮らしてました。その教室ではベースも入ってないような中で演奏することもあったので、パーカッションを叩く技術そのものも学べたと思います。あと、毎週、音楽を聞きながら踊れる場所に顔を出し、誰も自分のことを知らない中で、ただ単純に音を楽しむっていうことを、もう1回、純粋に体感できたこともすごく大きいことなんじゃないかなって思いますね。自分の職業のこととか、周りの目とか、全てを気にせずに、ただ単純にその場の空気と人と音楽とお酒を楽しんで、自由に体を揺らして踊ってるっていう。自分にとっては、かつては当たり前だった感覚をいま、もう1回取り戻しておいてよかったなって思いましたね。
私が習いに行ってる先生がオーガナイズしているイベントだったので、飛び入りで何度も叩かせていただいて。毎週火曜日は必ず叩いてました。ブエノスで自分のドラムを聞いてもらうのが夢でもあったので、『あ、1つの夢が叶ったんだな』って、ライブの後に気づきましたね(笑)。あと、向こうの人はすぐに体で反応してくれるので、自分のドラムで踊ってもらえたのも嬉しかったですし、ステージを降りたあとに、いろんな方に『本当に素晴らしかった』って声をかけていただいて。街でも『こないだ、あのイベントで叩いてた子じゃない?すごくよかったよ』って話しかけてもらって。ちょっとしたファンを得たような気持ちになって楽しかったですし(笑)、素晴らしいミュージシャン達と共に音を出させて頂き、並走したり、置いていかれたり、最高の時間だったなって思います。
理想はありますけどね。近い将来としては、リズム・ウィズ・サインっていうシステム……コンダクターがいる即興の音楽ゲームのようなものなんですけど、音楽と食とお酒と空間をプレイヤーもお客さんも自由に楽しめるイベントを作りたいと思っています。ただ、昔に、2ヶ月間ブエノスに行くことを想像してたかって言われたら想像してない。だから、何が起こるかわからないなって思いながら、何と無くやりたいことを頭に据えて、楽しく前に進んでいけたらいいなって思ってますね。とにかく私は、お仕事になったり、制作の時期になると集中しすぎて、考えすぎて、楽しめなくなってしまう瞬間があるので、楽しんでなんぼ、踊ってなんぼだっていうことを頭においておかないといけないなって思いましたね。
そうですね。ほぼほぼ行く前に終わらせてました。最初は2015年に出したセッションミニアルバム『K5(Kの累乗)』の流れを汲んだアルバムを作ろうかなとも思ったんですけど、前回出した2枚目のミニアルバム『DO_S』(2017年2月発売)がコンセプチュアルなものだったので、本当のオリジナルっていうものをしばらく制作してないなっていうこともあって。もう十分に『Kの累乗』の流れを汲んだ曲数はあったので、じゃあ、2枚組で半々でオリジナルの曲も作りましょうかっていう話になって。最初は、1枚のアルバムにしないかっていう提案だったんですけど……。
私の中では別物なんですよね。セッション盤は、相手の船に乗っかって、相手に料理してもらったもので、オリジナルは、テーマは設けましたけど、自分の中から出るものであって。それが1枚のCDの中で混在するっていうのが、ちょっとイメージが湧かなかったので、別でお願いしますっていうことで豪勢にも2枚組にしていただきました。
MIYAVIさんには、オリジナル盤に曲をいただきたいっていうところから始まっていて、作詞も私がしてて。セッション盤の『zamza feat.金子ノブアキ』も作詞はしてますけど、そのテーマはノブアキさんと何度もディスカッションをして、彼と作り上げたものなんですね。『blue n’ red(ブルー・アンド・レッド)』は、もちろん、曲が先にきているので、曲に呼ばれてできた歌詞ではあるんですけど、自分自身から出て来た言葉だけで綴ってる。だから、これはオリジナル盤に入る曲という認識ですかね。
MIYAVIさんには、夏フェスも視野に入れて、ライブ映えする曲をかいていただきたいというオファーをして。実際、MIYAVIさんのギターが唸る素敵な曲をいただいて。前へ前へ進む感じだったので、いつだって作詞をするときは、失速しないようにっていうのは気をつけているんですけど、この曲はなおのこと、速度感を失わせてはいけないなって思って。だから、普段はしないんですけど、英語と日本語が混在する歌詞が似合う曲だなと思ったんですね。
そうですね。この曲はなんだったら滑舌悪くて、何をいってるのかわからないくらいでいいのかなと思って。癖でちゃんと歌っちゃうんですけど(笑)、そういう試みができた曲ですね。