──10周年を迎え、あらためてテスラは泣かない。の音楽性における核はどこにあると思いますか?
村上思うのは、やっぱり僕らは鹿児島から出てきた田舎者なんですよね。子どものときから東京に住んでいて、都心の最先端の風を受けながら育ってきた人たちとは違って、いつまでもちょっとダサいんですよ。そのイナタさのようなものがずっとあって。上京したてのころはそれがちょっと照れくさかったりもしたんですよ。「東京はみんなシャレてるからがんばらなきゃ」みたいな。みんなピコピコしたサウンドを出していて、ライブでも同期を使っていて。鹿児島には当時、同期を使ってるバンドなんて1組もいなかったですもん(笑)。
──そんなことないでしょ(笑)。
村上ほんとなんですよ!あと、みんなMCも上手だし。でも、この10年でいろんなものを拾ったり捨てたりするなかで、自分たちのイナタさや泥臭さというものをちゃんとアイデンティティにして、メロディだったりアナログなグルーヴに活かしたいなと思うようになりました。
──でも、今作の「マグノリア」なんかはアーバンでシャレたサウンドじゃないですか。
村上あれはカッコつけました(笑)。アッパーな曲が多いので、ライブで緩急をつける曲がほしいなと思って。グルーヴに関しては、吉牟田が活動休止しているときにいろんなサポートベーシストの方に助けて頂いたんですけど、サトウトモノリ(a.k.a TOMOTOMO club)さんに「とにかく4人で歩け」って言われたんです。そうすると自然とみんな同じタイミングでズレてきても、それが円を描くようになったらグルーヴになると。「それがみんな歩いてるということでしょ?」って。吉牟田が帰ってきたときにもそのことを伝えて。だから、この1年は特に4人で歩くことを意識した時間でしたね。
──あと、「old time blues」はアルバムのなかでも異色でありながら名曲ですね。9.11のときのことを思わせる歌詞のフレーズがあったり、私小説性の強い曲なんですけど。
村上そうです。暗い気持ちになるから暗い曲はあまり作らないでおこうと考えていたんですけど、でも、本来は暗い曲を作るのは得意なんですよ。普段は暗いことをよく考えているから。やっぱり全部明るい曲だと嘘くさいし、1曲くらい僕のエゴを丸出しにした曲があってもいいなと思って。だから、この曲を作るにあたって特別なエネルギーが必要だったというわけではなくて。歌詞も1番は普段思っていることを書いたんですけど、2番は自分の体験が聴く人の追体験になるように、あえて自分自身から距離を離して。言ってることも暗いんだけど、希望に満ちた曲になったなと思います。聴く人が追体験できる歌詞という点はアルバム全体で意識したことでもあります。
──このアルバムを引っさげて過去最多の本数を回るツアーが始まります。
村上音源の再現性という意味では、ツアーのことを考えずに曲を作ってしまったので「ヤベえ!」ってなってます(笑)。それくらいメンバーは4人しかいないのに音がいっぱい入ってるアルバムなので。でも、同期は入れないと思います。クリックに支配されるのもイヤなので。いろいろ試行錯誤しています。
──ワンマンは地元の鹿児島公演とツアーファイナルのShibuya WWW公演のみですね。
村上他の公演はアルバムツアーという感じになると思うんですけど、ワンマンは10周年っぽいセットリストで臨もうと思ってます。10周年にしてやっと自分たちのバンド像を確立できたかなと思うので。いろんな人に観てもらいたいですね。
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