──岩沢さんはこの新作を制作していく上で、何か、テーマやコンセプトを設定しましたか?
岩沢
ノー・テーマですかね。良い意味で、出てきたものをそのまま歌にしようということがコンセプトというか。なにかに縛られずに曲を作ったらどうなるんだろうと、そうやって出てきた最たるものが「存在の証明」なんですね。それは既発のEPの曲たちがあったからこそ自由に自分で作れた部分もあります。「風のイタズラ」もそうなんですが、アルバムが4月4日に出るのはわかってたけれど、あえて冬の曲を選んでいるところは、春なんだけど、冬の忘れ物をひとつだけ入れておくみたいな。そういう、こういう大きなアルバムだからこその曲があったら楽しいかなという感じです。
──お互いの個性が色濃く出ている後半になっています。
岩沢
そこは全然気にしてないですね。今までにもいろいろな曲をやってきたし、いまさら驚かないです。「こういうのが今やりたいモードなのね」というのがあれば、「(北川)ぽいね」という曲もある。でも、どれもいずれはゆずの曲として自分も参加するわけだから。(北川の)曲の個性は自分では出せないものだし、リーダーも同じことが言えるんじゃないかな。同じ考えじゃない2人の人間が作っているからこそのアンバランスさが、ゆずを続けていられる理由のひとつだと思います。
北川
アルバムの前半は、ゆずの新たな扉を開けることに特化した曲たちだし、後半はゆずの原点の形というか、そういう精神が表現されているなと思っていますね。
──アルバム・タイトル曲とも言うべき、「うたエール」は2018名の新メンバーが参加した作品で、2018人のコーラスも圧巻ですが、これだけの大人数が参加する作品を作る上で、ポイントとしたのはどんなことでしたか? 2018人とのレコーディング、MV撮影のコラボでどんなことを感じましたか?
岩沢
もちろん今回のプロジェクトがあったからこそできた曲ではあるんですけど、きっとこのプロジェクトがなくても、こういったような曲はできたと思うんです。ただ、後押しというか、例えば「新メンバー2018人がこの部分を歌うんだ」という想像しながらの曲作りって、書き手側からするとすごく楽しいんですよ。誰かと共にやるための曲というのは、一見安売りしている言葉にも聞こえちゃうけど、それは違くて。みんなで歌うためのメロディというのをすごく尊重して作られているし、実際、ゆずだけじゃないコーラスが入ったことによってすごく人間味が出たというか、ひとりひとりの声の強さが加わって今までにない曲なったんじゃないですかね。
北川
「うたエール」はやっぱりすごいんじゃないですか。今回、こういったプロジェクトの中で制作するにあたって、歌詞をどこに落としこんでいくのかが悩みましたね。テーマやコンセプトをどういうふうに歌い、どういうふうにみんなで繋がっていくのかというのが難しくて。実は歌詞で一番苦しんだのは「うたエール」だったりしましたね。
──サビの歌詞の“LA LA LA”のところでも、人々が集ってともに歌った時のパワーの素晴らしさを感じました。
北川
良い意味で誤算だったというか。日本生命さんのCMで、先行して“LA LA LA”だけの曲が流れてたんですね。実はその裏で、完成に向けてサビにも歌詞をつけていたんです。でも、サビの“LA LA LA”の感じが思いのほか良くて。あれを残しつつ、歌詞が混ざる感じを作れないかと思い、その難題にトライしました。結果、良いかたちにすることができたんじゃないかと思います。
──ニューアルバム『BIG YELL』が完成して、どんな思いを抱きましたか?
北川
すごく満足しています。デビュー20周年の中でも、新しい曲を聴いてほしいという情熱は消えなかったし、その情熱があったからこそ、いたるところで曲を書いていて。とにかく届けたいと思う一心で、書いた曲たちがアルバムという形で皆に届けられるというのは、すごく嬉しいです。
岩沢
立ち止まっていない感じが今はしていますね。アルバムに入っている曲たちも、去年のライブで歌ってきた曲がたくさんあるんですけど、そのつどライブを通して曲が成長していって、満を持してのアルバムパッケージ化なので、自分たちと曲がとても近い距離にあるイメージです。
──21年目の最初のツアーということになります。ツアーに向けての意気込みを教えていただけますか?
北川
ひとつのコンセプトで長くアリーナツアーをまわるのは久しぶりなんですよね。アリーナならではのことをやろうと思っていています。自分はプレイヤーでもあると同時に、半分以上は演出にも関わっているんですが、いまはいろんな若いクリエイターが集まってくれて、すごく面白いアイディアがどんどん浮かんでいて刺激をもらっています。また新しいものができるんじゃないかなというワクワク感があるので、とにかく楽しみですね。
岩沢
アルバムテーマがすごく前向きなので、どんと暗くなるライブではないなという気はしているし、みんな楽しかったと思って帰ってもらうツアーになるんじゃないかと。またアルバムの曲が、このツアーできっと成長するんだろうなとも思います。このアルバムの作品をまず放流して、みなさんのもとに届いて、成長して、それがいずれ鮭のように戻ってくる。そのときのために、このツアーでとりあえず、放流しに行きます。
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