「吉本新喜劇」座長にして芸人として絶大な人気を誇る辻本茂雄、演劇プロジェクト「タクフェス」主宰であり、俳優・脚本家・演出家として評価を得ている宅間孝行によるユニット「つじたく」。昨年7月にZepp Tokyoで初演を行い、コント、芝居、音楽を融合したステージを繰り広げたこのユニットの再演が大阪、東京で決定した。世代を越えて楽しめる喜劇、どこか懐かしい雰囲気の演劇がひとつになった「つじたく」のコンセプトについて、宅間孝行に訊いた。
──「つじたく」結成のきっかけは?
初めて吉本新喜劇の舞台を観たのはいまから20年くらい前なんですけど、そのときの座長がたまたま辻本さんだったんです。当時、辻本さんは新喜劇に新しい旋風を巻き起こしていた人で、その芝居にも衝撃を受けたんですよね。その後、自分の劇団(『タクフェス』)で大阪公演をやるようになったんですが、ありがたいことに辻本さんにも気に入ってもらえて。“いっしょに何かやれたらいいですね”という話は3〜4年前からあったんですけど、去年、それがようやく実現したという流れですね。
──コントと演劇が共存していますが、脚本や演出はどういうふうに決まるんですか?
『新幹線B席!』というコントは、もともと辻本さんがやっていた演目だったから、流れや演出も辻本さんに作ってもらいました。『DUET』という芝居は僕のカンパニーでやってたんですが、そのなかに出てくる天使の役が辻本さんにピッタリだと思って(笑)。『誘拐犯の憂鬱』は辻本さんにツッコミ役をやってもらいたくて書き下ろしたんですよ。アドリブの部分もあるし、ライブ感がある公演になると思います。
──新喜劇の関西の笑い、タクフェスの関東的な芝居が混ざっているのも、「つじたく」のおもしろさですよね。
いまの新喜劇は芝居感にもこだわっているし、関東の人にも絶対に受け入れられると思うんですよね。僕らの芝居に関しても、辻本さんは“宅間の笑いは関西の人間にもウケる”と言ってくれてるし、アプローチは違っても、やろうとしていることは似ているんだと思います。笑って、泣ける芝居も好きですからね、お互いに。
──幕間にはハレルヤシスターズ(マヤ70kg、まつこ110kgによる女性ユニット)の歌とダンスも。まるで音楽のライブのように盛り上がるエンディングも楽しみです。
出演者が着替えたり、準備している時間にも何かあったほうがいいだろうと思って、デブふたりに出てもらおうと(笑)。彼女たちのパフォーマンスはカッコいいし、しゃべりもすごくいいんですよ。エンディングに関しては、もともと僕のカンパニーでやっている演出なんですよね。“演劇”というと敷居が高いイメージもあると思うんですけど、来てくれた人には出来るだけ楽しんでほしいので。コンサートやライブと同じで、演劇やコントも“生で体感してナンボ”だと思うんです。ふだんは芝居に興味がない人にもぜひ観てもらいたいし、演劇に興味を持つきっかけになったら嬉しいですね。
インタビュー/森 朋之