病気治療のためアーティスト活動を休業していたが、2016年に活動を再開した大黒摩季。2017年から全国47都道府県ツアーをスタートさせるなど、復帰後も精力的な活動を行い、パワフルな歌声を聴かせている。そんなツアーもいよいよ4月からFINAL SEASONに突入。今回のツアーのこれまでの手ごたえと、自身の変化や成長を語ってもらった。
──昨年から続く今回のツアーも2018年に入り、SEASONⅢを迎えられていますが、現在の手ごたえはいかがですか?
手ごたえ、めちゃくちゃあります(笑)!病気が治り、活動開始を決めた瞬間から、まるでオリンピックに向けて訓練と鍛錬、そして勝負を続けるアスリートのように、1本1本を全力で行っています。もう二度とパワフルな歌が歌えない覚悟を幾度かしたので、全てがありがたく、新発見や新境地だらけの毎日です。復帰当初は、"いかに期待されている大黒摩季になるか"と、過去の自分との追いかけっこに懸命だった気がしますが、いつしか、今だから歌える歌、人生修行したからこそ会得した技量、変わってしまった身体だから鳴る響きなどを自然と盛り込めるようになり、これまでで一番、歌が楽しいです。こんなに自分をフル稼働したことがないんじゃないかというほど熱い日々です。SEASONⅠ~Ⅱをかけてお客様から、私が忘れかけていた大黒摩季というアーティストの在り方を教わり、少女のように追いかけながらやっとライブアーティストの身体も作ることができ、ライブ感も蘇り。最近では、お客様の心の機微や笑顔になるまでの細かい表情まで感じられて、歌の響きが変わってきました。そんな素敵なレスポンス=まさに生のライブができるようになり、やっとお客様と両想い、みたいな気持ちです(笑)。ぶっちゃけ、年齢や状況に反してびっくりハードなスケジュールですが、いつも夢中だから苦にならない。奇跡みたいな現実に時々、"目が覚めたら6年前に戻ったりしないよね…"と被害妄想したりします(苦笑)。これって、そうとう幸せなんだと思います。
──ツアーを始める前に思い描いていたことは何だったでしょうか?
自分が歌えなかった6年間、主婦&母の介護の毎日で、自由時間がほとんどなく、半日近く家を空けられない、ましてや泊りで遠征など無理。そんなフラストレーションがたまるばかりの毎日でしたので、まずはファンの皆様のもとへ復帰のご挨拶と歌声を届けに行くべきだと思いました。47都道府県ツアーを持ち出した時は、スタッフから"摩季さん、正気ですか?"と、無謀だと言われましたけど、"規模じゃない、やると言ったらやります!"みたいなわがままを言って(苦笑)。しかも大人のわがままはこれまた用意周到で、"そちらができないなら自分でツアーを組んじゃうも~ん"、みたいなたちの悪い逆切れで、"じゃあやりますかね!"と、半ば強引に押し切ったんです(笑)。今回のツアーの「~Higher↗↗Higher↗↗ 中高年よもっと熱くなれ‼」というサブタイトルも、私自身がまずそうなりたかったからなんです。仕事に家庭に、そして世知辛い世の中で生き抜くことに必死になって、自分が遊ぶことも楽しむことも忘れて暮らしている。そんな時に、同級生やお断りできない先輩からのお誘いって、"困ったな~"と思いながらも、乾いた毎日から連れ出してくれるのが実は嬉しくないですか?大黒摩季復活!ということで、昔のハートの熱がちょっとぶり返して、がんじがらめの毎日から一瞬、飛び出して来れたらいいですよね。大黒摩季っていう同窓会で発散して、まだ消えていない自分の心の種火を確認してもらえたら本望だなと。これ、予想を超えてかなりキてますよ。
──ツアーが始まってみて、それまで予想していた感触はどのように変化しましたか?
SEASONⅠの頃はお友達やご夫婦でいらっしゃっていた同年代の方たちが、SEASONⅡでは"お腹の中にいるころから聴かせていました"と、お子さんを連れてくるようになったり。会館からのオファーも多かったので、地元の会館の会員さんだったご高齢の方も"ひとまず見てみますか"と来られて楽しんでくださったり、あまりに中高年が熱いからと若い子が怖いもの見たさで覗きに来るようになったり(笑)。さしてPRもしていないのに口コミとSNSなのでしょうか、ご新規さんが増えて嬉しい誤算です。
──お客さんの反応はどのように感じられていますか?具体的にどういった反応・変化が印象に残っていますか?
オープニングではお互いに緊張していたとしても、タイムスリップしながら泣いたり笑ったり、飛んだり跳ねたり。そうやって身体もほぐれて、最後の曲では笑顔満開。本当にいい顔になって帰られるのがとても嬉しいです。キラキラしてキュートで、失礼ながらとても可愛らしくて。昔は客席と勝負するような気持ちでしたが、今は愛おしいですね。人の笑顔って魔物ですよ。2デイスであっても全力を出し切ってしまいますもん。お客様の笑顔は最高のご褒美、やめられません(笑)