自分が歌ってることは「生きること」と「死ぬこと」と「愛すること」と「戦うこと」しかない
──そうだったんですね。こうしてオールラウンダーなエンタテインメントショーになればなるほど、さっきのバランスの話じゃないですけど。芯になるリリック、メッセージはより真摯なものでなければならない。
そうですね。ただ4年前のツアー(「SKY-HI TOUR 2014 Trip of TRICKSTER」)からいっていることの「本質」は変わってないなくて。そのときに「お前が持ってるネガティブ、全部ひっくり返してやるよ」っていったんですけど。たしか。そこからいってる本質は変わらなくて。それをずっといろんな方法でやってるんだと思う。ミュージシャンってそういうものなのかなとも思います。その後に『カタルシス』か『OLIVE』を出したときに、自分が歌ってることは「生きること」と「死ぬこと」と「愛すること」と「戦うこと」しかないんだなと。死ぬことが身近になるから生きることに価値を感じられたり、生きることの内側をのぞいて見たらそれが愛することにつながっていたり。愛することというのはなんでもかんでも受け入れることではなく、戦うことが真に愛することだったり。その4つをずっと歌ってきてるし、それを歌い続けることは変わらないと思います。
──それはすなわち、人として「生きること」ですよね。だから、世代を超えてもSKY-HIの音楽は人の心を揺さぶるんだと思います。
それだけは通念していることですからね。どんなペシミスティックな人でも、どんなオプティミスティックな人でも、殺人鬼でも、聖者、凡人でも。ミスチルの桜井さんの歌詞(「マシンガンをぶっ放せ」)だ!って。それと似たよう歌詞がでてきて書いたんだけど。「殺人鬼、聖職者、ならず者にボクサー、嫌わられ者人気者そばで見てる僕ら、被害者と加害者と裁いた人、みんな生まれたときは同じような形だ」って。
俺は、昔からそうだったのかもね。歌詞化できなかっただけで。ちょっとでも変わって欲しいなという思いがあったのかも。なんかね、心を痛めることが多いんです。不思議でしょうがないんですよ。一つのことでルールから外れたものに対して、その人の普段の人格だったり、そのルールとの噛み合わなさ加減とか。ひょっとしたらそのルール自体正しいものだったのか?とか、そんな議論は抜きにして、ただルールから外れたという事実だけで、人を集団で叩いていったり。叩く理由を見つけたら、みんなが喜んで叩いていく行動とか。その一方でヘイトスピーチみたいなものが普通に行われていることとか。「嫌だな」と思うから。そこで「嫌だな」と思ったら、目を背けたくない。それが業というか、カルマという気がします。プラス、ステージはまたこの話に戻っちゃうけど、享楽的な瞬間だけを作って忘れさせるだけじゃなく、ちゃんと相対したいんですよね。来てくれた人たちに対して。だからこそ「嫌だな」と思うことから目を背けられない。その両方だと思います。なので、いまは書くことに悩むことはまったくなくて。無限っていってもいぐらい歌詞は出るんですけど。書けば書くほど、ちょっと辛いというか。
俺は、昔からそうだったのかもね。歌詞化できなかっただけで。ちょっとでも変わって欲しいなという思いがあったのかも。なんかね、心を痛めることが多いんです。不思議でしょうがないんですよ。一つのことでルールから外れたものに対して、その人の普段の人格だったり、そのルールとの噛み合わなさ加減とか。ひょっとしたらそのルール自体正しいものだったのか?とか、そんな議論は抜きにして、ただルールから外れたという事実だけで、人を集団で叩いていったり。叩く理由を見つけたら、みんなが喜んで叩いていく行動とか。その一方でヘイトスピーチみたいなものが普通に行われていることとか。「嫌だな」と思うから。そこで「嫌だな」と思ったら、目を背けたくない。それが業というか、カルマという気がします。プラス、ステージはまたこの話に戻っちゃうけど、享楽的な瞬間だけを作って忘れさせるだけじゃなく、ちゃんと相対したいんですよね。来てくれた人たちに対して。だからこそ「嫌だな」と思うことから目を背けられない。その両方だと思います。なので、いまは書くことに悩むことはまったくなくて。無限っていってもいぐらい歌詞は出るんですけど。書けば書くほど、ちょっと辛いというか。
──なんでですか?
傷口見ないといけないから。見れば見るほど辛くなる。だから、外科医とかすごいなと思いますよね。普通の人が見たら“うっ”てなるものを平然とした顔で治療してるから。
──そこまで魂削りながら世の中と向き合ってこの言葉を描いていたんだというのが分かった瞬間、SKY-HIの音楽はリアルにこちらを現実に対峙させることにもなるので。そこで痛みをともなうことも多々あるんです。
誰だっけ?『痛みをともなう改革』っていってた人。あー、小泉元総理か。
──よく憶えてますね?
あの頃の政治家ってエンタテインメントでしたよ。田中(真紀子)さんの「私が前に進もうとすると誰かがスカートのすそを踏んでいる。見たら総理だった」とか。最近の「このハゲ!」とか「忖度」とかに比べると、はるかに面白かった気がしますね。面白いな〜。
こういう時代だからこそ、ちゃんと綺麗事をいいたい。本気で。
──じゃなくて、SKY-HIの音楽、ライブには痛みを伴うってことをいってたんですけど(笑)。そこが、とてつもなく「この人信じられる」と思える部分です。
ありがとうございます。傷ついたことが多いほど人にはやさしくなれるというのは、最近すごく感じます。人にやさしくするのは、自分自身に優しくするのと一緒。こういう時代だからこそ、ちゃんと綺麗事をいいたい。本気で。でも、そうなるとポップな恋愛の歌が減っちゃうんですけどね。
──現実社会に向き合えば向き合うほど。
「Marble」とか、過去に出した「アイリスライト」とか。「アイリスライト」も恋愛の歌として機能するように書いてはいるけど、歌詞を読んだらすぐ分かるぐらい恋愛の歌ではないから。ただ、恋愛の歌だと思ってくれる人が生まれるように書いているだけで。だから、恋愛の歌は「Blanket」だけかも。あとは「Diary」ぐらいか。だから、恋愛をしたほうがいいんですよね、きっと。でも、恋愛って時間がかかるじゃないですか?
──そうですね。でも、恋愛の歌詞書くために恋愛って、もうその動機自体がNGですから。
ねっ(笑)。恋愛願望よりも結婚願望のほうがあるんですけどね。どっちかというと。そのぐらいのテンションじゃないともう恋愛はできない気がするし。ちょっとした悩みなんですよ。恋愛の歌が少ないのは。ミスチルとかちゃんと恋愛の歌多いじゃないですか?
──ええ。そんな日常から巧みに社会をえぐっていきますからね。
ミスチルは小学生の頃から好きだったんです。ミスチルとB’zがすごい好きだったんだけど。「ニュース(『ニュースステーション』)で(当時のキャスターだった)久米宏がいってることをこの人歌ってる!」と衝撃受けて。
──SKY-HIのメッセージの根本にあるものは、そこだったんですね!
それは絶対ある。とくに衝撃的だったのがミスチルの「everybody goes –秩序のない現代にドロップキックー」と「マシンガンをぶっ放せ」。そういうものは昔から自分のなかにありました。
──いますごい腑に落ちました。
後編は2月16日(金)18時公開予定!
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