結果的にめっちゃ楽しいと思わせる1日にしたい(谷口)
──フジファブリックの曲をコピーしてましたって言ってくる若いバンドは多いんじゃないですか?
山内 最近はけっこうありますね。キュウソ(ネコカミ)もそうだし。でも、うちの曲をコピーするのってめんどくさいんですよ。キーボードがいるし。
金澤 なんか俺がめんどくさいみたいな話になってるけど(笑)。
山内 そういうことじゃなくて(笑)、バンドでコピーするときにシンセサイザーに入っているプリセットの音色では再現できないんですよね。
金澤 うん、そういう意味ではちょっとめんどくさいね。
──そういう音色の話にしてもそうですけど、フジファブリックはメンバー構成も含めてさまざまな変遷をたどっていますけど、このバンドは継続することの偉大さのみならずつねに音楽的な探究心を持ち続け、バンドの音楽性を更新する美学も提示していると思うんですね。
山内 そこまで大真面目に音楽を探求しているというよりは、音楽を表現することが楽しくなくなったらイヤだなという気持ちがすごくあって。だから、つねに楽しみを探していると言ったほうがいいかもしれない。作品ごとに手を変え品を変え、自分たちなりにいろいろチャレンジして、それを続けることでどんどん音楽が楽しくなっていくのがわかってきたので。僕が音楽を始めたのは14、5歳なんですけど、そのときも楽しかったけど、いまのほうが楽しいんですよ。フジファブリックの活動を止めることはいつでもできたとは思うけど、そういう気にもならなかった。毎日楽しさを更新してる感じがありますね。
──そう言い切れること尊いと思います。
山内 僕がボーカルになったときはバンドをなくしたくないという思いが強かったけど、それと同時に続けていけば絶対に楽しいということも感じていたと思うんですよね。
金澤 いまが楽しいというのは僕も言い切れますね。
山内 バンドを解散してたらこうやってKANA-BOONと共演することもなかっただろうし。
金澤 日々そうなんですけど、昨日やっていたことが今日はちょっと違う感覚だぞって思うことの連続なんですよね。だから、つねに新鮮な気持ちでいられる。
──KANA-BOONが今年2月にリリースした『Origin』というニューアルバムは、バンドを今後5年、10年と続けていくために絶対に必要な作品だと言ってましたよね。
谷口 そうですね。あのタイミングでいまの自分たちの正解であり指針を示せたなと思ってます。あのタイミングでミュージシャンとして昔の自分たちにあった青さをもう一度取り戻さなきゃと思って。
──フジファブリックはバンドの青さという部分についてどう思いますか?
金澤 俺は自分がまだ青いと思ってるけどね(笑)。
山内 俺もそう思っていて。ミュージシャンにとって作品を生み出すことはとても大きなことだから、その度に何かを捨てなければいけないこともあると思うし、作品を生み出した前後の自分たちがまったく別人になっているような感覚を覚えるのはよくあることで。ただ、そのうえで青さというと、自分たちのケツはまだまだすごく青いなって思いますね。
金澤 逆に昔よりもっと青くなった気がする。
加藤 うん、青いね(笑)。
山内 それと同時にKANA-BOONが言ってることも理解できる。もしかしたら、KANA-BOONも実際は僕らと同じで昔よりもっと青くなってるのかもしれない。
谷口 ああ、そうだったらめっちゃいいですね。希望を感じます。いま制作期間なんですけど、新しい自分たちを確かに感じている最中なので。
山内 そういう空気感も『フジフレンドパーク』で感じたいんですよ。
──それがこのイベントのテーマにおける核心でもあるだろうし。
山内 そう。KANA-BOONのライブを僕らもしっかり浴びたい。そして、当日、何か一緒にやれたらいいですね。
谷口 やりたいですねえ。俺らが全員フジファブリックに加入したいくらいの気持ちです。
山内 さっきコピーしてくれたという2曲以外でも何か一緒にできたらと思います。
谷口 ライブ自体は緊張すると思うんですけど、やっぱりKANA-BOONを呼んでよかったとフジファブリックのみなさんに思ってもらいたいし、お客さんはフジファブリックとKANA-BOONの組み合わせを意外に思ってる人がいるかもしれないけど、結果的にめっちゃ楽しいと思わせる1日にしたいですね。
山内 そう、意外性も飛び越えて最高の一日にするのが『フジフレンドパーク』の楽しさなので。よろしくお願いします。