インタビュー/長谷川 誠
作曲家、音楽家、プロデューサーとして活動する織田哲郎がボーカリストのダイアモンド✡ユカイに話を持ちかけ、さらにGUNIW TOOLSのASAKI(Gt)、FUZZY CONTROLのJOE(Ba)、LINDBERGのCHERRY(Dr)が参加して2015年初夏に結成されたスーパーバンドがROLL-B DINOSAURだ。彼らの1stアルバム『ROLL-B DINOSAUR』はロックンロールのスリルとダイナミズムとが詰まった作品となった。百戦錬磨の彼らが初期衝動あふれるロックンロールを演奏する姿は痛快だった。そして2017年10月、恐竜たちはさらなる進化を遂げた姿で帰還した。2ndアルバム『SUE』は振り幅が大きくて多彩なロックアルバムだ。ロックの楽しさ、破天荒さもさらにパワーアップ。ブルースやルーツロックのエッセンスも感じ取れるのだが、困難な状況を乗り越えていくタフな意志が詰まった楽曲が目立っていて、今の時代にリアルに響く作品としても成立している。人間味あふれるサウンド、いや、恐竜味あふれるサウンドは唯一無二の輝きを放っている。10月27日からはツアーもスタート。ROLL-B DINOSAURの第2章はさらにスリリングなものになっていくだろう。新作とツアーについて、メンバー5人に聞いていく。
──2ndアルバム『SUE』が完成して、ツアーも始まりました。このバンドで音楽をやる醍醐味というと?
俺の場合は基本的に音楽は自分で作るもんだというスタンスでやってきてたんですよ。アレンジャーとして他のミュージシャンと一緒に作ることもあるけれど、どんどん一人で作る割合が多くなってきた。でもこのバンドのメンバーは俺が思い付かないようなことを言ってきたり、やったりして、それが結果的に想像しなかった音楽になっていくので、それが楽しくてしょうがないですね。
初めてこの5人で集まって音を出した時、実に新鮮だったんですよ。ライブごとに成長していくのがわかったし、お客さんのリアクションも良くて、これは行けるなってとこで活動が止まるっていう(笑)。半年くらい間があいて、再び恐竜が目覚て、アルバム作って、さあってところでまた寝て(笑)。そんな予測が付かない展開も愛らしいというか、このおバカな感じがとても好きです(笑)。キャラクターがおもしろすぎて、楽しませてもらってます。
もともと織田さんとは飲み仲間で、「バンドやろうぜ」って誘っていただいて、お酒というコミュニケーションから始まり、曲を作ったりツアーをやったりする過程でつきあいが深くなり、人となりがわかってくるのに伴って、出す音も深くなって、さらにおもしろくなってきました。この曲の演奏、どうしようかって迷って決めたことが《間違ってる・間違ってない》のレベルを越えて、ともかくおもしろいんですよ。あらゆる点で楽しめるバンドですね。
──「はずれクジ」などの曲を聴いていると、楽しみながら作って、楽しみながら演奏していることがヒシヒシと伝わってきます。
「はずれクジ」、まさかあんな歌詞ができあがると思ってませんでしたからね。1stでも「くずの詩」という曲があって、そのくずを女性の視点から描いたのが「はずれクジ」なんですが、刺さってしょうがなかった(笑)。
──てっきりユカイさんなのかと思ってました。
織田さんって話もあるけど、それもわからないです。織田さん、あんなリアリティーのある歌詞を書くなんて、すごいね(笑)。
──ユカイさんはこのバンドの醍醐味は?
ロックができるってこと。ソロでロックをいろいろやってきたんだけど、やっぱり俺にとってのロックはバンドなんだなって感じてた今日この頃でしたね。ロックと言っても、いろんなロックがあるじゃない? ロックが世に出てから、時代も経てきてるから。世代の違うメンバーがひとつのロックバンドでやれてる喜びが大きいかな。このメンバーと一緒にやることで、改めて自分はロックを表現するボーカリストなんだなって感じた。2nd作って、よりブルースの血が流れている音楽をやれている喜びもあった。と同時に、今の時代の歌を歌えている喜びも感じてますね。
──ユカイさんのボーカリストとしての能力が全開になっているという印象もありました。
のびのびとやらせてもらってるからね。ハードな曲が多いので、なかなか休ませてもらえないけど(笑)。
──CHERRYさんはこのバンドでやることについては?
これまで個人的には女性ボーカルのバンドが多かったですが、男性ボーカルで、しかもユカイくんが歌う骨太なロックをやれるのはとても楽しいです。1stはストレートな楽曲が多くて、8ビートを前面に押し出してる曲が多かったので、シンプルにやるかっこよさを追求できたし、2ndではかなり遊ばせてもらったんですが、一緒にやっていくうちに、自分の中でも新しい発見がたくさんあって、楽しかったです。