──ステージで生田さんがギター&ボーカルとしてパフォーマンスする曲も実際ありますしね。では、そんなペンギンなんですが。サウンド、メロディー、歌詞にものすごい情報量を詰め込んで、それを高速フレーズで演奏するものが多いじゃないですか?こういうスタイルはどこから生まれてきたんですか?
それが晶太君が作る曲の特徴だからね。
そうだね。好きなんだと思う。こういうものが。でも、僕が昔も今も一番好きなのはユーミン(松任谷由実)なんですよ。ユーミンはゆっくりだし情報量もこんなわちゃわちゃしてないから、なんでだろう…。
どの曲からこうなっていったの?
最初から。中学のときに作った曲からそうだった。
じゃあDNAなんだね。
──もしかして堀江さん、せっかちな性格だったりして。
あーそれはあります。
めちゃくちゃせっかち(微笑)。
聴いてても遅いと待てない。自分の曲でもイントロが普通に遅いと飽きるんで、早くAメロいきたいからテンポあげようってなっていって。自分の心地いいテンポがこの速さなんです。
だから、久しぶりにペンギンでスタジオ入ると、最初にみんなから出る言葉「はやっ!」、「忙しい」ですもんね(笑)。
他の現場でこんなはやいのとか情報量を詰め込んだ曲はないので、久々にペンギンに帰ってきて演奏すると体がびっくりする!
カウントからびっくりするもんね。
──歌もめちゃくちゃ大変そうですけど。息継ぎとかはどうしてるんですか?
最近の曲はさらに輪をかけてはやいんで、息継ぎの場所は完全に決めてます。そこを一発間違えると終わるんで、余裕そうに歌いながら脳内では次はあそこでブレスしなきゃって考えながら“スッ”とやってます。そういうところはこのバンドに入って鍛えられました。歌うときの歌詞の感情の込め方もこのバンドで教えられました。歌詞は晶太がすごい大事に書いてるんで、初期の頃はその歌詞を解説してもらったり感情の込め方を教えてもらったりしてました。
それまでが一般人でしたからね。彼は。
──ああー。生田さんだけミュージシャン出身ではないから。
“ど”がつくほどの“素人”でした。
「カラオケとは違うんだよ」というところから。
ええ(苦笑)。申し訳ないなと思いながら教えてもらって。
──すごい根性ありますね。生田さん。
最初の頃はついていくだけで必死だったから「俺じゃないボーカルでの未来もこのバンドにはあったんだろうな」ってことばっか考えてましたよ。けど、それでもいま現実にステージに立ってるのは俺なんだから、俺がやるしかないっていう風に開き直れてからは「俺は俺だし、俺がやるしかない。じゃあやろう!」って思えるようになりましたね。
それと同時に、すごく“バカ”になりましたね(一同笑)。突然自分を曝け出すようになったというのかな。最初バンド内でむちゃくちゃいわれて「こうしなきゃ」、「ああしなきゃ」ってカッコつけてみたりしてたんですけど。
それが全部ハマらなくて。
ある日突然、鷹司がいい意味でバカになって素を出したら「鷹司っぽいし、これがいいかも!」ってバンド内でなったんですよね。そこから鷹司が弾けちゃったんです。
──バンド内でも生田さんは陰と陽でいったら、一人だけ“陽”ですもんね。
やったー!!(笑顔)
少しでもミュージシャンかじっちゃうと、闇の方にいっちゃうんですよ。どうしても屈折しちゃうんです。物の見方とか考え方が。分かりやすくいうと、海ではしゃいでる奴見ただけで「ムカつく!」とか(笑)。でも、鷹司はぜんっぜんない!! そういう屈折が。まっさらだから吸収が早かったり染まりがいいんですよね。新曲(配信シングル「千載一隅きたりて好機」)のMVでダンスをやってるんですけど。ダンスもすぐにできちゃう。バンド内では一番器用。
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歌詞の根底にある“敗者”について
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