4/24(日)大阪・umeda AKASO公演を皮切りに初の全都道府県ツアー「吉田山田 47都道府県ツアー 〜二人また旅2016〜」をスタートさせる吉田山田。「最高傑作だと思っています」(吉田)という最新アルバム『47【ヨンナナ】』を引っ提げた今回のツアー、そして、8/20(土)日比谷野外大音楽堂で開催される「吉田山田祭り2016」について訊いた。
インタビュー/森 朋之
──初の全都道府県ツアー「吉田山田47都道府県ツアー 〜二人また旅2016〜」が開催されます。どんなツアーにしたいと思っていますか?
吉田結威(Gt,Vo) いろいろ考えたんですけど、「“初めまして”のお客さんも多いだろうな」ということを前提にすると「普段通りでいいんだろうな」と思ったんですよ。ライブの演出に関しては僕がアイデアを出させてもらうことが多いんですが、奇をてらったことをするというよりは、自分たちが自信を持っている“歌”を聴いてほしいなって。いままで積み重ねてきたものをステージの上でやろうという心積もりではいますね。
──「日々」のヒット以降、“初めまして”のファンの方も増えているようですね。
山田義孝(Vo) そうですね。都心から離れた場所に呼んでいただくことも多いんですが、「本当に人が来てくれるのかな?」って思うような場所でも、近所の方々が家族で足を運んでくれたり。こちらから歌を届けにいくことは本当に大事だし、すごく意味のある47都道府県ツアーになると思います。
──デビューから7年が経って、ライブに対する意識も変わってきてますか?
吉田 ライブというものが、より大事になってきてますね。ラジオ、テレビのレギュラーをやらせてもらうことで、表現の住み分けが出来てきたというか、「ライブではライブでしか出来ないことをやろう」って思うようになって。以前は全部ライブに詰め込もうとしてたんです。MCでしゃべり過ぎたり、その場で即興の歌を作ったりしてたんですけど、そうするとどうしても2時間の枠には収まらないんですよね。いまはそうじゃなくて「ステージの上では、しっかり歌を聴いてもらおう」という意識なので。あと、自分では気づかなかったんですけど、家族や友達から「ステージの上でしか見せない顔がある」って言われるんです。日常でテンションが上がることはあんまりないんですけど(笑)、やっぱりステージは特別な場所なんだろうなって。
山田 吉田山田のライブに来てくれる方々は、すごく年齢層が広いんですよ。前は「どうやってライブしたらいいのかな?盛り上がる曲とか、ついてきてくれるかな?」と心配してたこともあったんですけど、最近はそんなに気にしなくなりましたね。帽子を振り回している方もいるし(笑)、座って聴いてくれている人もいて、それぞれの楽しみ方で観てくれているので。
吉田 これも両親が言ってたんですけど、幅広い年齢層の方が一緒に楽しんでいるところを見ると、泣けてくるみたいなんですよね。
──楽曲を作るときから、幅広い年齢層の方に届けることを意識してるんですか?
吉田 そうですね。ずっと残っていく曲って、年齢も性別も関係ない、真理みたいなものが入っていると思っていて。以前は「ある程度、対象を絞って曲作りをしたほうがいい」ってよく言われてたんです。たとえば「受験でがんばってる人」とか「新生活を迎えて悩んでる人」とか。そういうやり方もあると思うんですが、僕らはそういう作り方が得意じゃないのかもしれないですね。
山田 どんな曲が出て来るのか自分でもわからないんですよ、僕は。心温まるような曲を作りたいと思っていても、ドロドロの失恋ソングが出来たり(笑)。チーム全体で「恋愛の歌を作っていきましょう」ということになっても、ぜんぜん違う曲を書き出しちゃったり…。でも、それが大事だと思うんです。その瞬間を切り取りながら、そのときに出来たものを優先するというか。だからアルバムを作るときも、ひとつのテーマで括ることが出来ないんですよね。今回の『47【ヨンナナ】』も、「4枚目のアルバム、7年目」っていうタイトルなので。
──しかも吉田さんと山田さんは、ソングライターとしてまったくタイプが違いますからね。それが吉田山田の魅力につながっているというか。
吉田 ここ2〜3年は一緒に曲を作るというよりも、それぞれ制作することが多いんですよ。この前、ある人に「詞を書いてみたいんだけど、どうしたらいい?」って聞かれたんですけど、そのときに思ったのは「いきなりパッと書けるものじゃないよ」ということだったんです。日常の積み重ね、生きるっていう行動をしているなかで、いろいろなことに直面するじゃないですか。そのすべてに“歌う”というフィルターを通して考えていないと、たぶん詞は出てこないと思うんですよね。この2〜3年はそれを突き詰める時間だったと思うし、だからこそ今回のアルバムは最高傑作になったと思っていて。自分で育んできた心をちゃんと歌に出来たなって。
山田 僕の場合、心が震えるような経験をしなと何も出てこないんですよね。だから、そういう場所に身を置くことが大切なんだろうなって。たとえばファッションショーに出て100m歩くだけで、なんだか泣きそうになったりするんですよ。そういうときは「何だこの気持ち?これをちゃんと形に残さないといけないな」って思うので。すぐには言葉に出来ないし、それが良い意味でフラストレーションになることもあるけど、曲として形に出来たときはすごくスッキリするんですよね。
──『47【ヨンナナ】』の楽曲をライブで聴けるのも楽しみです。
吉田 アルバムが完成するまでは、ツアーがめちゃくちゃ不安だったんですよ。でも、マスタリングが終わって聴いたときに「胸を張ってツアーに行ける」という確信が持てたんですよね。既にふたりでやってる曲もけっこうあるんですけど、すごく手応えはありますね。ただ、今回のツアーは楽器が僕のギターしかないですからね。ギャラは7:3くらいにしてもらわないと(笑)。
山田 いやいや(笑)。僕もタンバリンをがんばります!
──(笑)そして8/20(土)には日比谷野外大音楽堂で「吉田山田祭り2016」が開催されます。野外ライブは好きですか?
吉田 大好きですね!…虫以外は(笑)。以前、大分の山奥にある遊園地で歌わせてもらったことがあるんですけど、時間帯が夜だったから、ライトが当たった瞬間に虫が20〜30匹くらい体についちゃったんですよ。
山田 白いシャツがドット柄に見えるくらいの(笑)。
吉田 そのときに「自分はプロなんだな」って思ったんですけど、歌ってるときに虫が口に入っても、何もなかったかのようにライブが出来て(笑)。でも、外は気持ちいいですからね。僕らは「日常にフィットするような音楽をやりたい」と思っているんですけど、野外の会場だと、日常の音も聞こえてくるじゃないですか。特に夏場はセミも鳴いてるだろうし、そういうところで自分たちの音楽を聴いてもらえるのは楽しいんじゃないかなって。
山田 そうだね。
吉田 野音のライブは僕らにとって唯一の夏祭りだし、すごく楽しみです。去年の夏祭り(2015年8月29日に東京・上野水上音楽堂で行われた『吉田山田祭り2015〜ホロリもあるよ〜』)も楽しすぎて、ステージで「来年もやります」って勝手に言っちゃったんですよ。
山田 僕も野外は大好きですね。外のライブというだけでお客さんの心も開放的だろうし、僕らも含めてスタートの時点から自由度が高いので。雨が降ってもおもしろいだろうし、何が起きても、きっといい時間になると思います。野外でもいろんなことをやりたいですね。いつかはお神輿に乗ったり、花火を打ち上げたりもしたいなって。
──春から夏にかけてはライブ三昧ですね。体調の管理も大変そうじゃないですか?
吉田 もちろん精一杯気を付けますけど、なるようになれと思ってるところもあって。
山田 うん。いままで一度もライブを飛ばしたり、レコーディングで歌えなかったことがないんですよ。
吉田 だからこんなスケジュールになるんですけどね(笑)。「休みがほしい」って口では言うんですけど、そういうふうに言えることがいちばん幸せなのかもしれないですね。僕、3日くらい休むと「何やってるんだろう?」って落ち込んでくるんですよ。47都道府県ツアーをやり終えても、それで今年が終わるわけではないし、得るものもたくさんあると思うので。何だかんだ言って、ふたりともマジメですからね(笑)。
■ツアーに向けコメント到着!!