──でも、秀仁くんの「トカゲのロミオ」とか、中盤からすごく明るく開けますよね。80年代にトリップした感覚になる。
石井 そうそう。ZIGGYみたいでしょ。そこ狙ったんです。
桜井 そこはcali≠gariというバンドのいつもの特性でもあるよね。
──たしかに、青さんの「トイレにGO!」もそうですからね。
石井 そう。でもたしかに、最近特に多いのかもしれないですね。突然繋がってないようなサビが出てきたりとかね。
──でも、その最初に作ってた開け具合は、またニュアンスが違ったってことなんでしょうね。
桜井 そう。2曲目に作った曲がね、1番最後に置いてある「深夜、貨物ヤード裏の埠頭からコンビナートを眺めていた」なんですよ。
石井 結果この曲を1番最初に録ったもんね。
桜井 そう。
──この曲こそ暗いですもんね。すごくドラマチックだし。
桜井 最後に焦燥感みたいなものを残したかったというか。自分の曲は1月くらいにはあって、1曲だけ「汚れた夜」っていう曲だけ、無くなってしまった曲の代わりに突貫で作ったんです。
──そうなんですね。でも、「汚れた夜」は、明るくはないけど、すごく暗い訳ではないというか。
桜井 そう。サウンド面的にはね。でも、シングルとアルバムと完全に顔を変えなくちゃいけないというのが意識的にあったので、そこはアルバムの顔というか。やったことないことをやりたかったんですよね、今回。そういう意味で私の中で「色悪」はシングルだったんですけどね。自分が作った曲の中で言えば、「ゼロサムゲーム」とかは完全にやったことない曲でしたね。
──でも、「ゼロサムゲーム」は秀仁くん曲かと思いましたけどね。
石井 あぁ、それすごく分かる。俺もこの曲聴いたとき、なんか俺が作りそうな曲だなって思った(笑)
──ちょっと和製T・Rex的なイメージというか。
石井 「Metal Guru」的な調子っぱずれ的なとことかでしょ。
桜井 そんな名曲と比較してくれるなんて、めちゃめちゃ嬉しいですよ。
村井 なるほど、そう聴こえるんだぁ。嬉しいですね。
──わざと外す感じもcali≠gariの個性の1つだなって。
石井 そういうのは、青さん発信で青さんから学んだ様なものだから。俺も研次郎くんも普通は外さないから。普通は外せないですからね。難しくて出来ないですよ。
村井 意識しないと出来ないよね。
石井 絶対歌えないでしょ、これ!っていう曲が多いから。)
──そういう青さんの感性ってどういうところからきてるんですかね?
桜井 年の功じゃないですか(笑)?石井さんも研次郎くんも、それぞれ特化した音楽性を持っているんだけど、このバンドってすごく歪なんですよ。その歪さが集まると、綺麗な五角形になっていくんだと思うんですよね。
──そうですね。今回、気になるところでは、「0‘13“I」「0‘13“II」「0‘13“III」と、インストが3ヶ所に入ってますが、これはそれぞれテーマがあるんですか?
桜井 インストはジョン・ケージの「4分33秒」をパクったんです。ただ、パクっただけじゃなんなので、テーマに合せた場所で13秒の音を録音してきたんです。「0‘13“I」はちょっと言えないような場所ですけど、「0‘13“II」はスタジオの無音状態で、完全に4分33秒」のパクリですね。「0‘13“III」は川崎の工場地帯です。千鳥町っていう、よくバイクで行く場所なんですけど、iPhoneで録音してきたんです。
狂信盤のジャケットは、漫画家・魔夜峰央書き下ろし!