4月29日からスタートするLINDBERGのツアー、<リンドバーグシングルコレクション“春”~『リンコレ』in じゃぴゃ~ん!>はタイトルからもわかるように、シングル曲で構成されたステージとなる予定だ。この形態でのライブは彼らにとっても初めてとのこと。シングル曲はアルバム収録曲以上に、ピンポイントでその時代その時代とリンクしているケースが多い。思い出がたくさん詰まった曲たちによって、瞬時に過去に遡っていく感覚も味わえそうだ。観客もともに歌う熱い空間が出現するのは間違いないだろう。ツアーに向けての思いをメンバーに聞いていく。
インタビュー/長谷川 誠
──全編をシングル曲で構成するツアーを決めたいきさつは?
川添智久(Ba) チェリー(小柳)が最初に言い出したんじゃなかったっけ。
小柳昌法(Dr) みんなで集まったときにツアーをどういう内容にするか、色々な案が出たんですが、僕がたまたま車の中で考えたのは“パリコレ”的なイメージでシングル・コレクションはどうかなってことだったんですよ。略すとホントは『シンコレ』になるんですが、LINDBERGだし、『リンコレ』はどうかなって。
渡瀬マキ(Vo) そしたら、それが見事に通っちゃった(笑)。まだやってなかったんだっけ?って思ったんですけどね。
川添 シングルだけっていうのはやってない。
──平川さんはどう思いましたか?
平川達也(Gt) 今まではアルバム中心でツアーをやってきたんですが、新しいアルバムも出てないですし、これはこれでおもしろいものにしていけたらなって。
渡瀬 永年、アルバムを出して、アルバムツアーをやってという流れで来ていたので、自分たちにとっても新鮮なんですよ。
──シングルとカップリングも合わせると、80曲近くありますが、選曲の基準というと?
渡瀬 今まさに話し合っている最中なんですけど、リハが始まったら徐々に固まってくると思います。
──やはりリハーサルをやってみないと、曲順は決まらないですよね。
川添 そうなんですよ。今回のツアーはせっかくだからカップリング曲もやれたらと思っています。B面曲の中にはレコーディング以来、まったくやっていない曲もあるので、実際に演奏してみて、判断していこうと思っています。B面曲って、ライブのセットリストからはずれることが多いんですが、実はクオリティーは高かったりするんですよ。というのはアルバムに向けて作った曲の中からまず最初にシングル候補曲を選んで、そこからA面曲が決まって、残ったものがB面になるという流れがあって、最初の段階では勝ち残った曲であったりするので。
──カップリング曲って、アルバムには収録されないケースも多いので、日陰者になることが多いですよね。
川添 そうなんですよ。そこにも光を当てつつ、選曲していこうと思っています。
──LINDBERGのシングル曲は作詞はほぼ渡瀬さんですが、作曲は平川さん、川添さん、小柳さんが担当していて、多彩です。
川添 3人が交互にやるので、同じ作曲者が続かないし、ワンパターンにならないんだと思います。前の曲がこう来たら、自分は違うところを目指すという流れが出来ていました。
──シングル曲に関して、何か心がけていることはありますか?
渡瀬 達ちゃん(平川)は順序が逆なんだよね。
平川 シングルを意識して作ることはほとんどなくて。アルバムの曲として作っているものがたまたまシングルに選ばれるという順番なんですよ。僕はもともとアルバム志向なので、チャートにしてもシングルよりもアルバムのチャートのほうが気になるし、アルバムが評価されるほうがうれしい。ただ、タイアップが付いて、“こういうものを作って下さい”という話が先にある場合もあって。そうすると、作り方が若干変わるのが作り手としておもしろいと思う部分もありました。
──これまでに発表してきたシングルで、印象に残っているもの、ターニング・ポイントになったものをあげていただけますか?
渡瀬 私は「もっと愛しあいましょ」(1995年11月11日リリース)ですね。バンドにとっても新たな一面を見せられた曲なのではないかと思ってます。初めて振り付けもしたし、プロモーション・ビデオも普通とは違うものを作っていった。遊び心を自分たちの新たな武器のひとつとしたきっかけの曲だと思います。
──コミカルなノリがあって、突き抜けてますよね。
渡瀬 この曲で自分たちの遊び心に火が付いたんじゃないかと思います。
川添 コスプレにも目覚めまして(笑)。レコード会社が変わった時期で、関わった担当者も変わったので、やっちゃえ、やっちゃえって、やりすぎて、事務所の人間が引いていました(笑)。
小柳 僕たちが独立したあと、解散のちょっと前に僕がシングルのPVの映像を担当させてもらった曲がいくつかあるんですが、僕はそれらの曲が印象に残っています。「you were there」(2002年1月1日リリース)、「it’s too late」(2002年8月7日リリース)あたり。曲も映像も初期の頃のような前に飛びだしていくという前向きなイメージではないんですが、初期の頃とは違う大人なLINDBERGが表現できたんじゃないかと思っています。