音楽家・梁 邦彦、日韓を中心に自在かつブレない音楽活動を展開している彼が、2024年を総括。恒例の品川教会ライブの展望も語る

インタビュー | 2024.11.29 17:00

豊かに温かい気持ちになって、締めくくれたらいいですね

──今年の品川教会でのコンサートも、ピアノソロというスタイルです。
昨年まではサポートメンバーがいたのですが、あえて自由に流れを作っていけるピアノソロにしました。もちろん、カチッと決めて演奏する部分もありますが、出来るだけ自由に。韓国ではたびたび、大きな編成のコンサートをやりますし、作り込まれたステージの良さもありますが、今回は教会という事も踏まえその瞬間自分のやりたい&言いたいこと、そして聴いてくださる皆さんのことも感じながら、自然に表現する方法を選びました。
──やりたいと思ったことを瞬間的に演奏に反映できるのは、生のライブだからこその醍醐味でもありそうですね。
そうですね。リクエストされて、その曲を演奏する人もいますが、僕はそういう形より、その時に自分の中で感じていることを大切に演奏したいです。時期が時期ですから、クリスマスソングもやるでしょうし、“この曲をやっちゃおうかな”という思いつきやノリも大切にしたいですね。カバーもやるかもしれません。僕は編成の大きいコンサートはむしろ慣れていますが、ソロでやるほうがミュージシャンとして、奮い立たせられる部分があります。
──品川教会でのコンサート、どんな空間にしたいと思っていますか?
基本はクリスマスまっしぐらです(笑)。クリスマスにはいろんな側面があって。みんなで集まって楽しくパーティーをする、いつもよりも少し敬虔な気持ちになる、いろいろなことを思い出すなど、さまざまな要素があると思うので、思いを持ち寄り、共有しながらも、みんなが楽しくてハッピーになれるコンサートにしたいです。その上で、ピアノ1台で表現できる多様性も表現できたらと考えています。EP『思惟II:超越(transcendence)』の曲もやるかもしれません。弥勒菩薩像をモチーフにした曲を、キリスト教の品川教会で演奏することは、自分にとっても意義深い体験になるのではないかと思っています。あとは、僕自身、映像音楽に多く関わっているので、映像音楽も含めて、バラエティに富んだコンサートにしようと思っています。豊かに温かい気持ちになって、締めくくれたらいいですね。

バランスを取りながら、2025年はライブ活動を増やしていきたい

──今後の活動についてもうかがいたいのですが、梁さんが音楽で参加された『ドキュメンタリーシリーズWHO I AM パラリンピック』と『ドキュメンタリーシリーズ WHO I AM LIFE』がエミー賞候補としてノミネートされていて、11月25日に受賞作の発表があります。
エミー賞、獲ってほしいですね。『ドキュメンタリーシリーズWHO I AM パラリンピック』は次のシーズンも始まる予定で、今、その音楽を制作している最中です。当初は、スケジュール的なこともあり、僕は新しい制作には参加しない予定で進んでいたんですが、たまたまSNSで次のシリーズはこういう形になるという情報を見た瞬間、制作チームに「どんな場面でもいいから、曲を作らせてほしい」と連絡し、なかば強引に参加させてもらいました。アスリート&製作陣、みんなの思いが一つになっている番組で、パラリンピックで頑張ったヒーローたちに勇気をもらえます。番組を観て、そうしたことも感じてもらえたら、うれしいですね。
──『ドキュメンタリーシリーズWHO I AM パラリンピック』の音楽は、どんな意識で制作されたのですか?
どんな作品でもそうですが、自分が関わる時にもっとも大切なのは、何を表現するのかを明確に意識することです。楽曲製作者として一番うれしいのは、原作や映像のストーリーに自然に引っ張られることです。原作の力が強いと、導かれて行きます。そうして作ることが、自分にとっても幸せなことです。ただし、そうではないケースもあって、試行錯誤しながらたどり着くこともあります。『WHO I AM』は前者でした。感動して導かれここに行くしかないという感覚。ただ当初は“困難を乗り越え克服していく”という部分にフォーカスし過ぎてしまい、 その時点では“長いトンネルを抜けていく”的な多少重めの音楽になっていました。しかしスタッフから「そういう面もあるけれど、選手たちは皆とても明るく、しかも祝福されているんです」と聞いた瞬間、確かにその通りだなと。俯瞰してみると、アスリートはもちろん前向きで家族との絆も素晴らしく、僕達が彼らに明るい希望と光をもらっていることに気づきました。そして修正後、しっかりハマって作品としても確かな手応えがありました。
──人々から刺激を受けたり、影響を受けたりすることも、音楽を作る原動力になっているんですね。
そうですね。音楽を作るうえでは、そうした刺激を受けざるを得ないし、受けるべきだと思います。
──2025年の抱負についても、うかがいたいのですが、まず、年明けの早い段階で、梁さんが音楽を担当されたWOWOWの連続ドラマW『ゴールドサンセット』が放映される予定です。
これはもう制作を終えています。その他の活動として現段階で発表できることは少ないのですが、海外とのコラボで大型ゲーム音楽制作も進めています。
──まだ決まっていないけれど、こんなことをやりたいというのはありますか?
2025年は今年よりも多くコンサートをやろうと思っています。
──コンサートもいろいろな形態でやられています。オーケストラとの共演やバンドライブもありますし、12月にはソウルで押尾コータローさんとのデュオコンサートもあります。
僕はいろいろな形で演奏するのが好きなんです。大編成もバンド編成もいいし、ソロもいい。2025年もいろいろな形でやりたいですね。制作のジャンルもコンサートも多様な形でやっているので、人から見た場合、捉えどころがないと思われるかもしれません。
──でも逆に、自分のやりたいことを素直に選んで、自由かつ柔軟に音楽活動を行っているという意味では、首尾一貫していて、まったくブレていないのではないですか?
そういう意味では、全くブレていないと思います。結局、ある創作に関わりながら、別のプロジェクトがまた魅力的だと、それもやってみたくなるということだと思います。ただ、制作量が多くなりすぎると、身動きが取れなくなるので、気を付けています。そして空いている時間には覚悟を決め、しっかりライブやっていくつもりです。
──お話をうかがっていて、納得したことがあります。さまざまな、そしてたくさんの音楽制作を行っていて、アイデアが尽きてしまわないのだろうかと思いそうになりますが、さまざまな活動をしているからこそ、多様な刺激や影響を受けて、そのことがまた創作の源泉になっているのだろうなと感じました。
そうかもしれません。いろいろなプロジェクトに関わると、多くの刺激を受けます。自分がライブをやる時に、そうした経験が影響を及ぼす部分もあるだろうし、逆にライブ活動が、制作に影響を及ぼすこともあると思います。相互作用というか、僕には両方必要なのだと思います。そのバランスを取りながら、2025年はライブ活動を増やしていきたいです。

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