──今後の活動についてもうかがいたいのですが、梁さんが音楽で参加された『ドキュメンタリーシリーズWHO I AM パラリンピック』と『ドキュメンタリーシリーズ WHO I AM LIFE』がエミー賞候補としてノミネートされていて、11月25日に受賞作の発表があります。
エミー賞、獲ってほしいですね。『ドキュメンタリーシリーズWHO I AM パラリンピック』は次のシーズンも始まる予定で、今、その音楽を制作している最中です。当初は、スケジュール的なこともあり、僕は新しい制作には参加しない予定で進んでいたんですが、たまたまSNSで次のシリーズはこういう形になるという情報を見た瞬間、制作チームに「どんな場面でもいいから、曲を作らせてほしい」と連絡し、なかば強引に参加させてもらいました。アスリート&製作陣、みんなの思いが一つになっている番組で、パラリンピックで頑張ったヒーローたちに勇気をもらえます。番組を観て、そうしたことも感じてもらえたら、うれしいですね。
──『ドキュメンタリーシリーズWHO I AM パラリンピック』の音楽は、どんな意識で制作されたのですか?
どんな作品でもそうですが、自分が関わる時にもっとも大切なのは、何を表現するのかを明確に意識することです。楽曲製作者として一番うれしいのは、原作や映像のストーリーに自然に引っ張られることです。原作の力が強いと、導かれて行きます。そうして作ることが、自分にとっても幸せなことです。ただし、そうではないケースもあって、試行錯誤しながらたどり着くこともあります。『WHO I AM』は前者でした。感動して導かれここに行くしかないという感覚。ただ当初は“困難を乗り越え克服していく”という部分にフォーカスし過ぎてしまい、 その時点では“長いトンネルを抜けていく”的な多少重めの音楽になっていました。しかしスタッフから「そういう面もあるけれど、選手たちは皆とても明るく、しかも祝福されているんです」と聞いた瞬間、確かにその通りだなと。俯瞰してみると、アスリートはもちろん前向きで家族との絆も素晴らしく、僕達が彼らに明るい希望と光をもらっていることに気づきました。そして修正後、しっかりハマって作品としても確かな手応えがありました。