デビュー25周年だった昨年=2022年に6年ぶりの新音源『Shadows』を発表し、2022年11月から2023年1月にかけて、そのリリースツアーを回ったOBLIVION DUST、次のアクションは、東京での対バンイベント。『Electric Mirror』と銘打って、2023年8月2日(水)・3日(木)に、渋谷・Spotify O-EASTで2デイズを行う。1日目に迎えるゲストはNewspeak、2日目はRED ORCA。デビューから26年間、いろんな意味でワン&オンリー、かついろんな意味で「孤高」だったOBLIVION DUSTが、このような形で他のバンドと交わるのは、かなりレアな機会のではないか。
というわけで、DI:GA ONLINEでは、OBLIVION DUSTのKEN LLOYDと、対バン相手のフロントマンとの対談企画をお届けする。まず最初は、1日目の方の対バン、Newspeakのシンガー&コンポーザーであるReiとKENとの対談です。
というわけで、DI:GA ONLINEでは、OBLIVION DUSTのKEN LLOYDと、対バン相手のフロントマンとの対談企画をお届けする。まず最初は、1日目の方の対バン、Newspeakのシンガー&コンポーザーであるReiとKENとの対談です。
──お互いのことはご存知でした?
KEN LLOYD(OBLIVION DUST/Vo)もちろん名前は知っていたというか、SNSとかで見かけることがあった。今回、音源をちゃんと聴いたら、もう、すごいおしゃれで、かっこいいなと思って……いちばん印象的だったのが、歌の英語の発音の良さ。すげえなあ、と思って、写真を見たら、外国人の人がいるから、てっきりその人がボーカルだと思ってたんですよ(笑)。
Rei(Newspeak/Vo,Key)よく言われます。
KEN で、歌詞を見ても、レベルが……なんて言えばいいのかな、日本のバンドのレベルを超えてる歌詞だったので。とにかく「えっ!?」と思って。「自分はなんでもっと前に知らなかったんだろう」っていうぐらい。だからすごい楽しみですね、対バンするのが。
──つまりKENさんは、英語で歌っている日本のバンドの、発音や歌詞の部分で、ちょっとこれは……と思うことが、これまでは多かった。ということですよね(笑)。
KENいや、全部が全部そうじゃないですよ?ただNewspeakの場合は、バランスがちゃんと整ってるんですよ。ネイティブの人から見てもおもしろい、考えさせられるような歌詞だったり、コンセプトとかテーマがちゃんとできあがっていたりして。普通だと、聴くとちょっと……フロウしてこない、っていうのかな。言葉が入ってこないことが多いんですよね。それって発音の良さだったりとか、どこのポイントに力を入れて歌っているかとか、そういうところで、やっぱり違うと思うんですけど。でもNewspeakは、聴いてるとすごく入ってくる、フロウしてくるから、ネイティブの人だと思ったんですよね。これはダントツに優れてるなあ、みたいな印象があった。
──Reiさんは、海外での音楽活動があるそうですが、子供の頃も──。
Rei生まれがシアトルなんですよ。でも、生まれただけで、すぐ日本に戻ってきて、日本で育ちました。ただ、アメリカで生まれたっていうのがあって、小さい頃、親に、英会話教室に通わさせられたりとか。僕もそういう意識があったというか、「アメリカにも国籍があるよ」とか言われていたので。英語には興味があって。で、大学でまたアメリカに行って、そのあとイギリスに行って、音楽をやっていたんですけど。
KENじゃあ僕とは逆なのか。僕はイギリス生まれで、18歳で日本に来たので。でも、ある意味似てるというか。僕もイギリスの日本人学校に行っていて、日本語の作文のレベルとかひどかったんですけどね。
Rei僕は、OBLIVION DUSTは、名前は知っていたんですけど、今回の対バンのお話をいただいてから、初めてちゃんと聴いたら、「うわ、めちゃくちゃ発音いいな」って思って。
KEN(笑)。
Reiで、調べて、「あ、イギリスの人なんだ」ってわかったんですけど。それで、音楽がめちゃくちゃかっこよくて。すごいハイブリッドというか、日本っぽさもあったり、アメリカっぽさもあったり、イギリスっぽさもあったり。あと、思い切った他ジャンルの入れ方がすごいかっこいいなと思って。僕らが作る時って、他ジャンルの……たとえばハウスとかのクラブ・ミュージックみたいなのを、バンド・サウンドに混ぜる時、もっと自然になじませちゃうというか。よく聴いたらそういうジャンルが入ってる、みたいな混ぜ方にしちゃうんですけど、OBLIVION DUSTは、そのまんまの形で思い切ってイントロに入れちゃうとか、中盤でEDMのシンセがバーンと入ってくるとか。そういうのがすごい斬新で、かっこいいなあと思いながら聴いていましたね。新しいなと。
KENありがとうございます!
──キャリア的にはOBLIVION DUSTの方がだいぶ長いので、ReiさんからKENさんに訊いてみたいことが、何かあれば──。
Reiやっぱりいちばん訊いてみたいのは、ベーシックは英語でやってらっしゃるじゃないですか? それを日本で、長い間、あれだけたくさんの人を相手にやり続ける、伝えるっていうことを、どうやってやられてきたんだろうな、というのが知りたいです。ここまで多くの人を惹きつけて、それをやり続ける、っていうのが。僕らも英語でやっているので──。
KENああ、難しいですよね。そこはすごく悩むところだと僕も思っていて。OBLIVION DUSTがデビューしたのは、1997年だったので、オール・イングリッシュでやっているバンドは、今ほど多くなかったと思うんですよね。だから、スタートした時に、レコード会社とか、マネージメントなどからプレッシャーはやっぱりあったっていうか。
Reiああ、そうだったんですね。
KENだから、はじめからオール・イングリッシュではなくて、最初の3枚ぐらいのシングルは、日本語を混ぜた感じでやっていて。ただやっぱり、その時の自分の気持ち的にも、あまりのってなかったというか。「ああ、こういうもんなのか」と思いながら、やっていた感じはちょっとあって。自分から日本語で歌いたいって思うような曲じゃなかった、というのも大きいんだけど。だからそこの部分は後悔はありつつ、でも今の時代とちょっと違うなと思うのは、やっぱり今の方がボーダレスになっていっているから。
Reiそれはそうですね。じゃあ英語で歌う時、工夫しているとか、気をつけているところって何かあります?
KEN英語で歌っていくことで僕が意識している部分は、もし、リスナーやオーディエンスが歌詞が入ってこなくても、歌のフロウとして入りやすい言葉のチョイス。聴いてて心地いい言葉に……。それはべつに、優しい言葉とか、可愛い言葉とかいうわけじゃなくて、音楽とマッチするような言葉を選んで、メロディを選んで、っていうところにすごく時間をかけるというか。
Reiああ、ああ。
KEN邦楽しか聴かない人たちでも、「このバンドは英語なのにスッと聴けるな」と思えるように。日本で売れてる洋楽のアーティストって、彼らは意識的ではないんだろうけど、スッと入ってくる感じがするんだよね。
Reiうん、うん。
KENたとえば僕のラジオ番組で洋楽をかけて、そのあとリスナーのコメントを見てると、「普段洋楽は聴かないんだけど、このバンドはスッと入ってきます」っていう反応があったりとか。そういうところかな、僕が意識してる部分は……話が長くなっちゃったけど。
Reiいえいえ、すごいありがたいです。
──でも、Newspeakのような若いバンドでも、「いや、英語で歌うの、べつに普通でしょ」という感じではない?
Rei僕にとっては英語の音楽を聴いて育ったし、音楽を英語で表現することは普通です。
ただ、第一言語は日本語ですし、日本の音楽も普通に好きなので、日本語でもやってみたいな、という気持ちもあって。初期に一曲やってみたことはあるのですが、葛藤はいろいろとありましたよね。
やっぱりフロウが変わっちゃうというか、英語と日本語って、別の楽器みたいなイメージなので。そこはいろいろ考えたりしてますけど。だから、英語でずっとやってきておられるKENさんに、秘訣を訊いてみようと思ったんです。
ただ、第一言語は日本語ですし、日本の音楽も普通に好きなので、日本語でもやってみたいな、という気持ちもあって。初期に一曲やってみたことはあるのですが、葛藤はいろいろとありましたよね。
やっぱりフロウが変わっちゃうというか、英語と日本語って、別の楽器みたいなイメージなので。そこはいろいろ考えたりしてますけど。だから、英語でずっとやってきておられるKENさんに、秘訣を訊いてみようと思ったんです。
KENなんの秘訣もないけどね(笑)。
──特にアメリカですけど、ロックバンドというスタイルがチャートやシーンの端っこにしかいない、という現状に対しては、どのように感じます?
Reiやっぱりせつないですよね。ロックバンドがいちばん僕のルーツにあるし、好きだったので。だから逆に、日本はまだ、かなりロックが生きてる場所なんだろうなと思います、アメリカとかに比べると。でも、時代によってまた、ロックが戻ってくることもあると思うし。パンチのあるギターが鳴っている曲は、アメリカでもちょいちょい出てきていると思うので。そういうのに期待したいですよね。たぶん僕らは、ロック以外できないので。ロック以外をやるぐらいだったらほかの仕事するわ、という感じだと思うし。そこは信じてやっていきたいですけどね、ずっと。
KENバンドサウンドが好きなんだね。
Reiはい、今まで好きで聴いてきたものも、そうなので。あと、もともと音楽を始めたきっかけも、サッカー部の友達と「文化祭でバンドをやってみようぜ」ってなって、近くのリサイクルショップで5000円ぐらいのギターを買って、みんなで音を出してみたら「むちゃくちゃ楽しいじゃん!」っていう。それが原体験なので。何人かで音を出してテンションが上がる、みたいなのが、好きなんでしょうね。
──対バンする当日、楽しみなことがあれば、それぞれ教えていただけますか。
Reiもう単純に、OBLIVION DUSTのライブを観れるのがめちゃくちゃ楽しみですね。初めてなので。
KEN僕はまず、生で歌を聴きたいな、っていうのが大きいかな。あと、カナダ人のドラムの人、国籍が違うメンバー同士が、ステージ上でどういうケミストリーを起こすのか、とかも。そういう部分、すごく興味あるんですよね。
──あ、OBLIVION DUSTも、初期はベースがイギリス人でしたよね。
KENそうそう。その頃の自分たちと、ちょっと比べちゃう部分、あると思うんだよね。そういうのも楽しみです。
PRESENT
KEN&Reiの直筆サイン色紙を1名様にプレゼント!
受付は終了しました