神はサイコロを振らない、メジャー1st フル・アルバム『事象の地平線』完成。「バンドをやってると、ドラマみたいなことがたくさん起きる」

インタビュー | 2022.03.01 18:00

神はサイコロを振らないが、メジャーからのファースト・フルアルバム『事象の地平線』を完成させた。2020年春に「夜永唄」がTikTokから火が点いてバイラルヒットとなり、その後ユニバーサルミュージックと契約。以降、2020年7月の「泡沫花火」から2021年10月の「タイムファクター」までの配信シングル9曲と、2020年11月の配信限定EP『文化的特異点』からの曲も加えた既発の14曲、さらに新曲を6曲書き下ろした全20曲を、2CDでリリースするという、型破りなファースト・アルバムである。初回限定盤には、2021年5月30日(日)にZepp Tokyoで行ったライブのDVDも付く(そのライブのレポはこちら「神はサイコロを振らない。ステージと客席の間をエネルギーの塊が飛び交った豪快なライブ」)。

DI:GA ONLINEでは、本作についてと、本作に至るまでの歩みについてのインタビューをまず行い、続いて、本作をリリースしてから行う3月20日(日)日比谷野外大音楽堂&4月10日(日)大阪城音楽堂の東阪野外ライブと、それ以降のリリース・ツアーについてのインタビューを、4人に行った。まず1本目、本作についてと、そこまでの歩みについてのインタビューをお届けする。

バズるバズらないを軸にして音楽を作ってしまうと、そもそもなんのために音楽を作ってるのか、わからなくなる(柳田周作)

──『事象の地平線』を、CDで2枚組、20曲というボリュームにしたのは?
柳田周作(Vo.)2020年の夏以降、デジタル配信をずっとしてきまして。それぞれの曲、すべてかわいい子供のような気持ちで作っているんで、ちゃんと盤っていう形で残したかったですし。そうなってくると、2020年夏以降に配信してきた楽曲だけで14曲あって、それだけだと総集編みたいになっちゃうので、さらに新曲を6曲作って、神サイの名刺になるような超大作を作りたい、っていう話になっていきましたね。
黒川亮介(Dr.)やっぱり今は、曲がすごく消費されていってるな、っていう感覚があって。流行りの曲もすぐ変わるし。でも、自分たちが出した曲っていうのは、生きた証というか、本当に魂を込めて作ったものなんで。それをデジタルリリースだけで終わりにはしたくなかった、というのは大きいですね。
──前にインタビューした時に、「夜永唄」がバズった時に、このままだと「2020年にちょっと流行ったバンド」で終わってしまうかもしれない、そうならないためにはどうするか、というのが課題だ、とおっしゃっていて。
柳田はい。でも、「夜永唄」に関してだけじゃなくて……考え方が変わったのかもしれないですけど、バズるバズらないはもう自分の中では……そこを軸に曲を作ってしまうと、そもそもなんのために音楽を作ってるのか、わからなくなる、というか。
黒川うん。
柳田神サイには神サイでしか表現できない音楽があるわけで、それをつきつめて行った時に……「夜永唄」も、誰かのために書いた曲ではないし。自分のために書いた曲だったんですよ。それがほんとに運良く、ああいう形で広まって。ただ、だとしても、自分の中ではあんまり関係ないというか。自分のエゴの塊みたいな感じで、ひたすら楽曲を作っていくことが、使命というか。その後もずっとそういう気持ちで、楽曲制作に取り組んでいたので。バズるバズらないは……そういう作り方はあんまりよくないな、それこそ消費される音楽になっちゃうな、と。それよりも、この四人で出したい音をつきつめて、自分が表現したい詞をつきつめることに、ひたすら集中した1年半でしたね。

バンドの土台に、ポスト・ロックはしっかりありますね(吉田喜一)

──このアルバムの20曲、音のバラエティがすごくありますよね。何年か前の神サイのインタビューを読んで知ったんですけど、初期はポスト・ロックみたいな音楽性だったそうで。
柳田はい。そもそも神サイが始まった時、特に僕と吉田(喜一/Gt.)が、すごくそっちの音楽が好きで。20歳ぐらいで、ポスト・ロックに足を踏み入れた時に、「こんなかっけえ音楽があるんや!?」ってびっくりして。TOEとか、LILI LIMITにすごく影響を受けて。それが神サイの初期の頃で、亮介にずっと「柏倉(隆史)さんみたいなドラムを叩いてくれよ」って言ってたような。
──「日本一になってくれ」って言ってるようなもんですね、それは。
柳田(笑)。そういうむちゃを強いてたことも憶えてます。
吉田喜一(Gt.)初期の作品に関しては、そういうポスト・ロックのエッセンスとか、ジャパニーズ・オルタナティヴみたいな片鱗はありますね。だから、バンドの土台に、ポスト・ロックはしっかりありますね。
柳田その感じを、ここに来て、ちょっと出したくて。「僕だけが失敗作みたいで」という、Disc 2の最後を飾る曲は、そういうアレンジに……ギターのアルペジオを二本絡ませて、みたいなこともやっていたりするし。あと、「徒夢の中で」っていう曲も、そういうアプローチを取り入れたりしてるし。
──でも、ずっとそのままポスト・ロックじゃなく、歌ものでもある方向に行き始めたのは?
柳田あ、でも、初期の楽曲を聴き返しても、歌メロ自体がポップなのは変わらなくて。だから、変わったのはアレンジのアプローチだけで。自分の中で、もっと歌っていうものを伝えたい、ってなっていくと、ある時期から、すごく引き算をするようになっていって。よりシンプルな方向に、アレンジを組んでいくようになったんです。バンドとしての始まりは、ポスト・ロックとかシューゲイザーがみんな好きだったんですけど、僕はもともとずっと弾き語りをやってたんですよ。で、秦(基博)さんとかにも、むちゃくちゃ影響を受けてたし。だから、全然自分の中では違和感はなかったっていうか。で、よりシンプルにしよう、引き算していこうっていうのから、今、一周回って、またアレンジでおもしろいことをやりたいなと思う自分もいて、「僕だけが失敗作みたいで」や「徒夢の中で」で、それをやってみたって感じですね。
吉田ただ、「こういうジャンルの音をやろうぜ」とかは、最初から、特に話したことはなくて。おもしろいことがしたいだけ、というので、今に行き着いてると思います。

【神はサイコロを振らない】「事象の地平線」全曲試聴 Trailer

公演情報

DISK GARAGE公演

神はサイコロを振らない 野音Live 2022
「最下層からの観測」

2022年3月20日(日) 日比谷野外大音楽堂・東京
2022年4月10日(日) 大阪城音楽堂・大阪
OPEN17:00 / START18:00

チケット料金:¥4,500(税込・指定席)

チケット一般発売日:2022年2月26日(土)10:00〜

神はサイコロを振らない Live Tour 2022 「事象の地平線」

2022年5月21日(土) 福岡 UNITED LAB・福岡
2022年5月22日(日) 宮崎 LAZARUS・宮﨑
2022年5月28日(土) 周南 RISING HALL・山口
2022年5月29日(日) 松江 B1・島根
2022年6月4日(土) 仙台 Rensa・宮城
2022年6月11日(土) 札幌 PENNY LANE 24・北海道
2022年6月18日(土) BLUE LIVE 広島・広島
2022年6月19日(日) 高松 festhalle・香川
2022年6月25日(土) 新潟 LOTS・新潟
2022年6月26日(日) 金沢 EIGHT HALL・石川
2022年7月3日(日) 名古屋 DIAMOND HALL・愛知
2022年7月10日(日) Namba Hatch・大阪
2022年7月16日(土)17日(日) LINE CUBE SHIBUYA
¥4,500- (税込・ドリンク代別途必要)※東京公演のみドリンク代不要

<優先最速先行>
◆Major 1st Full Album 「事象の地平線」購入者限定最速先行
エントリー:2022年3月1日(火)12:00-3月6日(日)23:00
※詳しくは、Album『事象の地平線』封入用紙をご確認ください。

RELEASE

『事象の地平線』

Major 1st Full Album

『事象の地平線』

2022年3月2日(水)SALE
※初回限定盤(2CD+DVD)、通常盤(2CD)の2形態

※画像は上から初回限定盤、通常盤

  • 兵庫慎司

    取材・文

    兵庫慎司

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