──なるほど。あとVersaillesは耽美派最強とよくいわれてますが、ここでいう”耽美派”とはどういうことなんでしょうか?
美しさを求めるのが耽美派と言われてますけど、そこからさらに美しさの裏にある影や魂、それぞれが背負っているものを感じさせるところまでをVersaillesでは表現したいと考えていまして。それが、Versaillesが表現している新しい耽美主義だと思っています。美しさのためには手段を問わない、だけどそこにはそれを説得するだけの信念がきちんとある。そういうものを提示できたらなと思います。既存の耽美派ももちろん信念はあったんですけど、どこかワガママというか、理不尽に感じてしまうところがあったと思うんです。
──自己の美学を貫くことに己が陶酔しているようなところがあって、主観的な感じがしましたよね。
でも、僕にとって美しいものはなぜ存在するのか、なぜ人は美しいものを求めるのかというと、それを人に見せたいからなんです。
──己のためではなく、人に見せたいから存在する。そこが、新しいVersaillesならではの耽美主義ですね。
つまり、美しさというのは人のために存在するということです。美しさを見せるということは、他者にとっても美しさを見ることができる訳ですから。耽美というのは、人のため、誰かのためというところにいきつくんじゃないかなと思うんですよ。
──つまり、他者から「なんて美しいんだろう」という共感や賞賛などが得られてこそ、耽美は成立する、と。
そうです(きっぱり)。耽美は人のために存在するものですから。Versaillesは活動を始めた頃から”耽美派最強バンド”といわれてましたけど、活動を開始して、それは一体どういうものなのかというのを常に追求してきたんです。それが、自分たちの中の様式美を作り上げることにつながっていったと思うんです。
その中で、”耽美とはなんだろう”ということを何度も何度も考え直していったんですね。初期の頃は美しい=見た目も心も美しくなければいけないという、ありきたりなことしかできていなかったんです。そこからもっと深い部分まで考えだしたときに、こういった新しい耽美主義の考え方が生まれました。
──人のためにという信念があったからこそ、Versaillesの音楽は国境を越えて世界の方々に広がっていったんじゃないでしょうか。
そうだとありがたいです(微笑)。
──美の信念が、きっと世界の人々に共鳴して広がっていったんだと思います。
それはまさにVersaillesの1stアルバム『Lyrical Sympathy』のタイトル。そこにつながりましたね(微笑)。
MASASHI(Ba.)
──そうやってVersaillesに共鳴し、可能性を感じた人々の中にはVersaillesの美意識に合わせてドレスを着てライブに来る人もいれば、メタル好きのロックファンもいて。
おっしゃられたように、事実、Versaillesは様々な方に応援していただいているんですよ。Versaillesというものが自分のアンテナに引っかかった方の中には、もしかしたらロックを普段聴かない方もいらっしゃれば、もしかしたらお姫様に憧れるちっちゃいお子さん、クラシックが好きなおじい様、おばあ様もいらっしゃるかもしれない。なので、今回日本武道館をやるにあたって、ファミリーシートや託児所といったものも用意したんです。
──これはVersaillesとしては初の試みですよね?
初です。多くの方がいらっしゃれるお席をと思いまして。あとは、自分たちも長く活動してきていまして、来年で10周年になるんですよ。当時学生だった方々はもう社会人になられたので、これを機会に若い学生の方にも観ていただきたいなと思って、学割チケットなるものも用意させていただきました。
武道館で魅せる世界観は…
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