新型コロナウイルス禍でライブ活動を阻まれたあたりから、2019年5月にリリースしたミニアルバム『ラムダに対する見解』収録の「夜永唄」が、いわゆる「バズる」状態となり、同曲のリリックビデオは2021年3月17日時点で1980万回を突破、一躍その名が知れわたることになったロック・バンド、神はサイコロを振らない。
その後、2020年7月17日にはデジタル・シングル『泡沫花火』でメジャー・デビュー、そして2021年3月17日に4曲入りのシングル『エーテルの正体』をリリースし、5月14日(金)Zepp Fukuokaを皮切りに、大型ライブハウスを回る5ヵ所のツアーに出る(東京公演は5月30日(日)Zepp Tokyo)。
コロナ禍のこと、「夜永唄」のブレイクのこと、『エーテルの正体』のこと、そしてバンドにとっても、以前からのファンにとっても、「夜永唄」からの新しいファンにとっても、本当に待ちに待ったツアーについて、メンバー4人に訊いた。
その後、2020年7月17日にはデジタル・シングル『泡沫花火』でメジャー・デビュー、そして2021年3月17日に4曲入りのシングル『エーテルの正体』をリリースし、5月14日(金)Zepp Fukuokaを皮切りに、大型ライブハウスを回る5ヵ所のツアーに出る(東京公演は5月30日(日)Zepp Tokyo)。
コロナ禍のこと、「夜永唄」のブレイクのこと、『エーテルの正体』のこと、そしてバンドにとっても、以前からのファンにとっても、「夜永唄」からの新しいファンにとっても、本当に待ちに待ったツアーについて、メンバー4人に訊いた。
「夜永唄」以上のものを作らないと、2020年ちょっと名前が出たバンドで、終わっちゃうと思うので(柳田)
──1年前、コロナ禍でライブができなくなった頃は、どんなことを考えていました?
柳田周作(Vo.)僕ら、『理 – kotowari -』っていうミニアルバムを出して(2020年2月19日リリース)、そのツアーを周る予定だったんですけど、3月の末にできないことになって。「これから先、どうしていこう?」っていうのを、4人で、ケンタッキーで話して。
「今後、俺ら、ヤバいぞ」みたいな。ライブもできないし、曲はもちろん作るけど、披露する場もないし、どうしていこう……ってなった時に、「4人で音楽以外のコンテンツをできないかな」みたいな。SNSを盛り上げていこうっていう話になり、僕はTikTokを始めたりとか、4人でYouTubeで映画みたいなのを撮ったりとか、YouTubeで『神サイ学園』っていう、いろいろチャレンジする企画をやったりとか。
という中で、春の終わりぐらいに、ユニバーサルさんとの契約が決まって。それまではほんと、未来が無だったというか。同じ世代のバンドたちはみんな、同じ不安を抱えてたと思うんですけど。そういう中で決まったので、そこはめちゃくちゃ運がよかったのかな、と思います。
「今後、俺ら、ヤバいぞ」みたいな。ライブもできないし、曲はもちろん作るけど、披露する場もないし、どうしていこう……ってなった時に、「4人で音楽以外のコンテンツをできないかな」みたいな。SNSを盛り上げていこうっていう話になり、僕はTikTokを始めたりとか、4人でYouTubeで映画みたいなのを撮ったりとか、YouTubeで『神サイ学園』っていう、いろいろチャレンジする企画をやったりとか。
という中で、春の終わりぐらいに、ユニバーサルさんとの契約が決まって。それまではほんと、未来が無だったというか。同じ世代のバンドたちはみんな、同じ不安を抱えてたと思うんですけど。そういう中で決まったので、そこはめちゃくちゃ運がよかったのかな、と思います。
──SNSでいろいろがんばったのは、ライブができない中で、とにかくファンに何かを発信し続けないと、という──。
柳田そうですね。でも、嫌々やったわけじゃなくて、楽しくそういう取り組みを……将来的にこのバンドがどうなっていきたいかを考えると、音楽は大前提としてやっていきたいんですけど、音楽以外の面でも、この4人が集まって何かをすることに意味がある、創造集団みたいな4人になりたい、というのは、今あるので。
桐木岳貢(Ba.)コロナで音楽をできなくなった時に、こういう武器……とまで言っていいかどうかわかんないですけど、「こういうことができるんだ?」というのは、自分らでも思わなかったですね。やってみて思ったけど、映像を作ったりしているのって、曲を作る感覚と一緒というか。結成当初は「音楽以外のことなんかやりたくねえ」みたいな感じだったんですけど、めちゃくちゃいい機会でした。その時は、むしろ「音楽的で真面目な映像は、YouTubeに絶対上げないでおこう」みたいな──。
柳田ああ、話したね。
桐木逆にね。リモートでセッションとか、「弾いてみた」とかは、みんなやってたし。
──という中で、「夜永唄」がバズったのって、コロナ禍になってすぐくらいですか?
柳田そうですね。2月、3月ぐらいから、ちょっとずつ再生数が、謎に伸び始めて。楽曲に自信はあったんですけど、出したのはその1年前なので。なんか、バズるっていう感覚が身近じゃないっていうか。ましてやMVでもない、ただのリリックビデオが広まっていくのが、最初は不思議でしょうがなくて。で、その曲が響いているのも、10代とか20代前半の、若い層で。「みんなその歳でそんな大恋愛してきたんかな?」って思っちゃうぐらい、フレッシュな層が支持してくれていて。
たぶんそれは、コロナ禍だったから……僕らもずっと部屋に閉じこもっていて、家でなんとか趣味を見つけたりとか。友達にも会えませんでしたし。そういう中で、この曲がリンクしたのかな、っていう。
たぶんそれは、コロナ禍だったから……僕らもずっと部屋に閉じこもっていて、家でなんとか趣味を見つけたりとか。友達にも会えませんでしたし。そういう中で、この曲がリンクしたのかな、っていう。
──再生回数がえらいことになっていくさまを、どんな気持ちで見ていました?
柳田サブスクのチャートが、週ごとに、いや、週どころか日々どんどん上がっていくさまが……自分のことのような感じがしなかった、というか。応援してるバンドが、のし上がっていくさまを見ているような(笑)。
吉田喜一(Gt.)ひとり歩き感はすごいあった。
桐木YouTubeも、毎日10万再生ずつぐらい伸びてて。ちょっと怖い感じはありましたね。
柳田自分たちの中で消化できなかったので、火ダネになったTikTokとか、YouTubeのコメント欄とかも、ちゃんとメンバーで追ったりして。で、徐々に、恐怖感というか……これ以上のものを作らないと、2020年ちょっと名前が出たバンドで、終わっちゃうと思うので。それこそ今も、どんどんいい曲を作らなきゃな、という気持ちで……2020年もそうでしたし、2021年に入ってからも、たくさんレコーディングして。めちゃ怖いですね、僕は。
──しかも、「夜永唄」、すごくいい曲だけど、このバンドのどまんなかの曲かっていうと、微妙ですよね。バラードだし。
柳田うん、だから、ギャップを感じたのが……今の10代の子たちって、バンドっていう概念って、そこまで浸透してないのかな、って思っちゃって。僕、ツイッターとかエゴサするんですけど、「神サイっていう人知ってる?」って、「人」になっちゃっていたりとか、ボーイズ・グループ的に捉えられていたりとか。
それに対してもびっくりしたし、でも「しょうがないよな」と思ったし。スマホが身体の一部みたいになってる、若い子たちが聴いている中で、もちろんCDを買うわけではないし、ライブハウスっていうところに足を運ぶ人も、ごくわずかだし。だからすごい難しい時代というか、そういう世代のギャップを感じましたね。
それに対してもびっくりしたし、でも「しょうがないよな」と思ったし。スマホが身体の一部みたいになってる、若い子たちが聴いている中で、もちろんCDを買うわけではないし、ライブハウスっていうところに足を運ぶ人も、ごくわずかだし。だからすごい難しい時代というか、そういう世代のギャップを感じましたね。
──でも、そこにバンドの音楽を広めていく突破口になれるかも、っていう希望もありますね。
柳田そうですね、確かに。バラードをきっかけとして、そこからいわゆるロック・チューンに触れて、好きになってもらえたらな、とか、僕らから始まってほかのいろんなロック・バンドに触れていく若い子たちがいたらうれしいな、っていうのは思いますけど。でも、チャートとかを覗いていても、けっこうバンドは少なかったりしますよね。
──ビルボード・ジャパンの年間チャートを見ると、バンドで上の方に入っているのって、Official髭男dismとKing Gnuだけですもんね。
柳田そうなんですよね。もちろん去年は、たくさんの人に聴いてもらえてうれしいっていう気持ちはありましたけど、それ以上の思いが芽生えてしまったというか。危機感の方が、今はでかいです。