「いつまで同じところで回ってるんだ」とは思いますね。でも、もしかしたら回りながら螺旋状に上がってるかもしれないなって。50年くらい経ったら、「すごい、こんなに高いところまで来た」と思うかも(笑)。
結局、『「好き」「嫌い」「生きる」「死ぬ」』(「フラフープ」の歌詞)からは外れてないんでしょうね。小説のテーマも一貫しているし。コロナ禍になってから、ずっと人間の病理について書いてたんです。人って、バランスを損なって、一部分だけが突出することがあると思うんですよ。潔癖症もそうだし、行き過ぎた正義感もそうだし。バランスの悪さ、かわいらしさが人間の本質だと思うし、それは「ダ・カーポ」にも出てるんじゃないかなと。
配信ライブに馴れてきた人も多いだろうし、普通にライブを見せるだけでは飽きちゃうんじゃないかなって。私としては、“配信”を逆手に取るべきだと思っていて、映像としてしっかり世界観を作り込みたくて。生のライブのようにお客さんが自由にステージを見れるわけじゃないから、カメラワークが大事だし、画角が存在しているのがおもしろいなって。
そうなんですよ。これまでのライブの演出や装飾にこだわってきたけど、配信は時空を超えられるし、たとえば画像を二つ重ねるとか、いろんな特殊効果も使えて。映像作品として考えると、やれることはたくさんありますね。
別物ですね。可能性が縮まったのではなく、別のところに開けたというか。タクシーに乗ってるときにライブ配信してもいいし、どこからでも出来るじゃないですか(笑)。
それはすごくありますね。凝るのが好きなんでしょうね(笑)。配信ライブだと、身体表現も変わるんですよ。ライブだといちばん後ろの席の人にもわかるように動かなくちゃいけないけど、配信ライブだと小さな動きでも伝わるので。
▼黒木渚 ONEMAN LIVE 2020「檸檬の棘」追加公演、2020年1月17日(金)東京・マイナビBLITZ赤坂ライブレポート
https://www.diskgarage.com/digaonline/liverepo/141035
喉の調子は、3つめのトンネルを抜けた自覚があって。ずっとトライ&エラーを続けながら、完治に向けてがんばってきたんですけど、誰かに治してもらうという考えを一度捨ててみようと思って。治療法もないし、まだ解明されてないことも多い病気なので、「自分で何とかしよう」という気持ちに切り替えようと。自分の直感を信じてがんばってみようと思ったら、パフォーマンスも変わってきたんです。「上手くできるかな」とか「緊張するな」という気持ちを克服しつつありますね、ようやく。
はい(笑)。アルバムの制作はまだ続いていて、この先もいい曲が出てきそうな感じがあるんですよ。小説も短編集が出せるくらいは書き溜めていて。忙殺されずに楽しくやれているのもありがたいですね。
そう思います。この状況がどうなるかわからないし、変化は受け入れないといけないけど、「コロナに売られたケンカは買う」というスタイルで、まだまだ作れそうだなって。
コロナからの挑戦だと思ってるんですよ。「あの手、この手を封じてやったぞ。おまえはどうやって表現するんだ?」と言われて、「なめんなよ!」という気持ちで立ち向かうっていう。
コロナになる前、『檸檬の棘』を作ったときから、こういうスタンスだった気がするんですよ。アルバムを出した後、ニュース番組(日本テレビ「news zero」)のパートナー出演や子供向けの授業(ベネッセのオンライン教室「きょうの時間割」)をやらせてもらったんですけど、「黒木渚はどこに向かっているの?」みたいなことを言っている人がいて。カチンと来て、「君はどこにも行かないの? 私は行きたければ、どこにでも行くよ」って言っちゃったんです(笑)。興味ある場所にはどんどん行きたいし、そういう突破力が身についてきたんでしょうね。
PRESENT
黒木渚 直筆サイン色紙を1名様に!
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