──歌詞はどんなテーマで書かれたんですか?
Vo. 将
沙我君に前のバンドやアリス九號.の初期の頃の歌詞がよかったよねといわれて。最初の頃、自分が理想としていたのは文学だったので文学的な言葉の使い方をしてたんですけど、活動していくうちに角がとれていって、自分が元々書いていたような文学的な表現ではなくなっていってたんですね。それで、今回せっかくアリス九號.という原点に戻ったバンド名にするんだから、歌詞も当時の自分の書き方に戻してみようと思ったんです。僕は普段歌詞を書くとき、1度テーマなりメッセージを決めたら1週間ぐらい寝かせるんですね。寝かせて、日常生活をしながらそのテーマと接点があるようなフレーズを頭のなかで組み上げていって、1週間経った頃にガーッと書くんですけど。初期の頃は曲をひたすら流して、自分と向き合って自分からなにが出てくるのかという作業をしてたんですよ。それで書くと、歌舞伎みたいな歌詞になるんです。たまたま最近、歌舞伎を観る機会をいただけて、市川九團次さんの単独公演を観させてもらったんです。そうしたら、もろ自分の歌詞の世界観だったんです。一緒にいられないなら即死のうという死生観とか、無情で哀れな感じとか、めちゃめちゃ自分の歌詞の世界観と同じだなと思って。僕は鎌倉以前の日本史、平家物語とかが好きなんですけど。そういう諸行無常感、花も蝶も永遠の命じゃないから美しく咲き誇るという感じがベースにあるので、それがこの歌詞にもつながっていると思います。
──ところで、アリス九號. はこのバンド名の表記もそうですが、結成当初から“和”の要素を押し出していた部分はありましたよね。
Dr. Nao
ありました。見た目と歌詞はそこをアピールしてましたけど、曲はそこまでとことん和推しではなかったんですよ。なので、和と洋の融合で当時のアリス九號.は“和洋折衷”という風にいわれてました。
Gt. 虎
なんだかんだいって、アリス九號.時代、“和”が定着していったのは「華一匁」という曲を出したことが僕は大きいと思うんですよね。
──「華一匁」なのに歌詞に出てくる童謡はなぜか「かごめかごめ」という曲ですよね。
Gt. 虎
そこは、将君がミスっただけじゃないの?
一同(笑)
Dr. Nao
そういってたよね?
Vo. 将
それはね、歌詞を書いてる途中に違う歌だというのは気づいてた(微笑)。この曲は自分の幼少期のトラウマの曲なんですね。自分が自分であることを認められない。だから、5つの頃の僕の夢は他人になることと歌ってるような、自己否定の曲なんですよ。そこに幼少期の記憶、精神世界を表すものとして、かごめかごめをしている情景が出てきたってだけなんですよね。メジャーのディレクターが付いてたら、これはおかしいといわれると思います(微笑)。が、歌の本質はそこにはないので、自分では納得してます。
Gt. ヒロト
でも、その“ちぐはぐ感”がいいんですよ。初期の頃、将君がよくいってた“外国人から見た日本の文化”っていうところに、そのちぐはぐ感が通じると思うんです。日本人による日本の文化を継承した音楽は、当時いた事務所の先輩のKagrra,がすでにやってたんですね。だから、外国人から見たちょっとずれた日本、みたいなのがCOOLなんだっていうことをずっと将君がいってたんですよ。そこから、この“和洋折衷”が出てきたんです。
“和洋折衷”をよりスタイリッシュに押し出した今作を軸に、アリス九號.は10月からは全国ツアー、年末年始はオーケストラを率いたコンサートと3種類の異なったライブを展開する。
PRESENT
メンバー全員の直筆サイン色紙を2名様に!
※転載禁止
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