どんな毎日でも、どんな人生でも祝福されるべきっていうか。自分なりのゴスペルソングを書きたかった
──タイトルトラックの“bless You!”は今作の「人生賛歌」というテーマを象徴していますね。
アルバム『風の歌を聴け』あたりから、僕の表現はいわば人生賛歌に向かっていってたと思うんですけど、今回はそれを自覚的にテーマに決めて書いていきました。そんな中で、去年母親が亡くなって、命とか人生について、これまで見えてなかったところが見えてきて、それで“bless You!”を一気に書きました。大きなことを成し遂げた人だけが偉いっていうのは違うんじゃないかという気がして。それは相対的なものであって、どんな毎日でも、どんな人生でも祝福されるべきっていうか。「どうせ死ぬんだから何をしてもいい」という考え方は違うんだとハッキリ分かりました。死んだ後も続いていくもの、残っていくもの、影響を及ぼすものが実在するんだなって。そういう感覚を知った上で自分なりのゴスペルソングを書きたいと思って。
──なるほど。
ゴスペルの対訳とかを読んでみると、自分の思い描いてたゴスペルの歌詞とは違って、100~200年前の流行歌をそのまま歌ってる曲もあったりして、歌をみんなで歌うことで、気持ちを和らげてたのかもしれないなって。僕は自分の音楽に「自分を信じて」みたいな、ある種宗教めいたことを入れるのはあんまり好きじゃなくて、距離を置いてたんです。さまようからこそいろいろ考えて、わかることがあるんじゃないかと思ってた。でも、自分でもいろんな経験をして、何でみんなそういう曲を求めるのか、ちょっと分かった気がしました。
──そんな“bless You!”と“いつも手をふり”の後に、パンキッシュな曲調で<この流れに逆らえ>と歌う“逆行”でアルバムを締め括ってるのも田島さんらしいなと思いました。
ある意味さっき言ったこととは正反対というか、みんな一緒くたに何かを信じるのってやっぱりちょっと不気味だし、嫌だから、「全部逆を行け!」って言ってて、そうしたら、友達が一人もいなくなっちゃったっていう(笑)。そういう生き方もあるというか、そういうモノの見方もどこかしら心の隅に置いておいた方がいいと思うんですよ。僕は昔からそうで、クラスのみんながワッとなってると、一人だけ別のことをイメージするタイプ。今SNS見ても村社会っぽくて、何かひとつの考えにまとまり過ぎて、そうじゃないとめちゃくちゃ叩くでしょ?あれがすごく嫌で、“空気-抵抗”は「空気を読むな」っていう曲。「これ言ったら叩かれるんじゃないか」って、自分の考えを言わないでおくのはやっぱりおかしいんじゃないのか、ひとりひとり本当の自分の考えを言うことがきるのか。そういう覚悟を問うた曲っていうかね。
──今の時代感だからこそ、「空気を読まないこと」や「流れに逆らうこと」の大事さっていうのは非常によくわかります。
どっちかっていうと、仲間外れの方が好きなのかも(笑)。でも、僕はポップスをやっていて、普遍的な、誰もが普通に感じることはとても大事だと思ってる。だからこそ、大衆心理の負の部分、危ないところも感じるわけですけど、その両方の感覚を持っていたいですね。
弾き語りはさらに深めた表現を、リリースツアーはフレッシュな気分で
──最後に、2月からの弾き語りツアーと、6月からのリリースツアーに向けた展望を聞かせてください。
弾き語りツアーはリリースツアーのプロローグという形を取りながらも、自分がこれまでやってきた弾き語りをさらに深めた表現を見つけていきたいです。もう弾き語りも7年目なので、いろいろわかってきたこともあるし、技術もついてきたので、またもう一歩進んだ新しい表現を見つけられたら。そして今年6月から始まるオリジナル・ラブの“bless You!”ツアーは思いっきり盛り上げたいです。エキセントリックなアートロック エンターテインメントショーにしたいと思ってます。みなさん、是非遊びに来て下さい!
PRESENT
オリジナル・リストバンドを3名様に!
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