──個性的な声を持っていてオールマイティに歌える人は珍しいと思います。わたしはsajou no hanaでsanaさんを知ったので、あとからTVアニメ『モブサイコ100』第1期のオープニングテーマであるMOB CHOIRの「99」を聴いて、こんなにパワフルな歌い方もできる方なんだと驚きました。
sanaあれはめちゃくちゃ自由に歌ってるわたしですね(笑)。
キタニsajou no hanaでは敢えてそのアプローチを封印してるんです。オイシイところで使えたらと思ってますね(笑)。TVアニメ『モブサイコ100 Ⅱ』でsajou no hanaとしてけっこうがっつりタッグを組ませてもらっているので、オープニングではsanaさんのパワフルな面を見せつつ、エンディングではそれ以外の面も見せられたらなと。
──MOB CHOIR feat. sajou no hana名義で制作したTVアニメ『モブサイコ100 Ⅱ』のオープニングテーマ「99.9」を表題にしたシングルと、sajou no hana名義で『モブサイコ100 Ⅱ』のエンディングテーマ曲を収録した『メモセピア/グレイ』を3月6日に同時リリースします。またさらにsajou no hanaの曲の幅が広がったので、これはキャリアのなせる業だと思いました。
キタニ俺たちは作家ではなくアーティストだから、広げすぎるのもどうなんだろう?
渡辺でも広げすぎたものをまとめる自信もあるけどね。
一同おお~っ!
キタニどんな曲でもsanaさんが歌えばsajou no hanaになるかなと思うところもあるし、たしかに心配要らないかな。既存のジャンルに則ったものをやるとしても、ちょっと変なこと、新しいことを入れ込んでいきたいなとは思っていますね。たとえば「グレイ」ならシンプルな歌ものになったぶん変なことをしてみようかなと思って。イントロの音はギターをジャラ~ンと弾いた音を切りまくって並び替えて貼り付けて作ってるんです(笑)。
──斬新なアイディア。ギタリストがいないからできることでもありますね。
キタニそれはでかいですね。だからこそ自由にやれる部分も大きいと思います。アウトロでいきなり倍テンになるのも、こうしたほうがドラマチックだし面白いかなと思ったんですよね。自分のアーティスト活動ならもう少し守りに入るかもしれないけど、sanaさんが歌うし、翔さんも他の曲でシングルらしい曲を作ってくれるし、まあいいだろう!と(笑)。僕はつねに好き勝手に面白いことをやってみよう、と思ってますね。でも、翔さんもそうじゃない?
渡辺もともとひねくれた作り方をするタイプではあるかな。「これはこう、ここでこうなる」みたいに30個くらいテキストを書きだして、それを全部音にはめていくという、パズルみたいな作り方をしているんです。
──へええ、それも驚きの作り方ですね。
キタニ俺はそのテキストをもらって編曲してるんですよね。翔さんの曲は、曲ごとに資料があるんです(笑)。
渡辺作ったものが最初考えていたのとまったく違うものになったりすることが多々あるんです。それがいい方向に転がることももちろんあるけれど、作家仕事やタイアップソングでそれをやるのは危険すぎる。そういう意味でも全部テキストにして理論的に攻めていくタイプなんです。
──2018年10月には初ライブを行いましたが、そちらはいかがでしたか?
sana40分も人前で歌うのは初めての経験で……お客さんの視線が集中して、上がり症のわたしは最初「大丈夫かな!?」と思っちゃって(笑)。どういう反応があるんだろう……と怖い部分もあったんですけど、今までよりも落ち着いてステージに立てている実感がありました。この先はもっと自分の良さや個性をしっかり出したライブをしたいですね。sajou no hanaらしさを出したステージをできるようになりたいです。
キタニそれは同感ですね。まだ訓練が必要です(笑)。楽曲面に関してだと、人前で演奏したら盛り上がるつもりで書いた曲も、実際にライブでやってみるとちょっと乗りづらかったりして。この先ちゃんとライブをやっていきたいので、ライブを想定した曲作りをしたいなとも思ったんですよね。ほんと僕らはバンドとしてはド新人バンドなので、そういうところは謙虚に筋トレしていかないと叩き上げのバンドには適わない。ちゃんと一歩一歩やっていきたいですね。
渡辺もちろんほかのバンドに負けてない部分もたくさんあるんですけどね。圧倒的に勝ってる部分もたくさんあるし。
キタニただ、負けてる部分がとびきり負けてるんだよね(笑)。翔さんはライブ現場のスタッフさんにもおどおどしてたから(笑)、アーティストとして成長しないとね!
渡辺作家とアーティストは全然違う職業だからね……作家としてはキャリアを積んできたけど、アーティストとしてはまだレベル1だね(苦笑)。
──ははは。sajou no hanaが今後バンドとしてどうなっていくのか楽しみにしています。
キタニバンドとして、アーティストとして、となると、2019年は基礎を鍛える年だなと思います。いいものを作るだけでなく、表現者として表舞台に立つわけですからね。
渡辺そうだよね。これまではCDを作ることに100%力を注いできたけれど、それを聴きに来てくれるお客さんにどう提示していくか……それを鍛えていかないと。バンドをやりたいと思っていたとはいえずっと踏み出しづらい一歩だったんですけど、踏み出して良かった。このメンバーとバンドが組めて良かったと思っていますね。だからこそいろんな人にこのバンドのことを知ってほしい。
キタニそうだね、知ってほしい!そういう意味でもライブもがんばりたいですね。
渡辺このバンドならアニメタイアップ曲でもアーティストとしての個性が立ったうえで作品の中にもしっかりしみ込んだ楽曲が作れる。音源でもライブでも、ひとりでも多くsajou no hanaを気にしてくれる人を増やしていきたいね。
──sanaさんはいかがですか?
sanaふたりが言うようにもっとたくさんの人に知ってもらいたいし、あと、個人的なことを言えば自分がどういうフロントマンであるべきかを見つけられたらなと思います。もちろんsajou no hanaらしさも、これから先いっぱい見つけていけたらなと思っていますね。1月から放送される『モブサイコ100 Ⅱ』ではオープニングとエンディングでまったく違うアプローチをしているので、そこも楽しんでもらえたらなと思っています!