1. アナーキーモーニング
サーフ・ロックとパンクが正面衝突したような、どこから聴いてもオルタナティヴな、隙間だらけなところが武器になる王道つしまみれ曲。アナーキーの方向を、時に、いや、けっこう間違えながらも、それでも「アナーキーに生きていく」と連呼し、自らのスタンスを再確認する曲だとも言える。
2. Night Rider
本作のアルバム・ジャケットの基になったと思われる曲だが、「ハーレーでぶっとばす」みたいなわかりやすいトーンではない。歌詞の中で「首都高」と特定しているにもかかわらず、聴くと、これが首都高なのか国内の別の高速なのか海外なのか、地上なのか宇宙なのか、この世なのかあの世なのかわからなくなる、そんな不思議さのある曲調。イントロ、Aメロ、サビでまるで違う曲みたいに展開していくせいで、そう感じるのかもしれない。歌詞も中盤から後半にかけてどんどん意味深になる。
3. ミミドシマ
なんだかもういろいろ振り切った歌詞といい、いちいち意表をついていくコード進行&リズム進行及びそこへのメロディの乗っかり方といい、えぐい意味で「これぞつしまみれ!」としか言いようのない曲。ただし「愛しているとか ほとんどにおいて思い込み」なんていう、極論だけど真実でもある鋭いラインもあり。
4. KARIPAKU
年齢的にはニュー・ウェイヴにリアルタイムで間に合っているわけないし、過去のインタビューとかを読んでもそのへんの音楽を熱心に聴いてきたフシはないのに、なんでこういうナチュラルに80’sニュー・ウェイヴな曲を作れるんだろう、と、いつも不思議に思う。リリックの語呂合わせ感も、ヒップホップっぽいとも言えるがニュー・ウェイヴっぽいとも言える。
5. POST
つしまみれにはめずらしく……いや、めずらしくないか、でもここまで直球なのはやっぱりめずらしいかもしれない、とも思わせる、シリアスに、かつ切実に別れを歌ったラブ・ソング。究極なくらい音数・手数の少ないギターとベースとドラムが、このバンドのセンスを却って際立たせる。