そこで、「今年は初めてフェスに行ってみようかな」という方はもちろん、すでに「フェス=夏の恒例行事!」という方にも、ぜひ読んでいただきたい「夏フェスのススメ」コラム連載です。
ここ数年で、ボーイズグループのフェスへの出演は定着しつつあります。
普段フェスに行かないファンにも今年の夏フェスにはぜひ足を運んでいただき、いつもと違った環境で活躍する推しの魅力を再発見してほしい。そしてフェスではお目当て以外にも素敵なアーティストに出会えるかもしれません。第4回目は、そんなフェスの魅力を今回ご紹介します。
(DI:GA ONLINE編集部)
「アフターコロナ」と言われる今、夏フェスが再度盛り上がり始めている。いつぞやか、コロナ禍でオンラインライブという文化に注目が集まったこともあり、「会場に足を運んで音楽を体験する楽しさをお客さんに思い出してもらうことが今後の課題になる」というような記事も目にしたことがある。当時は「たしかに」と膝を打っていたが、蓋を開けてみれば夏フェスの多くがチケットソールドアウト。100%元通りとはまだ言えないかもしれないが、想像していた以上に通常運転になりつつある。
さらに、昨今では夏フェスにおいてポジティブな変化もあった。その一つが、ボーイズグループの出演だ。これまで『FUJI ROCK FESTIVAL』は国内外の有名バンド・アーティスト、『SUMMER SONIC』は洋楽ロック色強め、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』は邦楽バンドなど、フェスによって出演者の特徴はあれどバンドやバックバンドを引き連れたソロアーティストの出演がメインであった。しかし、ここ数年でダンス&ボーカルパフォーマンスをするボーイズグループが次々と夏フェスに出演しているのである。例えば、7人組ボーイズグループのBE:FIRSTは、デビュー前に『SUPERSONIC 2021』に出演。以降も『VIVA LA ROCK』や『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』、『SUMMER SONIC』、『音楽と髭達』など数々のフェスに出演している。結成12年目、確かな実力を持つ5人組ダンス&ボーカルグループのDa-iCEは、所属レコード会社が主催する『a-nation』をはじめ、『イナズマロック フェス』、『R-1フェス』など様々なイベントに出演。今年もすでに『LuckyFes '23』、『ROCK IN JAPAN FES. 2023』、『SUMMER SONIC 2023』への出演を発表している。さらに、ジャニーズ事務所においても夏フェス出演を果たすグループが。昨年開催された『METROCK 2022』に出演したジャニーズWESTは、今年『SUMMER SONIC 2023』への出演を発表。今年結成20年を迎えるNEWSも、先日『METROCK 2023』に初出演を果たしたばかりだ。
ボーイズグループにとってフェス出演は楽しみであると同時に、いつもとは違う環境でのステージとなる。先述した各フェスのこれまでの出演者傾向を考えると、ボーイズグループ、男性アイドルに触れる機会が少なかった人たちの前でのパフォーマンスすることになるのだ。だからこそ気合が入るというものだ。セットリストひとつとってもそうだ。“夏”フェスでなくて恐縮だが、『COUNTDOWN JAPAN 22/23』に出演したときのDa-iCEのセットリストを例に上げてみたい。彼らが披露したのは「BACK TO BACK」、「DREAMIN' ON」、「SWITCH」、「Clap and Clap」、「amp」、「CITRUS」、「スターマイン」、「Kartell」。Da-iCEといえば、『第63回に日本レコード大賞』を受賞した「CITRUS」で知った人も多いだろう。その場合、高い歌唱力とダンスでバラードを力強くパフォーマンスするグループ、というイメージがあるはずだ。しかし、セットリストに“THE ダンス&ボーカルグループ”らしい「BACK TO BACK」や「Kartell」を持ってきているあたり、良い意味で裏切り、新鮮味を持たせて注目を集めたいという意図も感じられる。もちろんアニメ『ワンピース』(フジテレビ系)の主題歌「DREAMIN' ON」や、SNS上で大ヒットした「スターマイン」などみんなが知っている曲を挟むことでリスナーを飽きさせない工夫もしっかりされている。
『METROCK 2022』でのジャニーズWESTも、デビュー曲の「ええじゃないか」でスタートを切り、『FIVBワールドカップバレーボール2019』(フジテレビ系)のテーマソング「Big Shot!!」、ドラマ『正しいロックバンドの作り方』(日本テレビ系)の主題歌「証拠」など耳馴染みのある楽曲をメインに披露。その間にメンバーが演奏する楽曲も挟み、「こんな事もできますよ」と実力を示して意外性を出している。
こうしてみると、自分たちの自己紹介になる楽曲をメインに置きつつも、移動自由というフェスの客足を止めるための取っ掛かりがうまく組み込まれていることがわかる。こういったセットリストや演出は、フェスという場ならでは。自分たちのファンだけが集まるワンマンライブでは見られないものだ。そして彼らのファンとしては、「ボーイズグループに興味がなかった人が虜になっていく様子が見られる」という楽しみ方もできそうだ。長年応援しているファンにとっては、誇らしい一瞬なのではないだろうか。それを経験するために、普段フェスに行かない方も今年は夏フェスに行ってみてはいかがだろうか。そしてフェスとは予想外の出会いがあるもの。お目当てのアーティストとは別のアーティストの魅力にハマるきっかけにもなるかもしれない。