一番人気かもしれない体験型ミキシングコーナー
前評判でも「楽し過ぎる」と口コミで大きな噂になっていたストーンズの楽曲を自分でミックスできるコーナー。要するに門外不出であるストーンズ楽曲のミックのボーカルの声だけ、キースのギターの音だけ、チャーリーのドラムの音だけ、とかのそれぞれの音だけをここで自分で自由自在にいじれるのだ。そんなの楽しくないわけがなくやはり凄い人気で、僕もここに長い時間いすぎて時間が足りなくなってしまった。マニアはもちろんだが、親に連れられて来てた子供たちも楽しそうにいじっていて、誰でも楽しめる体験コーナーになってて、こんな世に出ない重要機密的なアイテムを自由に使ってみんなを遊ばせてしまうこのストーンズ展のアイデアと懐の深さに強い感銘を受けてしまった。
ミックの作詞ノート、ベロマークフォトスポット
そこを過ぎるとミックの手書きの歌詞コーナーがある。代表曲の一つでもある「ミス・ユー」など70年代後期の歌詞が中心で、細かく見ていると完成楽曲の歌詞と違う箇所があったり、書きながらギターソロやコーラスの箇所なども同時に決めていってる事がわかったりで、ここで僕は今あるその完成楽曲達とここに書かれたものとの違いを探り推理するというヘンなプレイにハマってしまい結局ここでも長居してしまった。
隣には世界一有名なロゴでもあるおなじみベロマークやポスターのコーナーがあり、ベロの立体オブジェにはいくつものパターンの鮮やかなプロジェクションマッピングが映されていて撮影スポットとしてにぎわっていた。改めてこの世界一有名な唇と舌だけでストーンズというバンドを象徴し記号化できているこのロゴマークはホント発明だと思った。
アルバムなどストーンズのアートワークの数々
ストーンズは音楽だけでなくアートワークの部分でもいつも抜群のセンスで時代の先端を走ってきたバンドで、僕らファンも音楽だけでなく昔からそこにいつも大きな魅力を感じていた。なので会場にいくつかあるストーンズのアートに関するコーナーはどこも本当に興味深くカッコよくて、特にこのレコードジャケットのコーナーは昔のアルバムジャケットの貴重な原画やオリジナル写真や元ネタなどが惜しみなく多数展示されていて、知らなかったエピソードや新たな発見が沢山あり、個人的に一番写真を撮ったのはこのジャケットのアートコーナーだった。
あのポップアートの巨匠アンディー・ウォーホールもストーンズとは一時密接に関わってたので、かの有名なウォーホールのミックのシルクスクリーンのシリーズ作品は1コーナー独立して設けられていて、そこだけ本当の美術館みたいになっていた。
初来日などの日本公演セットも展示。ステージセットコーナー
このステージセットのコーナーが予想よりもかなり面白かったのは、懐かしの初来日の「スティール・ホイールズ・ツアー」や3度目の「ブリッジズ・トゥ・バビロン・ツアー」などのセット立体模型があったからで、初来日からすでに29年も経つのだが、当時僕は東京ドームに通うようにそれを何公演も見に行ったので、このステージセットの模型を見てるだけであの頃の感動した思い出がいくつも蘇ってくる。「ブリッジズ・トゥ・バビロン・ツアー」の時の橋を渡ってメンバーが客席のすぐ近くまで来て演奏した時の興奮もこの模型や展示された当時の資料で鮮明に思い出させてくれるのでストーンズのドームライブに行った事ある人ならみんな懐かしさも相まって楽しめるコーナーになっている。
二つのストーンズの映像シアターコーナー
なんとここまででやっと半分くらいです。
ここからストーンズの映像やその関わりを上映するシアターが二つ現れる。一つは過去のストーンズの歴代のミュージックビデオをダイジェストザッピングで見せるミニシアターで、懐かしい映像の数々が爆音でガンガン流されるのでついついノリノリで見続けてしまった。もうひとつの大きめのシアターは過去にストーンズの映画監督もやっているマーティン・スコセッシ監督やメンバーが過去の映画作品を語る中、映画がダイジェストで流されるのだが、映像のわかりやすさもあり、ストーンズをまだあまり知らないと思われる方々でこのシアターはとてもにぎわっていたのだが、セックス・ドラッグ・ロックンロールな過激な内容がヤバ過ぎて今も上映禁止のままになっている1972年の伝説のドキュメンタリー映画「コックサッカー・ブルース」の一部も流されていて驚いた。
あの頃にタイムスリップする圧巻の衣装コーナー
ステージなどの衣装展示コーナーが大変な事になっているという噂は耳にはしていたが、実際に訪れるとマジで圧巻の一言で、入ってしばらくはあまりのきらびやかさと見覚えのある衣装が遠くにいくつも見えるその広い空間に圧倒されてしまい、しばらくその場にぼーっと立ち尽くしてしまった。
まずはこんなにも綺麗で完全な状態で大昔のものまで沢山保管されていた(複製もあるがほんの一部のみ)という驚きと、この前のストーンズの本物のギター展示コーナーと同じで、ここにも僕が10~20代の頃にライブ映像などで散々見まくってきた歴史的なミックやキースの本物の衣装の数々が自分の目の前に本当にあるので、じっと見つめているとストーンズに夢中になったあの頃の自分にリアルにタイムスリップしてしまい、胸にこみ上げてくるものがあり、たまらない気持ちになった。
冷静になってから改めてよく見てると、何度も見てきたライブ衣装がライブ映像では全く気付かないような凄く細かいところまで念入りにデザインがされていたり、想像していた生地とは全く違う生地だったり、ミックが思ってたよりも小柄だという事にサイズを見て気付いたり、初期のキースの服は彼女の服をかっぱらったり、彼女と兼用で着てたものが多かったという小ネタもあったり、このコーナーも新たな発見の嵐で感動しまくった。
なんとバックステージまで忠実に再現
今回の企画展でやるなあと感心したのが、このバックステージまでが再現されていた所で、アーティスト側がこんなとこ見たいの?と思うとこほど、ファンが一番見たいとこだったりするという心理をこのストーンズ展は全編に渡り見事に把握していて、このバックステージコーナーだけは中まで入れるので、キースとロニーのギターが沢山そこに並べられてたり、メンバーのメイクコーナーがあったり、ステージへ向かうドアの奥からはこの後に見る3Dライブシアターの大きな音が漏れ聞こえてきたりするので、まるで本当にライブ中のストーンズのバックステージにいるような気分になれるので、ここはこれまでとはまた違う盛り上がりで、密かな人気コーナーとなっていた。
「最後にメンバー登場!」みたいな感じの3Dライブ観戦
そしてバックステージからステージドアを抜けるといよいよ最後のコーナーとなる3Dライブシアターで、まさに「最後にメンバーが登場!」みたいな感じで、ライブのような派手な照明と最先端のテクノロジーにより目の前でミックやキースが演奏しているような臨場感を味合わせてくれる。ここまでの素晴らしい展示物の数々を見た後のバックステージドアからの最後の3Dライブなので、お客さん達のテンションもおのずとみんなアガっており、僕の見た回ではライブ映像を見ながら踊ってる人や歓声をあげてる人もいた。最後に「やっぱストーンズはこうじゃなくちゃ」という気分にさせてくれるストーンズらしいカッコいい素敵なエンディングコーナーになっていた。
終わりかと思ったら現れたレアコーナーにグッとくる
3Dシアターを出て、これで終わったと思ってると、唐突にロニー・ウッドの趣味のドローイングによるリハのセットリストの生描きキャンバスコーナーが現れる。ロニーがリハ中にリハのセットリストをいつもキャンバスに書いている事は有名で、本になって出版までされている。それがこんな最後に見れるなんて思ってなかったので、まさに粋なアンコールという感じなんだが、そのセットリストに描かれた曲達がまた僕らファン垂涎なレア曲のオンパレードで、ストーンズファンなら見てると妄想が止まらなくなってしまうので、最後の最後まで気が抜けないというか、ファン達の足はここでまたガッツリと止められるのであった。
大充実グッズコーナーとレッドシューズの出張バースペース
会場を出ると大充実のグッズ販売コーナーがあり、記念トートバックが300円という破格で売られてたり、日本オリジナルのTシャツや色んなグッズのほか数々の復刻TシャツやCD、書籍など沢山販売されていて、ここが目当てという人も多いようで大賑わいだった。その横では南青山の伝説の老舗ロックバー「レッドシューズ」が出張出店していて飲めるスペースがあり、回り終わった直後で興奮さめやらぬ何人かのストーンズファン達は早速そこで打ち上げを始めていてゴキゲンに盛り上がっていた。
というわけで、結局長くなってしまい、思いも溢れすぎて、やっぱまだまだ紹介しきれていないのだが、とにかくストーンズファンは行けばきっとこの凄さがわかると思うし、ストーンズを知らない人も、これはエンタメ感満載な「新しいスタイルの企画展」になっているので、きっと誰でも楽しめると思います。なんて、普通のまとめになってしまったけど要するにマジでオススメですよ。
ずっとストーンズを愛し続け、ストーンズやロックンロールを日本に広める事に尽力した、日本人のストーンズファンの代表と言ってもいい内田裕也さんも、きっと天国からこのストーンズ展を見に来てるんだろうな。
ロックンロール。