半月で7本。1月にも2月にも3月にも観ているバンドが2つあったりして、「このライター、守備範囲狭いな」ということが早くもばれつつある気がしないでもないですが、お読みいただければ幸いです。
3月2日(金) POLYSICS @LIQUIDROOM
ギター&シンセのナカムラリョウが加入して、新体制・4人になって初めてのアルバム『That’s Fantastic!』をリリースして回った全国ツアーのファイナル。かつ、結成20周年イヤーの締めくくりのライブでもある。
10月14日TSUTAYA O-EASTでの加入お披露目ライブも観たが、この日はツアーを22本回って来たラストだけあって、とにかくもう、飛躍的に仕上がっていた。
4人で作ったニュー・アルバム『That’s Fantastic!』の曲がいいのはもちろん、ナカムラリョウ加入前の曲もどれもいちいち「お、こうなるか!」と思わせるごっついグルーヴに生まれ変わっている。スピードと音圧とラウドさで押しまくるのは以前からのPOLYSICSの強みだが、それに加えてミドルテンポの曲やファンク的なアプローチの曲が新しい武器になっているのは、ナカムラリョウ加入の影響だなあと観ながら思う。
ニュー・アルバムのタイトル・チューン「That’s Fantastic!」で始まり、アンコールの最後を「カジャカジャグー」で締めくくったセットリストもあちこち新鮮でよかった。「カジャカジャグー」がラストって、これまであんまりなかった気がする。で、今までなんであんまりなかったのかというと、ポリの中ではミドルテンポ寄りの曲だからだと思う。というあたりからも、ポリのやれることが広がっていっそう自由になっていることを感じた。
3月4日(日) OUTRAGE @渋谷 CLUB QUATTRO
1982年に名古屋で結成(現在も在住)、1988年にメジャー・デビューした日本スラッシュ・メタルの草分け、デビュー30周年記念作のニュー・アルバム『Raging Out』を携えてのツアーのファイナル。いやあもう圧倒的、ステージ両脇のスピーカーから放たれ続ける音のエネルギーも、それを浴びて反応するオーディエンスのエネルギーも。
もう絵に描いたような、と言っていい超どまんなかのスラッシュ・メタル、つまり海外でも日本でも他にもたくさんいるオーソドックスなサウンド・スタイルであるにもかかわらず……いや、「だからこそ」かもしれない、つくづくワン&オンリーだなあと思う。
「DOOMSDAY MACHINE」「HAMMER DOWN AND GO」と、『Raging Out』の1曲目・2曲目の流れそのままでスタート、本編ラストの17曲目は『Raging Out』のラスト曲(通常盤の)にしてデビュー30年で初めてバンド名を曲名にした「OUTRAGE」で締めくくられた。
この日はライブのハシゴなので、ここまで観て、とても去りがたいが、クアトロを出た。というか、ほんとは14曲目ぐらいで出なきゃと思っていたのだが、「いや、あと1曲だけ」「うう、もう1曲だけ」と17曲目まで観てしまったのでした。ダッシュで下北沢へ向かいました。
3月4日(日) The Songbards×ムノーノ=モーゼス @下北沢BASEMENT BAR
The Songbardsとムノーノ=モーゼスの共同レコ発ライブ『月と太陽のロマンス~東京編~』(『大阪編』も2月20日に心斎橋pangeaで開催)。どちらも神戸のバンド。この2バンド以外に東京パピーズとLayneも出演したが、先に書いたような事情で、3番目のムノーノ=モーゼスから観ました。
ムノーノ=モーゼスを観るのは3回目、The Songbardsは2回目。どちらもとてもよかった。というか、はっきりとわかるくらいのスピードで、観る度にぐんぐんよくなっている。
どちらも親しみやすいキャラだが、ムノーノ=モーゼスは不気味で不敵、The Songbardsは危険なくらいピュア、そんな感じ。どちらもメロディの強さを打ち出した歌ものだが、ムノーノ=モーゼスは古きよきアメリカン・ソウル感あり、ツイン・ボーカルのThe SongbardsはUKギター・ポップ感あり、そしてどちらも佇まいにアノラック感、ナード感あり。
……ってアノラックもナードも読んでる人の大半が知らないか。本人たちも知らないまま自然にそうなっている可能性もある。とにかく、「ああっ、この感じ!」という懐かしさと新鮮さに満ちたステージだった、双方とも。
3月7日(水) SPARTA LOCALS×サンボマスター @LIQUIDROOM
SPARTA LOCALSが本格再始動してから始めたツーマン企画『TWO BEAT』、一回目は2017年12月23日にアナログフィッシュを招いて渋谷WWW Xで行った。レポはこちら。
で、この日はサンボマスターを招いての二回目の開催。まずサンボマスター、前半アッパーな曲の連打でガーッと盛り上げて、まんなかへんで重く美しいバラードの「ラブソング」やって空気をずしーんとさせて、そこからまた後半に向かってアガっていってピークを迎えて終わる、というのが、ここ最近の対バン時・フェス/イベント時のサンボの定番であって、この日もまさにそうだったんだけど、その定番をけっこうな頻度で観ている僕のような奴でも毎回いちいち最初から最後まで瑞々しい気持ちのままなのって、ちょっとすごいと思った。
あと対バンでもフェスでも「人んちの客の前でやる時」のサンボの強さ、これも特筆すべきものがあるといつも思う。要は熱心なファンじゃなくても知っている曲、もしくはよく知らなくてもその場でバッと気持ちをつかまれる曲が多いということです。
で、後攻、SPARTA LOCALS。安部コウセイ、「TWO BEATといえばビートたけし、ビートたけしと言えばサンボマスターでしょ!」と招聘した理由を説明。サンボはビートたけしを大好きで、そのことを度々公言していたら接点ができて、たけしがサンボをバックに「浅草キッド」を歌う、というミラクルが起きたりもしたんだけど(2015年9月22日浅草公会堂『したまちコメディ映画祭in台東』にて)、スパルタファン、そのへんのこと、どれくらい知ってるのかな……。と思いながら観ていたら、安部コウセイ、「……あと、久しぶりに山さんに会いたかったから」とかわいい理由を追加しておられました。
ライブ、キレキレだった。不穏で、シンプルなのに何かどっか歪んでいて、ぶっとんでもいるが真摯さもこぼれているこの感じ、何か、すごくわかるというか、とても伝わって来るというか。観ながら何度もニヤニヤしてしまった。
3月10日(土) フラワーカンパニーズ @マイナビBLITZ赤坂
半年間続いた、レーベルを立ち上げてのニュー・アルバム『ROLL ON 48』のリリース・ツアーのファイナル……のはずだったのだが、2月24日の札幌公演がボーカル鈴木圭介インフルエンザ発症のため中止→7月22日に振替公演になった。ということは置いといて、ひとまずファイナルのテンションでいきましょう! という空気に、ステージの上も下も包まれて始まり、包まれたまま終わった、そんな熱くてすばらしいライブだった。
20年前にここ赤坂BLITZで初めてワンマンをやった頃の曲、97年の4thアルバム『マンモスフラワー』収録の「ホップ ステップ ヤング」で本編を締めるなんていう演出もあり。
特に中盤、「HAPPY!」「あまくない」「てのひら」という重めの曲が続いたゾーンの最後にプレイされた「ハイエース」。この曲、ライブでやればやるほどどんどん重要な曲になっていっていると感じる。
あと、フラカンの東京のワンマンと言えば、キャパが大きかろうと小さかろうと「なかなかチケット動かない」「当日券も出たりする」「でも始まったら満員になっている」というのがデフォルトなのですが、この日も見事にそうでした。2階の立見エリアまでびっしりでした。
3月11日(日) 『スペースシャワー列伝JAPAN TOUR 2018』 @マイナビBLITZ赤坂
リーガルリリー、Saucy Dog、SIX LOUNGE、Ivy to Fraudulent Gameの4バンドで全国9ヵ所を回った『スペシャ列伝ツアー』のファイナル。
このツアー、1本目の2月22日福岡BEAT STATIONのレポを書きました。
こちらです。
で、この日のレポも、もう書いて入稿してありまして、本日アップいたしました。
こちらです。
このレポにも書いたけど、とにかくもう「うわあ、えっぐいイベントだなあ」と改めて思った。プロレスのつもりに観に行ったら「おいおい今のケリほんとに急所に入ったんじゃないか? セメントなんじゃないかこれ?」と、ハラハラドキドキしながら見守る、そんな緊迫感がたまらない時間でした。
3月14日(水) ヤバイTシャツ屋さん @Zepp DiverCity(TOKYO)
ニュー・アルバム『Galaxy of Tank-Top』のリリース・ツアーの追加公演、ツアー本編は対バン形式だったが追加の東名阪3本はワンマン、この日はその2本目。
という違いも大きいが、選曲や演出も含めて(「カフェ・ヤバイTシャツ屋さん」というアコースティック・コーナーがあったりした)、追加公演を3本やったというよりも、違うツアーを2本続けてやった感じなんだな、と受け取った。で、両方観れてよかった! と、つくづく思った。
ちなみに本編・追加、合わせて25本。こやまたくや、後半のMCで「月に2本がやっとやったバンドが、こんな、月に12本くらいのツアーやれるようになりました」と、感慨深そうに言っていた。
で、このツアーの東京公演、本編はZepp Tokyo2デイズ、追加がこのZepp DiverCityなので計3回だったんだけど、これはすごいことだと思う、全然あたりまえのことではない、ずっとこうしてZeppでやれるようにいたい、がんばってその場所にいる先輩たちはほんの一握り、自分たちがそこにいるためにはみなさんの応援が必要です、これからもよろしくお願いします──みたいな、熱いことを言っていた。
こういうバンドだけに、時々熱いことを言ったりシリアスな曲を歌ったりすると、その分よけい受け手に刺さるし、届く。ということを、このバンドのライブを観るたびに学んでいる気がします。