八王子天狗祭2017
2017年11月11日(土) エスフォルタアリーナ八王子
取材・文:兵庫慎司
PHOTO:佐藤 広理、白石 達也、安藤 みゆ
グッドモーニングアメリカが、地元八王子でフェスをやりたいと立ち上げた『八王子天狗祭』、昨年2016年に続く2回目が、11月11日にエスフォルタアリーナ八王子で開催された。
「天狗ステージ」と「白狐ステージ」の2ステージ制、交互に進行するタイムテーブルで、「天狗ステージ」に9アクト、「白狐ステージ」に8アクトの計17組が出演、大成功に終わった。
このフェス、開催当日に、イープラスの音楽サイトSPICEが、オフィシャルのリアルタイム・ライブレポを行っていて、私もそのライターのひとりで参加しました。
なので、個別のアクトのレポはそちらをご覧いただければと(レポートはこちら)。ライター4人で4~5アクトずつ書いております。ぜひ。
というわけで。ここDI:GA onlineでは、フェス全体について書かせていただきます。
あ、これ、続くわ。来年もあるわ。根付いたわ。
という手応えのある時間だった。全行程が終わって、この1日を振り返ってからそう思ったのではなく、最初に「天狗ステージ」でグッドモーニングアメリカの4人が前説をして、トップの四星球のライブが始まって1曲目の「運動会やりたい」が終わったあたりで、早くもそのことが感じられるくらいの、とてもとてもいい空気感だった。
まず、目に見えて動員が増えた。
フロアはもちろん、座って観られるスタンド部分も、いつも人で埋まっている。アクトによってはほぼ満員になるが、ギュウギュウで息苦しくなる手前くらいの、ちょうどいい状態。
ブッキングがよかったから動員が増えた、というのも当然あるだろうが、それだけではないと思う。それだけだったら、お目当ての人気バンドの出番が終わったらみんなドーッと帰っちゃう、ということが起きたりしただろうが、そんな感じではなかった。トリのグッドモーニングアメリカまで、ほとんどの人が残って、フェスを楽しんでいた。
忘れらんねえよやBRADIOやゴールデンボンバー、a flood of circleやGacharic Spinなども参加した、バラエティに富んだメンツだったが、どのバンドのライブもとても盛り上がっていたのも、印象的だった。
これ、この規模のフェスにおいて実は重要で、主催バンドに近いジャンルのバンドは盛り上がるんだけど、それ以外のバンドの時間はシーン……みたいになることも、多かったりする。
そういう瞬間が皆無だった、ということは、フェスというものの楽しみ方を知っている、いい参加者が集まっていたということだと思う。
それから、地元八王子の新人、POETASTERが出演しているあたりも、このフェスならではのカラーだった。
なぜそのようないい状態になったのか。
去年がいいフェスになった、楽しかった、それが口コミで広がった、だから去年来た人は今年も来るし、去年来なかった人も今年来た、という、シンプルかつ理想的な広がり方をしたのだと思う。
「去年は××が出ていたから来たけど今年は出ないから来ない」みたいな人、ほぼいなかったのではないかと思う。で、逆に、「今年○○が出るから来たけど、来年は○○が出なくても来る」という人は、きっと増えると思う。
白狐ステージが去年より大きく広くなった。2つのホールがロビーをはさんで並んでいるエスフォルタアリーナの構造がとても便利で、片方でライブが終わると参加者みんなサッと隣のホールに移動して次のライブを観ることができる。フードエリアが去年よりも大幅に充実していた。
などの、インフラのさらなる充実もフェスを居心地いいものにしていた。
というわけで、ストレスなくて自由で音楽を楽しめる、とてもいい時間だしとてもいい空間だったんだけど、ただ、ひとつだけ気がかりだったこと。
たなしんだ。まず朝、『たなしんと行く“八王子天狗祭2017”片道切符バス』という企画で、新宿からエスフォルタアリーナ八王子までお客さんを運ぶバスに添乗員として同乗。
で、バスガイド姿のまま、ほとんどのバンドのライヴ中、お客さんと一緒にフロアで盛り上がっている。ステージからそのことをいじられる時も、一切いじられない時も、関係なくずっとそう。ゴールデンボンバーの時は、樽美酒研二コスプレ(紐パン一丁)でステージに現れて彼とふたりで餅つきをやる一幕も。
というようなことを、朝11時から……いや、新宿からだからもっともっと早くからだ、延々とやり続けた末に、19時40分からグッドモーニングアメリカでトリを務める──。
主催フェスだから、という責任感とサービス精神から来る行動なのは納得だし、お客さんも出演バンドもとても喜んでいたけど、体力的にも精神力的にも大丈夫かこの人、と、心配になりました。
そして、いつなんどきどこで見かけても全身でハッピーを表しているその姿に、笑うのを通り越して泣きそうになってしまったりもした、なんか感動して。この人がいれば大丈夫だとも思った。
本人、翌日、寝込んだんじゃないかと思う。