バンドが好きだ。
ジョンが好きでポールも大好きだが、ジョージとリンゴが一緒のビートルズが一番好きだ。
ミックが好きでキースも大好きだが、やはりチャーリーとロンと一緒にストーンズというバンドになった時が一番カッコいい。
昔からどんな優れたソロアーティストの楽曲より、どうしてもバンドという複数人のバンドマジックで生み出す作品とそのたたずまいに惹かれた。
でもバンドを続けるのは本当に大変な事だ。
元々は赤の他人達と共同で作品を作り続け、長いライブツアーに出続け、お金やそれぞれの人生の事も考え続けなければならない。
夢や自由を表現するのがバンドの仕事なのに、皮肉な事にバンドには人生のわずらわしいものが全部つきまとう。
そんなの続けられるわけないと誰でも分かるし、実際世の中のほとんどのバンドは当然のように何らかの理由でみんな解散する。
だからこそ僕らは、奇跡のように今も長く続く本当に数少ないバンド達が、その果てに今も生み続ける楽曲や演奏に心を揺さぶられ、若い頃と同じようにロマンを感じ、夢を見続けられるのだ。
THE MODSは今年デビュー35周年だ。
モッズと名乗ってからの活動は何と35年以上にもなる日本で最も息の長い、今も現役バリバリのロックンロールバンドだ。
メンバーチェンジはただ一人一度のみ。
改めて調べて驚いたが、35年間中34年、ようするにほぼ毎年、何らかの形で新たな作品(しかも複数)を発表し続けており、ライブにいたっては何と1年も休んだ事がない。
デビュー当時から今も変わらずメンバー達が最初に衝撃を受けたブリティッシュビートバンドの影響を色濃く感じるサウンドとルックス。
そして歴史の長いバンドがみんな経験するのと同じく、ヒット曲でテレビやメディアに出てた時期も、ファンが離れた時期もあった。
でも基本的には35年前、僕が中学生の時に観に行ったデビューライブツアーの衝撃のまま。今もリーゼントで、皮ジャンで、激しくカッコいいロックンロールのままだ。
そんな風に自分達のバックボーンにあまりに素直なバンドな為、うがったロックファンに誤解される事も多かったが、ボーカルの森山さんはそんな自分達の事を昔「俺達はいい意味で視野がせまいんだ」と言っていた。
地元福岡で最初に受けたロックの衝撃のまま活動を始め、都会の沢山の流行や情報に左右されないままデビューし、その衝撃を信じたままやってるから続けていけるんだと。
同じく田舎のただのロック小僧だった自分はその発言に共感しまくった。
モッズの信じた夢は今も変わらないし終わっていない。
そして僕らホントいい歳になってしまったモッズファンも、その夢を見るため、その夢に憧れた自分を確認するため、今もモッズのライブに通い続けるのだ。
先日デビュー35周年7ヶ月全国27本にもおよぶライブツアー「THE MODS TOUR 2016 “HAIL MARY”」初日の川崎クラブチッタに行った。
モッズは最新アルバムの曲や、デビュー当時の名曲もたくさん披露してくれた。
昔と変わらないその激しくてカッコいいロックンロールライブを楽しみながらも、35年前と何も変わってないその奇跡のようなステージにいつも感極まって涙が出てしまう。
同時期に活動していたロックバンドはみんないなくなってしまった。
モッズしかいない。
日本で35年以上一度も止まらないロックンロールバンドの奇跡を見せられるバンドは、もうモッズしかいないのだ。