インタビュー/三宅正一
これは自信作ですね。ジタバタしながら、一歩ずつ前に進んでいって獲得した世界です。
──ソロ3枚目のアルバムとなる『北極星』は独創的でシンフォニックなポップミュージック像が印象的な作品で。サウンドも歌詞も“森羅万象”という言葉が自然と浮かぶ様相があるんだけど、後半になるにつれ日常に立ち返っていく趣がある。今の藤巻さんが音楽家としてとてもいい状態あることが伝わってきました。
本当にその通りで。自分のなかで「ソロではこういうことをやりたかったんだ」って思ったし、それを表現できたアルバムです。大きなスケール感は特に意識したわけではないんですけど、野口健さんと出会ってから世界各地を旅するようになって、物理的にも視覚的にも精神的にも見た景色を音楽として表現できる部分が多くあって。だんだん日常に着地していくという視点もそこまで計算してなかったんですけど、自然とそうなっていきました。これは自信作ですね。ソロを始めたときにこの景色は見えてなかったし、ジタバタしながら、一歩ずつ前に進んでいって獲得した世界ですね。
──レミオロメンも含めて比較対象のない音楽像を獲得したなと。
それが一番うれしいですね。
──最初にできた曲はなんでしたか?
実は前作『日日是好日』のときに「北極星」のデモができていたんです。「北極星」を『日日是好日』に入れることもできたんだけど、周りの人から「『北極星』はもっと大きなテーマ性を持ってるものじゃない?」という意見があって。もう一度しっかり向き合うべきテーマであると。大きかったのは、「北極星」は地元(山梨県御坂町)の公民館を借りて、そこで作った曲なんですね。東京で制作しているなかで、行き詰まってきたから場所を変えてみようということで。公民館でギターを弾きながら窓を見たら、向こう側にぶどう畑や南アルプスが見えて。自分が生まれてから18年間すごしていた景色がそこにあったんですね。ここで起こったこと、出会った人たち。それが自分の根っこにあることにあらためて気づいた。そのなかでも最大の出来事は前田啓介と神宮司治と出会って、レミオロメンを結成したことで。そこで自分の人生は大きく変わったし、レミオロメンで言ったら神社時代が大きくあるんです。公民館の近くの神社に1年間通って曲作りしたことがまさにレミオロメンの原点だし、その時間で起こったことがすべて自分のなかに大切なものとして残っているんです。だからこそ、レミオロメンは活動休止中だけど、2人に対する思いがあふれてきたりして。そういう感情を覚えながら「北極星」はできたんです。この曲ができたことで、自分も精神的に前に進むことができた。そして、腰を据えて作れたのがこのアルバムなんですよね。
変わるのは周りの世界じゃなくて、自分自身。それに気づけたことが最大の収穫だと思ってます。
──1曲目に「優しい星」という曲があり、2曲目の「Blue Jet」の歌詞にも“優しさ”というフレーズが登場しますよね。それがすごく印象的でした。
自分なりにソロ活動を始めて、心をトランスフォームしていかないと対応できなかったところがあって。レミオロメンの10年間で培ったものが通用しないことのほうが多かったので。自分の思ってるリアリティと目の前で起こるリアリティに温度差があって。そうしたときに周りを変えようと最初に思ったんです。もっとわかってほしいとか、周りの人に変わってもらうとか。でも、そんなことをしても上手くいかないんですよね。ソロになって一番学べたことって、変わるのは周りの世界じゃなくて、自分自身なんだということで。自分が人間として成長して、努力して変わっていけば、自分の発言も行動も変わってくる。そうすると、ゆくゆくは状況も変わっていくんですよね。自分は変わらなきゃいけないし、変わることができる。それに気づけたことが最大の収穫だと思ってます。目の前の現実の扉にある鍵穴に向かって自分をトランスフォームする。そのこともこのアルバムで歌えたのもよかったですね。
──「another story」では小林武史さんを久々にアレンジャーに迎え、そして「優しい星」と「紙飛行機」では神宮司治さんがドラムを叩き、「Blue Jet」、「Have a nice day」、「マスターキー」のベースを前田啓介さんが弾いたという。レミオロメンの3人が藤巻さんのソロアルバムで顔をそろえるのはとても大きなポイントですよね。
『北極星』というアルバムを作って自分のなかで大きいのは、ソロの世界観を確立できたこと、2人が演奏してくれたこと。それはものすごく幸せなことですよね。アルバムを作りながらソロの大事な作品になりそうだなという予感があって。そんななか、啓介と治が僕のライブに来てくれたんです。『こういうアルバムを作ろうと思ってるんだよね』と話をしたら、2人が『手伝うよ』って気軽に言ってくれて。もう5、6年音を一緒に鳴らしてなかったんですけど、ブランクは関係なくて。いきなり『そうそう、その感じ!話が早いね』ってなりました。特に啓介なんかは全然ベースを弾いてなかったのに相変わらず上手いし。治も相変わらずプレイが明るくて。変わんねぇなって。その空気感が幸せでした。
──こうなると気になるのはレミオロメンの再始動が近い将来にあり得るのかということで。
そうなりますよね(笑)。我々は急に活動休止を発表したので、ファンのみんなに感謝の気持ちを伝えられていない心残りがずっとあって。いつか、然るべきタイミングのときに3人で感謝の気持ちを返せたらいいなと思ってます。
ファイナルはサプライズがあるかもしれない、ということだけ言っておきます(笑)
──ツアーも楽しみですね。
めちゃくちゃ楽しみです。早く生で『北極星』の曲を演奏したいです。今回はバンド編成で全公演を回ります。『北極星』を聴いてくれた人たちに『ライブは立体感があってさらにいいね!』って思ってもらえるような内容にしたいですね。あとはソロの過去作をどう散りばめるか。レミオロメンの曲も何曲かやろうと思ってるので、いろんなパズルをはめていくのが自分でも楽しみです。ファイナルはファイナルでサプライズがあるかもしれない、ということだけ言っておきます(笑)。ぜひ期待してほしいですね。
──アルバムが完成した今も曲作りは続けてるんですか?
自分のなかで漲っている感じがすごくあって。だからこそ、歩みを止めずに前に進みたいなと思ってますね。どういうタイミングで次の作品に取りかかるかはまだわからないけど、1stと2ndまでの間のように3年半空きましたということにはならないと思います(笑)
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