バンドなんていつなくなるか分からない――――それを体感したバンドだからこそ、4人は腹をくくった。昔からハード寄りで、ヴィジュアル系でも“異端児”扱いされてきたギルガメッシュはラウドシーンへ宣戦布告。新しいフィールドの流儀に驚かされ、テクニックに打ちのめされ……そんな彼らが葛藤する姿、フラストレーションまで生き様として吐き出したのが新作『鵺―chimera―』だ。
――ラウドシーンに進出しての手応えは?
左迅(Vo) 戦いでした。2014年後半から自分たちがいるヴィジュアル系とは違ういろんなバンドと戦うようになったんですが。戦いの中で楽曲やライヴの魅せ方を学びましたね。
Яyo(Dr) 正直そこに出ていくリスクはありましたよ。お客さんの反感も食らいました。動員も減ったし。それでも俺らはやりたかった。
愁(Ba) ヴィジュアル系からここまで大きく飛び出すバンドはなかなかいなかったんじゃないですかね。でも、俺らは結成当初から“ヴィジュアル系っぽくない”と常に異端児呼ばわりされてきたし。それが10年も経つと馴染んだ感も出てきたんで外の景色もみたいなと。
――そこでの様々な戦いのなかで生まれたのがこの暗くて、どろっとしたネガティブな空気感満載の新作『鵺—chimera—』。
弐(Gt) 制作中とにかくイライラして、怒ってばっかでしたから。作ったら違う、これも違うの連続で、焦るし喧嘩もするし。そういう負の連鎖が続いて、最後に落ち着いたのは“ネガティブ”でしたから(笑)。それぐらいいろいろ溜まってたものが出せました。
Яyo ライヴでもフラストレーションが溜まってたんですよ。ラウドシーンのバンドと対バンすると刺激ももらってエキサイティングするんですけど、自分たちの下手くそさもすげぇ分かっちゃったんですよ。最近俺らはメタルコアの手法を取り込んでるんですけど、ガチでメタルコアやってる自分よりも7歳も年下のヤツがクソ上手いドラム叩くんですもん。フラストレーションは溜まりましたよ。それで恥をしのんで年下に教えてもらったりして、いい意味でいうと成長して、各々プレーヤーとしての底上げはできたんですけどね。
弐 だからプラマイゼロ。ざっくりいうと(笑)
――メタルコア的な要素もありつつ、お得意のパーティーチューン「Horizon」もあって。
Яyo そこは意識してぶっこんでます。
――そして歌にはヴィジュアル系で培ってきたメロディアスなギルガメッシュ節がある。
愁 だから(合成生物を示す)アルバムタイトルなんです。キメラ君という生き物がいたらすげぇコンプレックス野郎だと思うんです。どこにも属せなくて。それでさらに他のところにいったらもっと強いヤツがいて悔しい、見返してやりたいって。ギルガメッシュの始まりはすべてそこなんですよね。
――ツアーではそんなみなさんのエモーショナルな叫びが聞けそうですね。
Яyo 新作に懐かしい曲も混ぜて、ラウド系のファンもヴィジュアル系のファンも見応えがあるワンマンショーにしたいなと思ってます。
インタビュー/東條祥恵