ビッケブランカ、ツアー完走!10月31日(木)TOKYO DOME CITY HALL公演完全レポートを公開

ライブレポート | 2024.12.09 17:00

VK Blanka HALL TOUR 2024 - Knightclub -
2024年10月31日(木)TOKYO DOME CITY HALL

2024年10月31日(木)TOKYO DOME CITY HALL、ビッケブランカが全国6本を回るツアー『VK Blanka Hall Tour 2024 - Knightclub -』の東京公演。そのライブレポの依頼を、このDI:GA ONLINE編集部からいただいていた。お受けしたのだが、後日、それとは別のところから、ライブ直後にアップされるレポのオファーもいただいた。
ただ、それはツアー中にアップされるものだったので、あんまりネタバレするのはアレなので、細かいところまでは書けなかった。
で、DI:GA ONLINEの方は、ネタバレを気にせずに書いて、ツアーの最終日の12月8日(日)福岡国際会議場メインホールが終わってからアップする、ということだったので、ならば、先に書いてアップされたレポを引用しながら、そっちでぼかしたり曖昧にしたりしている箇所の詳細を補足したり、解説したり、長くなりすぎるので書かなかったことを追加したりしていけば、既にアップされているレポを読んだ方が、こっちを読んでも、楽しいんじゃないかしら。
と、考えたので、以下、その方式にトライしてみます。太字が先にアップされたレポの文章、その下が新たに書いた補足や解説や追加です。

2024 年10月31日(木)、TOKYO DOME CITY HALLにて、ビッケブランカのツアー『VK Blanka Hall Tour 2024 - Knightclub -』の東京公演が行われた。9月4日リリースのニューアルバム『Knightclub』のリリース・ツアーで、愛知・北海道・大阪・東京・宮城・福岡を回るホール・ツアーの4本目である。
2023年から海外をひとりで回るツアーを頻繁に行うようになったビッケブランカにとって、国内をバンド編成で回るツアーは、貴重な機会であることを、ファンがよく知っているせいもあってか、TOKYO DOME CITY HALLは満員。フロアから3階席までをびっしりと埋めた熱心なオーディエンスが、ビッケブランカのパフォーマンスを楽しんだ。

ほんとに、えげつないくらいの超満員だった、TDCホール。壮観。ビッケブランカ、過去に何度ももっと大きなハコでワンマンをやっているんだから、ここが埋まるのは当然かもしれないが、それでも、10月のこの時期のド平日で、この大盛況っぷり、というのは、かなりのことだと思う。
で、また、熱気というか、客席から立ち昇る念というか、そういう肌で感じる空気感みたいなものが、何かとても熱い。僕は「国内をバンド編成で回るツアーは、貴重な機会であることを、ファンがよく知っている」と書いたが、まさにそういう雰囲気。この人、海外でのツアーがどんどん増えている、どうもオーディエンスも本人もやたらと盛り上がっているらしい。日本国内をバンドで回って日本のファンと相対することの喜びを、本人に叩き込んでおかないと──という、気迫のようなものすら感じた、オーディエンスから。
あ、ちなみに、ライブのスタート時のSEは、自身の「Death Dance」でした。終演時のSEは「High Love」でした。

この日はハロウィンの当日にあたったため、ビッケブランカ側は、グッズで「HALLOWEEN FACE STICKER」を販売するなどして、参加者の仮装を後押し。オーディエンスの多くが、さまざまな扮装で訪れた。
開演を告げるSEの中、バンド・メンバーたちも、キョンシーやドラキュラの出で立ちで登場する。最後に現れたビッケブランカは、キツネの耳と尻尾を付け、片目に赤いコンタクトを装着。時々ステージ上に姿を見せるスタッフ(ローディ)も、アリスやショッカーの格好をしている、という念の入れようだった。

ハロウィンの当日だったのは、当然、この日だけなので、ここはネタバレを気にせず書きました。なので、書き足すことはないが、ただ、ローディがアリスとショッカーで舞台監督は、キョンシーのような衣装でした。
ショッカーは、動きに支障なさそうだったけど、アリスはその格好できびきび動くのは大変だろうなあ、と思った。曲間にビッケにサッとギターを差し出したりするさまを見て。
ただ、メンバーだけじゃなくて、ステージスタッフも仮装する、というのは、とてもいいアイデアだと思う。35年くらい前、筋肉少女帯のライブで映像収録が入っていた時、ステージにいるカメラマンが全員ピエロの衣装だったのと、20年くらい前の東京スカパラダイスオーケストラのライブでは、ローディは毎回全員モッズスーツとハット姿だったのを、思い出しました。

海外のツアーでのビッケブランカは、ステージ中央に、自身を囲むようにシンセやパッド等の機材を配置し、そこで演奏したり機材を操作したり、時々前に出てギターを弾いたりしながらライブを行っている。その形を取り入れて、ステージ中央の台の左右にシンセや機材を置き、その間に立ってパフォーマンスするのが、このツアーでの彼のフォーメーションになっている。
セットリストは、「Snake」「Never Run」「High Love」「Old Rivals [A Self-Cover of "Rivals!"]」など、ニューアルバム『Knightclub』からの楽曲が軸になっている。

その他のニューアルバムの曲は「Bitter」「Daddy (Dying in NY)」「白夜」「Yomigaeri」「またね」もやった。つまり「White ≠ Colorless」以外は全曲演奏した、ということです。

その定位置でパッドを叩きながら歌う、ハンドマイクでステージのあちこちに行く、フロントに出てギターを弾きまくる、ピアノ(キーボード)を弾き語りながら高らかに歌うなど、曲によってさまざまに表現を変えながら、オーディエンスを魅了し続けるビッケブランカ。
ビッケブランカとオーディエンスの掛け合いが続いた曲、ハンドクラップとタオル回しが客席に広がった曲、曲中盤でビッケブランカが客席のすべての方向に向かって丁寧に手を振り続けるあの曲、後半のブレイク部分でオーディエンスにリードボーカルをまかせ、大きなシンガロングが響いた曲、そして、ただ素でしゃべっているようにしか見えないのに、何かと爆笑をとるMC──ボーカリゼーションや演奏だけでなく、その瞬間その瞬間の表情や動きや立ちふるまいなどまで含めて、海外ツアーの経験によって、パフォーマーとしてあきらかにレベルアップしている、タフになっていることが、生で観ているとわかる。

パッドを叩いたのは「Daddy (Dying in NY)」や「Sad In Saudi Arabia」など。ビッケとオーディエンスの掛け合いが続いた曲は、最初にビッケが「Ah-Ha!」の掛け合いを求め、しばらくそれが続いたら、ビッケが「Ah-Ha!」をやめて1フレーズずつ歌い、それにオーディエンスが「Ah-Ha!」を入れる、という「わかっている同士しかできない」コール&レスポンスから始まった「Want You Back」などでした。
曲中盤で、ビッケブランカが客席のすべての方向に向かって丁寧に手を振り続けるあの曲は、言うまでもなく「ウララ」です。前にも書いたことがあるが、僕はこの光景がとても好きだ。本人が、手を振り忘れる箇所がないように、客席の各方向に向かって、本当に丁寧にやっているのがわかるので。
後半のブレイク部分でオーディエンスにリードボーカルをまかせ、大きなシンガロングが響いた曲は「High Love」。それから「ただ素でしゃべっているようにしか見えないのに、何かと爆笑をとるMC」に関しては、説明の必要、ないですね。ファンはみなさんよくご存知だと思うので。

あと、「Bitter」終わりのMCで、「今日はね、海外からも特別ゲストが来てくれてるんですね、観客席に」と、ドイツとカナダから来た人たちを紹介した。「ビッケブランカってどんなもんだ、っていうので、わざわざ来てくれたんですよ」と言っていたので、たぶん海外のイベンターとかエージェントなのだと思う。
9曲目の「Daddy (Dying in NY)」が終わったところでのMCの時間は、客席から「ダディ!」「ダディ!」と声が飛んだ。イタリアでのライブの時、客席から何度も「ダディ! ダディ!」という声が飛んで来て、「お父さん? 俺が?」と不思議に思いながらもにこやかに応対した。しかし終演後、現地のスタッフに「ダディ」の意味が「抱いて」であることを教えられて、慌てた──という話をライブでして、大ウケして以来、定着したのだと思われます。

それから、中盤では、海外でいっぱいライブをやって、曲の表現のしかたで新しいものを得た、自分の思いとは違うふうに曲がひとり歩きする感じも目の当たりにした、それでバラードとの向き合い方も変わった──という話をする。
「今まではガッ! と歌ってたけど、もっと、シュッ! と……わかるでしょ? 穏やかにさ、シュッと、フッとなった時にこそ出る包容力みたいな、大きさみたいなものを知ったんだよね」と言ってから、「白夜」をひとりで、ピアノ弾き語りで歌い始めた。
「ガッ! とからシュッ! へ」に関しては「わかるでしょ?」と言われても「いいえ」としか答えようがなかったが、歌を聴いて、よくわかった気がした。
続く「TARA」もひとりでピアノ弾き語りでワンコーラスまで歌い、バンドが音に加わると、立ち上がってハンドマイクになる。そう、これが「ハンドマイクでステージのあちこちに行く」曲のひとつです。

自分はいろいろできるわけではない、曲を作ってライブを一所懸命やるぐらいしかできない、でもそれをずっとやり続ければ、レベルアップも、新しい景色を見ることも、新しいことを伝えることもできる、と思っている。8周年目である今年、また新しく物事を始めて、「次はこんなことをやるよ!」「こんな曲ができたよ!」と、みんなをワクワクさせ続けられるように、がんばろうと思います──。
本編ラスト曲の前のMCで、ビッケブランカはそう宣言し、「今日はありがとうございました、ビッケブランカでした!」と、改めて感謝を伝えた。そして、「LOVE! LOVE! LOVE! LOVE!」と、愛も伝えた。

本編後半、「蒼天のヴァンパイア」「High Love」「Ca Va?」「Old Rivals [A Self-Cover of "Rivals!"]」の連打で、オーディエンスをえぐいほど踊らせ、歌わせ、盛り上げてから、このMCをはさんで本編ラストに歌ったのは、『Knightclub』の1曲目「Yomigaeri」だった。
そして、アンコールは同じく、『Knightclub』からの「またね」。これまでのビッケブランカの楽曲の中でもっとも、ライブの、いちばん最後に歌われるのがふさわしい曲かも、これ。と、「変わらないでいてよな また会う日まで Yourself」というリフレインを聴きながら思った。
こんなに簡潔に「また会おうね」という気持ちと同時に、自分は今のあなた(相手)を肯定していることを伝える曲、他にないな、と。ビッケブランカにない、だけじゃなくて、他の人の楽曲も含めて。

2024年のビッケブランカのライブは、あと2本。まず12月27日(金)に、おなじみ『VK Blanka presents RAINBOW ROAD』。今回は『- 號 -』という字が付いている。会場は東京・LINE CUBE SHIBUYA。そして、その2日後の12月29日(日)インテックス大阪、今年で15周年の『RADIO CRAZY』への出演も、控えている。
『RAINBOW ROAD』のステージで、来年以降のアクションが発表されるのではないか、と思う。されるといいな。楽しみにしています。

SET LIST

01. Snake
02. FATE
03. Moon Ride
04. ウララ
05. Want You Back
06. Bitter
07. Never Run
08. Sad In Saudi Arabia
09. Daddy (Dying in NY)
10. 白夜
11. TARA
12. 蒼天のヴァンパイア
13. High Love
14. Ca Va?
15. Old Rivals [A Self-Cover of "Rivals!"]
16. Yomigaeri

ENCORE
En1. またね

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