EYE(Vo),SAKI(Gt),RIO(Ba),MARI(Dr)によるガールズメタルバンド、Mary’s Blood(読み:メアリーズブラッド)がバンド結成10周年を経て、メアリーお得意のHM,HRサウンドで自分たちのルーツや思い入れたっぷりの“アニソン”をカバーした初のカバーアルバム『Re>Animator』を8月26日に発売する。『聖闘士星矢』OPテーマ曲「ペガサス幻想」に始まり、『魔法少女まどか⭐︎マギカ』EDテーマ曲「Magia」、映画『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』のテーマ曲としておなじみの「魂のルフラン」など11曲を収録した本作。カバーアルバムでありながら、メアリーファンはもちろんのこと、HM&HR好き、アニメファンすべてを満足させるという奇跡的なケミストリーを引き起こした今作について、バンドの近況も含めメンバーのEYEとMARIにリモートでインタビューを行なった。
──Mary’s Bloodは昨年10周年を迎え、それを記念した映像作品『Mary’s Blood 10th Anniversary Box』も今年発売になったので。改めて、バンド結成10周年を迎えられたことについて、いまの気持ちを聞かせて下さい。
EYE(Vo)結成した当時は思ってもいなかったです。こんなにバンドを続けられるとは。細かい計画なんかは考えてなかったんですけど、それでも徐々に活動が大きくなっていって。大失敗をすることもなく、気がついたら平和な感じでここまで続けてこられてたので、恵まれてたのかなと思いますね。
──10年もやっていれば、普通いろんなトラブルがあったりしますもんね。
EYEなので、こういうバンドもなかなかないんじゃないですかね。
MARI(Dr)気がついたら10年という感じで、感覚としてはあっという間でした。やり続けたなかで、その間にメジャーデビューして環境が変わったりしたところはありましたけど、基本的なところはブレることなくやり続けてこれたので、Mary’s Bloodとしてはステップアップできた10年だったんじゃないかなと思ってます。
──バンドを平和に続けていくための秘訣って、なにかあるんですか?
EYEどうなんでしょうね…。個人的に大事にしていることは、メンバーのいいところを尊重する。それを忘れないようにしています。
──メンバーへのリスペクトということですか?
EYEはい。それぞれの持ち味、特徴、人間性も含めて。例えばRIOはムードメーカーだったりSAKIちゃんは社交的で、MARIりんはそのまとめ役といった感じで、演奏だけじゃないところも含めてお互いを認めてるから続けられてるんじゃないかなと思います。
MARIだから、ウチはメンバーひとり一人が大事な存在で。こういうバンドをやりたいからというのじゃなくて、「この人と一緒にやりたい」というのがまず先にあって集まったメンバーだったから、それぞれをそこまで尊重できるんだと思います。なので、一つのことを決めるときも、私も一人ひとりへのリスペクトを忘れないようにしてるところはありますね。
──なるほど。そうして今年は予定していたツアー<Mary’s Blood Conceptual Tour>が新型コロナウイルスの影響で中止になってしまって思うようにライブ活動ができないなか、有料配信ライブ<無観客スーパーライブ>にトライされました。こちらはやってみていかがでしたか?
EYEやる前は、お客さんがいないなかでやるのは寂しいんだろうなと感じてたんですが、やってみたらいろんな発見がありました。ツイッターを通して、お客さんがコメントをくれるんですけど。そのコメントでお客さんがのってるのが分かるんですよ。しかも、MC中にはそこで対話もできて。思ってたよりも(お客さんと)やりとりができるんだなと感じたり。あと、私は普段ダイブとかしないんですけど、この日はお客さんがいないんなら降りちゃえと思ってフロアで歌ったり、カメラの向こうにみんながいるからカメラ目線で煽ったり。やってみたら、普通とは違う顔が見せられたライブになりました。
MARIライブが次々と中止になっていくなか、あの6月のタイミングで画面を通してですけどお客さんと一緒に楽しめたのが私としてはとてもよかったです。これでもっと頑張れるって思いました。直接ではなくても、みなさんがツイートしてくれるコメントを見ることで、お客さんが反応してくれてるのが文字で伝わってきたんですね。普段のライブではライブ中に直接お客さんの感想を聞いたりすることはないので、そういう反応がすぐに見れたのは新しい発見で、私は嬉しかったです。
──それでは、ここからはアルバム『Re>Animator』についてお伺いしていきたいと思います。アニソンをカバーしようというアイデアは、いつ頃からあったんですか?
EYEMary’s Bloodは2年ぐらい前からハロウィンライブでコスプレをしてて。メンバーみんなアニメが好きなので、アニメにまつわる曲をカバーするという企画をやっていまして。私は趣味で“コスプレ”をしてるんですけど。
──コスプレーヤーなんですか?
EYEはい(笑顔)。
──そんなEYEさん個人の趣味に巻き込まれて、コスプレライブをしちゃうとか(笑)、メンバー的にはどうなんですか?
MARIコスプレの写真とかは前から見せてもらってたんですけど、クオリティーが高いんですよ。衣装、小物とかも全部手作りで。
──えぇーー!
MARIそうなんです。だから、いつもワクワクしてやってますよ。違う自分になれるので。
──メアリーにそんな顔があったとは驚きです。
EYEそれで『魔法少女まどか⭐︎マギカ』に続いて、去年は『けいおん!』のコスプレでライブをやってたんですね。そうしたら、ライブが終わった直後にレコード会社のスタッフディレクターさんが楽屋に飛び込んできて。いきなり「次のアルバム、カバーにしたい。アニメの。やってみない?」ってこっちがビックリするくらいの勢いでいってきたんですよ。それがきっかけですね。そうして、自分たちのルーツになっている曲や好きなアニソンからカバーする曲を選んでいったんです。
──バンドとしてはそんな提案を受けて、願ったり叶ったりだった訳ですね。
EYEそうです、そうです。
──ところで、アー写やジャケットが和風な衣装で、ここで他のみなさんは楽器なのに、EYEさんだけが刀を持ってるのが気になったんですけど。
EYEアニソンといえば、日本が世界に誇る文化であり、私たちは日本のバンドだぞという意味も込めて、今回の衣装は和服だろうと。そこにロングスカートなどの洋服を合わせて、和洋折衷をコンセプトに衣装は作ってもらったんですね。そうして、この衣装に合わせるなら和な背景ということで、写真は神田明神で撮影することになったんですけど。それで自分が何か持つならと考えて「刀持っていっていですか?」って、制作スタッフに自ら提案して持っていきました(微笑)。
──そうでしたか。制作にあたって、カバーする曲はどうやって選んでいったんですか?
EYE制作スタッフから、最初にこんな曲はどうだろうというアニメソング、結構な曲数が書いてある一覧が手渡されて。
MARIそれを元に、メンバーのルーツとなるバンドの曲は必ず入れようというのと、アニメソングのなかでもバンドがやっているものというのを念頭において、カバーするにあたってその曲に対してメンバーが思い入れがあるもの。そのなかからカバーしたいものを選んでいきました。
──今作を聴いて一番に思ったのは、なんて丁寧なカバー作品なんだろうということだったんですね。原曲をガンガンに解体して、自分たち流にカバーする人もいるなか、メアリーは徹底して原曲をリスペクトしながら職人のように細部までこだわったアレンジを施していたのが印象的でした。今回カバーするにあたってアレンジの方向性として、バンドとしてなにか決めていたことはあったんですか?
EYE私はコスプレをするぐらいの人間なので、オタクの気持ちが分かるんですね。そのなかで、出てきたのは“原曲は神である”ということなんですよ。
──それいいですね! そこまで原曲へのリスペクトがあるからこそ、原曲のよさを損なわず、原曲への愛情を感じさせながらもメアリーらしさを感じさせるカバーの仕上がりになった訳ですね。
EYEどんなに私たちの得意なメタル寄りのアレンジに寄せたとしても、原曲を好きな人が違和感なく聴けるもの。そこのバランスはすごく考えました。なので、歌い方一つとっても細かく分析して、何10本も歌い方を変えながら録ったり。
MARI原曲をリスペクトしながら、プラスαで自分たちらしさを出していくというのは、全員共通であって。その上でそれぞれが自分のパートのアレンジをつめていった感じです。
──では、続けて収録曲についても聴いていきますね。EYEさんが今回入れたかった曲はどれだったんですか?
EYE私は「ペガサス幻想」と「魂のルフラン」と「Driver’s High」ですね。
──「ペガサス幻想」はオリジナルアーティストのNoB(山田信夫/MAKE-UPのヴォーカリストで、現在はソロで活躍中)さんとツインヴォーカルで歌ってらっしゃっいましたよね。
EYEこの曲は最初からアニソン一覧に入ってた曲なんですよ。尚且つ、私はデビュー前に当時所属していた事務所に「いい先生がいるから」と紹介されてNoBさんのヴォーカルレッスンを受けたことがあって。それが縁で、お願いしてライブにも登場していただいたこともあったんですね。
──えー。それが今回の共演へとつながっていったのも不思議な縁ですね。
EYEええ。そこにはまだ続きがあって。今回、メアリーの制作スタッフの中に昔MAKE-UPを担当してたという人がいるというのが分かって。運命が巡り巡っての共演なんだなと思いました。
──「魂のルフラン」はなぜ選んだんですか?
EYE「残酷な天使のテーゼ」は前にカバーしたことがあるので、無類のエヴァ(『新世紀エヴァンゲリオン』)好きとしてカラオケでもよく歌ってるこれを入れたかったんです。この間奏でクアイヤにLynn Hobday(リン・ホブデイ/著名なアーティストの英語訳詞や作詞、ミュージカルやアニメのキャラクターソングまで手がけるイギリス出身のアーティスト)さんに歌ってもらったんですけど。あとから英語バージョンの公式「魂のルフラン」に参加していたときいて驚きました。
──これまた運命が巡り巡っての共演だった訳ですね。「Driver’s High」にはどんな運命の巡り合わせが?
EYE私のバンド人生のルーツとなるhydeさんがいらっしゃるL’Arc〜en〜Cielさんの曲ということで入れました。ラルクにはご本人たちがパートチェンジをして自身の曲をカバーする別バンドで“P’UNK〜EN〜CIEL”というのがあるんですけど。そのエッセンスを入れながらのカバーになっています。
──EYEさんのラルク愛がマニアックに炸裂しているところがいいですね。そして、MARIさんといえばX JAPANがルーツですから。
MARIX JAPANさんの「Forever Love」をカバーしました。バラード曲なんですけど。今回、この曲で初めてブラシで叩くというアプローチをしたんですよ。初めてだったので、そこはレコーディングをしてて新鮮でした。
──凛として時雨の「unraval」をメアリーがカバーするというのも新鮮でしたし、水樹奈々さんの「Exterminate」もシンフォニックメタルな仕上がりが迫力あって、めちゃくちゃカッコよかったです。
EYEExterminateはリストの中から選んだんですけど。歌もパワー感があってすごいキーが高いんですね。歌はかなりチャレンジしましたね。
MARIドラムはどうしようかと考えて、ライブ映像の動画とかを見させてもらったら、お客さんの熱量、バンドの熱量が凄かったんですね。なので、ここでこう盛り上がるというポイントは押さえつつ、間奏とかはバンド感を大事にしました。
──アルバムのラストをメアリーではあまりやらないような明るく爽快な「ウィーアー!」で締めくくったのも意外でしたが。
EYE誰もが知ってるメジャーな曲、明るく元気になる曲で、10周年、みんなとの絆、友情を届けたいなと思って。10曲が出揃ったあとに、私がリクエストしてこれを入れてもらったんです。
──そんな想いが込められてたんですね。11曲をカバーしてみて、改めて見えてきたMary’s Bloodらしさとは?
EYEカバーしても私たちのスピード感、聴き心地のよさ、耳障りよく体に響いてくるサウンドというのは変わらないなと思ったので、そこですかね。
MARIバンドならではのライブ感、生のバンドのサウンド感ですね。
──アニメファン、さらにはHR,HMファンの方々にも今作はぜひ聴いてもらいたいですね。
EYE聴いて欲しいです。
MARIそうして、ファンのみなさんも含めてですが、このアルバムを聴いて「楽しいな」と元気になってもらう。この作品を通して、みんなにそんな“パワー”が届けられたらなと思ってます。
PRESENT
EYE&MARI寄せ書きサイン色紙を1名様に
受付は終了しました