インタビュー/濱安紹子
2004年のデビュー以来、シンガー・ソングライターとしての活動を行う傍、現在までにMISIA、EXILE ATSUSHI、三代目 J Soul Brothers、SMAPといった名だたるアーティストに楽曲提供を行なってきた森大輔。そんな彼が2014年夏にスタートさせたのは、「森の音楽会」という名のちょっぴりユニークなコンセプト・ライブだった。多くのアーティストは作品をリリースした後に、そのプロモーションの一環としてツアーやライブを行う、というのが常なのだが、このライブはどうやら勝手が違うらしい。先日9月22・24日にシリーズ8回目となるライブを開催した矢先、早くも9回目の実施(12月2日より東京・福岡・大阪にて公演開催)を告げるというハイペースっぷりでライブ活動に邁進している彼に、このライブシリーズの何たるかを直接聞いてみた。知れば知るほど気になる「森の音楽会」の実態とともに、森大輔というアーティストの面白さや独創性といったものも窺い知れた、貴重なインタビューとなったので、ぜひご一読を!
──ファンの方にとっては周知のことかも知れませんが、まず「森の音楽会」ってどんな経緯でスタートした、どんなライブなのか教えてください。
2010年頃ですかね。これまで以上にライブをやりたいって気持ちが強くなってきて、ハイペースでライブをやるには一体どうしたらいいんだろうって考えたんです。普通はライブをやるってなると、何かしらのリリースが前提になってきちゃうんですが、リリースなしでもライブする方法ってないかなって考えた時に、「あ、順番を逆にしよう」って思いついて(笑)。むしろライブから新曲が生まれるっていうのも、いいんじゃないかって思ったんです。時代的にも今はそういうことやりやすい風潮だし、じゃあやっちゃおうと。
──結果として生まれたのが、作品リリース→ライブという既存の流れとは違うライブだったわけですね。
そうですね。ただ、今後回数を重ねていく中で、このライブがどういう形のものになっていくか想像がつかなかったので、名前に関してはなるべくボンヤリしたというか、何でもアリな状態にしときたくて。なので、僕の名前が入ったわかりやすいものにしておいて、毎回サブタイトルみたいなものをそこに入れていくっていう形にしました。で、単にライブをやってるだけだと僕自身も飽きてきちゃうので、毎回ちゃんとしたテーマの設定が必要だなと。そんなわけで自然とコンセプチュアルなものになってきたという感じです。
──毎回テーマが変わるとのことですが、ステージの雰囲気や曲のセレクト、アレンジなんかがテーマ毎に変わるということなんでしょうか?見所を教えてください。
毎回見所自体が変わるっていうのが、このライブなんですよね。例えば今までやってきたものの中には、ライブの時間全体を物語として捉えて表現するみたいなものもありました。その時は「ラブストーリー」ってテーマで、恋が生まれて終わっていくまでの紆余曲折を描いていき、それに合わせて曲をチョイスするみたいな。あとは、バーチャルデートを楽しんじゃおうってことで、ライブの中で1日かけてデートコースを回るみたいなこともやりましたね。その時は東京、大阪、福岡でライブをやったんですが、それぞれの街のデートスポットを調べた上で僕なりのデートコースを提案するんです。どこそこの商店街行って、ここの山に登って夜景見て……みたいなプランを立てて「こんなデートどう?」って地元の人に提案するっていう(笑)。あとは、「月」や「雨」といったキーワードを設定するライブもありましたね。
──前回は「祭りばやしに誘われて」でしたよね。これはどういった感じだったんでしょうか?
この時は「森の音楽祭」ってお祭りの回にしちゃおうと思いまして。ノリで楽しめる感じを出したかったんです。自分で言うのも何ですが、人から見た僕の印象って「お祭りとは関係ないタイプ」だと思うんですよね。お祭りのイメージとは結びつかないというか(笑)。なので、このライブに来た人にはびっくりしてもらいたかったんです。太鼓叩いてみたりとか、お祭りっぽいアレンジにも挑戦しました。
──太鼓も!ってことは日本のお祭りをイメージしたものだったんでしょうか? ハッピ着て踊る感じの?
ハッピ着るのはギリギリ我慢しました(笑)。盆踊りとか太鼓とか日本のお祭りもやりましたが、その上で世界のお祭り、サンバとかイタリアのベネチアカーニバルといった「世界三大カーニバル」みたいなものをイメージしたアレンジもやりました。お祭りの全部乗せ、みたいな(笑)。でも勢いだけじゃなくて、実は今までで一番音楽的な工夫がなされた回だったんじゃないかなと思います。
──楽しそうですね! 毎回そういった形でしっかりと作りこんでいるんですね。
前々回の7回目で、3月にリリースした『Music Diner』というアルバムのタイトルを銘打ったライブを行ったんですけど、そこでようやく一区切りした感じがあって。これまでのライブで発表してきた新曲を集めたアルバムをリリースしてお披露目する、というのが終わったので。8回目からは2周目みたいな感じで、今までよりさらに音楽的にも充実させていきたかったので、さらに作り込んだものにしたいと思ってました。
リリース後にやるライブって普通、お約束の絶対盛り上がる曲みたいなのがあると思うんですけど、それを敢えてしない場合もやります。前回すごく盛り上がったあの曲が、次のライブでは引き語りで泣ける感じになってたりとか、毎回そのくらいの落差があってもいいのかなと。
12月に開催される、第9回目のライブはどんなものに?