──現在、You Tubeで毎週土曜日に『オダテツ3分トーキング』というタイトルの動画を配信されています。3分ではありますが、密度が濃くて、見応えがあります。やろうと思ったきっかけは?
3分だからやってられるってところはあるんですけどね。新しいことをやってみるのは基本的に好きなので、せっかくこのご時世、こういうものがあるなら、やってみようかなということですよね。ただし、“織田哲郎がYouTuberになった”わけではないです。それはおこがましいかなと思います。実際のYouTuberの人たちって、真剣に毎日毎日撮っては編集して、ということをやってるわけですから。こっちは3分のものを1日にまとめて何本か撮ったりしていて、それでも結構、精一杯ですから(笑)。 iPhone で自分のスタジオで撮ってるから気楽にやれてるというところはありますね。
──40年の日本のポップスの歴史も見えてきます。
そんなにたいした裏話が出てくるわけじゃないけれど、自分自身、中学校の頃に好きだったアーティストがこの時は実はこうだった、みたいなエピソードを知ることがうれしかったんですよ。今はネットが発達していますが、動画を見て、同じように、そうだったのかって喜んでくれる人がいたらいいなと思っています。
──織田さんの音楽への愛、みたいなものも伝わってきました。
それはうれしいですね。
──自分で手掛けた過去の曲について語ったり、歌ったりして、何か新たな発見はありましたか?
いい曲じゃないかって思ったりしました(笑)。俺は昔の作品をしみじみと振り返ったりするタイプではないので、こんな機会でもなければ、自分が作った過去の曲を聴かないんですが、結果的に聴く機会が増えましたよね。しかも、“歌ってみた”という企画をやるとなったら、それなりにちゃんと聴いて、少しは練習しないと、できないわけだし。そういう経験ができて楽しかったですね。
──『恋☆カナ』を楽しそうに歌っている姿を見て、こちらも楽しませていただきました。
まさか、『恋☆カナ』みたいな曲を1度でも自分が歌うことがあるとは思っていなかったんですけどね。一応、本気で“閲覧注意”って入れたほうがいいかな、こんなおっさんが歌ったら、怒られるんだろうなと思ったんだけど、意外なことに好評でした(笑)。
──もともと織田さんの中から生まれたものですもんね。
そうなんですよ。全部、自分が好きで作ってる音楽ですし、出てきたものって、どういうジャンルのどういう音楽であろうとも、自分の中のどこかの部分が楽しくてしょうがないという状態になって作ってるわけですからね。実際にこういう形でやってみて、やっぱり自分の作るものの幅はかなり広いなと再認識しました。
──『オダテツ3分トーキング』では名言もたくさん飛びだしていて、「生きてること自体が大きな音楽」という発言も印象的でした。
音楽だけじゃなく、映画もそうだと思うんですが、始まりがあって、終わりがあってという時間軸の中で展開されるアートって、基本、人生のミニチュア版みたいなところがあって。生きてること自体が音楽みたいなものだと思うし、自分の場合は、生きている中で感じることがすべてが音楽に変換されるシステムになっている。旅行に行く時に、カメラを持っていて、景色から食事まで、すべてを撮影したがる人っているじゃないですか。それと似ていて、自分の場合は、生きている局面、局面を全部音楽に変換するシステムになっているんじゃないかと思います。
──You Tubeで配信しての反響をどう感じていますか?
そんなに爆発的な閲覧回数になっているわけではないですけど、いろんな人がいろんな形で俺の音楽の歴史を愛してくれているんだということを再確認できて、うれしく思ってます。
──8月31日にYouTubeでライブを生配信するとのことですが、どんなものになりそうですか?
言っちゃいましたからね。何をやるんだろう(笑)。具体的にはまだ決まってないんですが、せっかくだから、閲覧している人とやり取りしながらやると、楽しそうですね。そうは言っても、リクエストが来たら、なんでも歌えるというわけではないので、やってみないとわからない。せっかくだから、自分のスタジオにみんなが遊びに来た、みたいな体でやれたらいいかな。