ええ。ずっと僕のライブをサポートしてくれてるキーボードの佐藤達哉さんを中心に皆が参加してくれて、もうリハーサルの時点で「いける!」という手応えがあって。演奏のテクニックはもちろんなんですけど、ロックンロールは体力なんですよ(笑)。HOUND DOGのライブはただ演奏するだけではダメで、一緒に走ったり、アクションもありますから。メンバーも最初は戸惑ってたみたいだけど、いまはいい感じで、みんなで拳を上げてますよ。
ステージに上がってるメンバーは6人で、ファンは7人目のメンバーだと思っていて。みなさんの熱気がないと、ライブは絶対に成立しないですから。ライブに来てくれた友達が「とにかくお客さんがよかった。あんなにすごいお客さんは見たことない」と言ってくれたことがあって、すごく嬉しかったですね。
まず最初の2回は「OUTSTANDING ROCK’N’ROLL SHOW」というタイトルだったんですが、これは“特別に優れたロックンロール・ショー”という意味なんですよ。昔からずっと好きな言葉で、アルバムのタイトルにしようと思ったこともあったんだけど、ディレクターから「わかりづらい」と言われて。もともとHOUND DOGは、英語の歌詞でデモを作ってたんです、実は。デビューするときに「英語だと伝わりづらいから日本語で歌え」と言われたんだけど、いまはTHE BAWDIESにしてもワンオクにしても、英語で歌ってるバンドが売れてるじゃないですか。
そうだよね。で、話を戻すと(笑)、2018年は「It's Showtime ~ One night special」というタイトルでライブをやって。これは僕が好きなJ.ガイルズ・バンドの3作目のライブ・アルバム『Showtime!』から来てるんです。今回の「Let the good times roll」は、ジョニー・ウィンター、エドガー・ウィンターの「TOGETHER」というアルバムに入ってる「Let the Good Times Roll」が由来ですね。ごきげんなシャッフル・ナンバーで、かつて険悪な関係だったジョニーとエドガーが、信じられないほど楽しそうに演奏していて。“この楽しい時間をずっと続けよう”ということですよね。
そうかもしれない。若いときは「楽しい!」ってだけでスコーンと行けたけど、いまは63歳ですから。20代の頃と同じキーで歌って、走り回って、掛け合いもして、体力的にも大変なんですよ。でも、楽しい時間を作りたいし、やっぱりロックンロールが大好きだからやれるんだなと。メンバーが楽しんで演奏してくれてるのも嬉しいんですよ。打ち上げのときなんかに、「大友さんが持ってくるセットリストが楽しみです」と言ってくれるんです。「これだけいろんなタイプの曲を持っているバンドはいない」って。
いろいろなタイプの曲があるとは言え、一方では絶対に外せない曲もあるじゃないですか。「Only Love」や「ff(フォルティシモ)」をやらなかったら、お客さんは満足しないだろうし。僕のステージは、歌舞伎の舞台みたいなところもあると思ってるんです。「ここでバラードが来る」「ここでノリのいいロックンロールをやる」「ここで掛け合いをやる」ってわかっていても、やっぱり盛り上がるっていう。去年とまったく同じメニューであっても、絶対に感動させる自信がありますから。
“世界最高のバンドであり、楽曲である”というのは変わらないです。僕自身がHOUND DOGのファン1号だし、他のバンドの曲を聴いて「いいな」と思うことはあるけど、やっぱり一番はHOUND DOGなので。すべてのミュージシャンが「自分が一番だ」と思ってるでしょうけどね。そうじゃないとやれないよ(笑)。
もちろん。東京と大阪の4公演、この4日間のために生きてるんですよ、僕は。そのために週に3回走って、ボイストレーニングをやって。ドラマ、バラエティの仕事も一生懸命にやってますが、それはやっぱりアウェイですから。あくまでもホームはロックンロール・ショーだし、いいステージをやるためにも、しっかりピークを持ってこないと。
それもありますが、いちばんは自分に対して責任を持つということでしょうね。「こんなに素敵な楽曲があって、素晴らしいメンバーがいるんだから、おまえがしっかり歌わないんでどうするんだ」っていう。自分の声が続く限り、やらなくちゃいけないと思ってるので。あとは初期衝動ですね。僕の好きな日本のバンドはGLIM SPANKY、THE BAWDIES、サンボマスターなんですが、この前、テレビのインタビューで松尾レミさん(GLIM SPANKY)が「ずっと初期衝動でやっている」と言っていて、いい言葉だなと。音楽に限らず、みんなそうだと思うんですよ。ライターの仕事もコンサート・プロモーションの仕事も、最初に「これだ!」という初期衝動でやっているだろうし、音楽と出会った瞬間の「カッコいい!」「やってみたい!」という気持ちはずっとあるので。
1本に絞るのは難しいんですよね。ストーンズ、ツェッペリン、ディープ・パープル、ドゥビー・ブラザーズ。いまや殿堂入りしているようなバンドをオンタイムで体験できたのは幸せですよね。もちろん日本のCAROL、フラワー・トラベリン・バンドもそうだし。
まだそこまで考えていないですね。今年のライブも「これが最後かもしれない」という気持ちで臨んでいるし、その積み重ねだと思うので。最高の39周年がないと、最高の40周年はない。まずは今年のライブをしっかりやらないと、40周年のパスポートはもらえないでしょうね。
僕らがデビューした頃、40代のロックバンドさえ存在してなかったですからね。ストーンズも30代だったし、取材の場で「40代になっても続けたい」なんて言ったら、「おまえ、バカか」と言われる時代だったので。そう考えると、60代でロックンロール・ショーを続けられているのは本当に幸せですね。