webDI:GA LIVE REPORT

TM NETWORK
2012.5.15 up

再始動したTM NETWORK、4年ぶりワンマンでドラマティックなステージを披露

「何、聴きたい?」
「そんなん、いきなり聞かれても言えへんわ」
隣りに座っていた、多分このライブのために東京にやって来たのであろう関西弁の女性2人組が、間もなく開演であることを告げる影アナが終わったところで、そう言ってお互いの“心のTMナンバー”をあげ始め、話はやがてその曲たちの向こうにつながっている学生時代の思い出へと転がっていった。が、過去の記憶への慌ただしいトリップは会場が暗転したところでいきなり終了し、二人はステージに向かって歓声をあげた。その歓声の先では、あたかも未来からワープしてきたかのような演出で、この日の主人公3人が登場。デビューから28年目、ワンマン・ライブとしては2008年の全国ツアー以来、4年ぶりのステージである。
もっとも、演奏が始まってしまえば、4年のインターバルはおろか、この28年間の時の流れさえも無化されて、オーディエンスはTM NETWORKという時間を生きることになった。考えてみれば、彼らの音楽はつねに未来から現在を照らしていたのだし、あるいは宇宙の中の地球という惑星に自分たちが立っている場所を見出していたのだから、4年あるいは28年などという時間の流れも彼らの世界に少しばかり近づいたという程度のことなのだ。TM NETWORKという時間を生きるとは、そういう時間感覚を共有するということだし、実際のところ、この日の3人の姿は4年前はおろか28年前と比べてもほとんど変わっていない。そして、過去は現在と直結し、そのまま未来へと開かれる。
鮮烈な赤の照明と特効を駆使して戦争を連想させるような長いイントロに続いて演奏された「Get Wild」の、♪誰かのために生きられるなら何もこわくない/誰かのために愛せるのならきっと強くなれる♪というメッセージは、この曲が発表されたバブル真っ只中の1987年よりも、東日本大震災を経験した後の2012年のほうがいっそうリアルに響いたはずだし、だからこそイントロで示されたカタストロフの暗示を真剣に憂うべきなんだろうと思わせられる。それでも、すべての演奏が終わった後に温かな思いが身体を包むのは、単にデジタル・ビートに煽られて上気したからではなく、最新曲「I am」で繰り返し歌われる♪I’m human♪というフレーズが象徴する、喜怒哀楽を持った生身であることに対する強い共感がこの日のステージを貫いていたからだろう。そして、それはもちろんこの時代を生きる彼らの実感であるはずだ。「潜伏期」という意味のタイトルが付けられたこの日のステージは、彼らが“潜伏”はしていても、ちゃんとこの時代を呼吸していることを告げるライブだった。
ちなみに、主人公3人は♪I Am 22 nd Century Boy♪と歌う曲を最後に、ステージを後にした。TM NETWORKという時間とは、22世紀的時間であるのかもしれない。

M1.  Fool On The Planet(青く揺れる惑星に立って)
M2. ACTION
M3. 永遠のパスポート
M4. COME ON EVERYBODY
M5. Come On Let’s Dance
M6. Love Train
M7. Kiss You
M8. Girl
M9. NERVOUS
M10. I am
M11. JUST ONE VICTORY(たったひとつの勝利)
M12. BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)
M13. Get Wild
M14. WILD HEAVEN
M15. Be Together
M16. Self Control(方舟に曳かれて)
M17. ELECTRIC PROPHET(電気じかけの予言者)

●Report by 兼田達矢

INFORMATION

■RELEASE
New Single
『I am』
 (avex trax)
●NOW ON SALE

■NEWS
4/25の日本武道館公演をWOWOWで独占放送!

放送日時 : 6/17(日)21:00~
http://www.wowow.co.jp/tm/


■OFFICIAL HOMEPAGE
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