6年ぶりのニューアルバム『THE FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUN』のリリースを控え、さらにライブ活動を活性化させているキングブラザーズが3月14日、下北沢シェルターで自主企画イベント「KILL YOUR IDOL vol.3」を敢行。そこで彼らが見せたのは、最強/最凶のロックバンドとしての凄まじい存在感だった。
まず登場したのは、20年以上のキャリアを持つヒップホップ・アーティスト“ECD”。イリシット・ツボイのロッキン&パンキッシュなDJプレイのなかで「おどろいたな 五十で子持ちだよ/終わったんだって とっくに/終わったんだって思ってた」といった、リアルにしてリリカルなフレーズを撃ちまくる。生ぬるい、どうでもいい、仲良しごっこみたいな(自称)ヒップホップばかりがはびこる日本のシーンにおいて、彼の存在は極めて貴重だと思う。
キングブラザーズも当然、人畜無害の(自称)ロックバンドを完全に駆逐するような、破壊力バツグンのステージを展開。
“ロックの準備はできてますか!?”というKEIZO(V&G)のシャウト、そして、ブルース、パンク、ロックンロールがひとつなったギターリフとともに放たれたオープニングナンバーは新作の1曲目に収録されている「ACTION!!!!」。
「世界が変わらない事なんて知ってる」「だからムチャクチャにしてやるんだ!!」という歌詞がビシビシ突き刺さる。
2007年に加入したSHINNOSUKE(B)、TAICHI(Dr)も爆発力のあるビートを繰り出し、オーディエンスを激しく揺らしている。もちろん、すべての感情を解放するスクリーム(叫び)、ノイジーかつブルージーなギターを響かせまくるMARYA (G&Screaming)の存在感も最高。
また、「ただ悲しむための涙はいらない」という歌詞が胸に響く「ロマンチスト」など、繊細な表現力をたたえたナンバーも印象的だった。
ラスト2曲はドラムセットをフロアに持ち込み、観客に囲まれた状態で演奏。オーディエンスに持ち上げられ、ワケのわからない叫びを繰り返すMARYA、“わかる!?これがロックやで!”と叫び、クールかつダイナミックなロックを体現し続けるKEIZO。
怒りと葛藤とイライラをまっすぐにぶつけながら、思わず身体が動いてしまう快楽的なグルーヴとともに、どこまでもテンションを上げていくキングブラザーズ。
彼らはいま、バンド結成以来、最高の状態にある――このライブを体験すれば、誰でもそう思うだろう。6月6日には渋谷CLUB QUATTROでのワンマンライブも決定。「本物のロック?そんなもんあるの?」なんて思ってる人にこそ、見てほしい。人生変わるよ、ホントに。