webDI:GA LIVE REPORT


2008.10.7 up

2008年9月13日、日比谷野音。
“TOUR ザ・グッバイ”と名付けられたツアータイトルにふさわしく、チェッカーズ「I love you, SAYONARA」やビートルズ「Hello, Goodbye」といったベタすぎる選曲のBGMが流れるなか、会場は偉大なるファンクバンドの最後を見届けようというオーディエンスでふくれあがっている。

各楽器の背後に設置されたパネルが裏返り、一人一人メンバーが登場。

そして一曲目、旧メンバーである MEG をコーラスに迎えての「犬にくわえさせろ」を手始めにした野音のステージは、結成から14年に及ぶ彼らのヒストリーを凝縮したステージであり、彼らがシーンにあたえたものが余すところなく収められていた。

この日は RHYMESTER の宇多丸と Mummy-D が乱入。
「ウワサの伴奏」で話題を呼んだコラボが再現されたり、彼らが長年続けてきた自主イベント“ファンキー大百科”さながらの豪華なゲストも参加。いろんな瞬間に、彼らが音楽をエンジョイし続けた心意気がシンクロした。

中盤、ゲスト・パーカッションの田中慶一を迎えての「YO!兄弟」の骨太なループ感もすばらしかったし、その後のミッド~スローの楽曲の並びもまた彼らの魅力を強く伝えていた。

「外出中」の〈また逢える時までは忘れてしまおう/また逢える時それは忘れてしまったころ〉というリリックがしみわたり、「コード」ではステージ上や会場でミラーボールが回り、深い余韻が響き渡り、「5秒前の午後」の刹那的かつドラマティックな世界が続く。

“うるおしたいのか?”という池田のMCに続いてはもちろん「FUNKYウーロン茶」。ファンカデリックのごとき宇宙的なファンク観に、クールなベースのトモヒロもピースマークを掲げる。

怒濤のファンク攻勢は続き、「コミュニケーション・ブレイクダンス」そして「五十音」では永積が金のしゃちほこ(?)をかぶってプレイ。
「マッケンLO」でだめ押しとも言える、でたらめなまでのファンクネスを見せつける。

本編ラスト、「セ・ツ・ナ」の際に、永積は“バタードッグは次の一言に尽きたよ──〈「足りねー!!」つって放つメッセージ無くねー?〉……ぜんぜんねーよ!”と叫んだけれど、そんなことを言い切って終わるバンドが今まであっただろうか。

コミュニケーションやメッセージの無意味さを自覚したうえで、それでも伝えずにいられない。それこそSUPER BUTTER DOGの音楽性の根幹にある精神であったとあらためて感じた。

2時間以上に及ぶあっという間の本編の後、アンコールには初期メンバーであるサックスの栗原健 from CENTRAL、そして MEG も再び登場し、「終電まぎわのバンヂージャンプ」。
初期メンバーによるこのプレイは、あらためてこのバンドのグルーヴ感がいかに斬新だったかを証明する。

SUPER BUTTER DOG
"TOUR ザ・グッバイ"
9/13(sat)@日比谷野外大音楽堂

 1. 犬にくわえさせろ
 2. 真夜中のスーパー・フリーク
 3. ゆっくりまわっていくようだ
 4. FUNKY労働者
 5. Yo!兄弟
 6. O.K
 7. 日々GO GO
 8. this y'all that y'all
 9. 外出中
10. コード
11. 5秒前の午後
12. FUNKYウーロン茶
13. コミュニケーション・ブレイクダンス
14. 五十音
15. マッケンLO
16. セ・ツ・ナ
[ EN1 ]
17. メロディーの毛布にくるまって
18. 終電まぎわのバンヂージャンプ
19. かけひきのジャッヂメント
[ EN2 ]
20. ヒマワリ
21. まわれダイヤル
22. エ!?スネ毛
[ EN3 ]
23. サヨナラCOLOR
24. あいのわ
会場に入れず外で聴いて大歓声を送るファンにも感謝を述べたあと、そして……遂にこの時がきてしまった、という思いとともに、永遠に語り継がれるクラシック「サヨナラCOLOR」。この歌がこれほどふさわしい時はない。フロアからも“ありがとう!”という声援が飛び交う。

本編中なんども“解散感ない”とくり返し、“解散するんだけれど、続いていくんだな”と言った後に“……な、なんちゃって”と加えてしまうところにも、彼らのきどらないパーソナリティと音楽性が象徴されていた。

それでも最後の最後には“このメンバーと、みんなと逢えてよかった”と語りながら永積が感極まる場面も。

そしてステージ上では、6人目のメンバーであるマネージャーへ111本(ワンワンワン)のバラが贈呈され、メンバーが一礼すると、野音のステージ上から「FUNK YOU VERY MUCH!」の垂れ幕が降りる。

アンコール最後は“踊りまくって”、という彼らの思いが込められた「あいのわ」。ダンスし続けること、騒ぎ続けること。そこからまた何かが始まるのだ。

ほんとうにその引き際に至るまで、彼らは〈犬〉らしい流儀を貫いたのだった。

●Report By 駒井憲嗣  ●Photo By 橋本塁


SUPER BUTTER DOG
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