LIVE REPORT
伊藤 蘭、アンコールツアーが開幕。「春一番」「やさしい悪魔」「暑中お見舞い申し上げます」「微笑がえし」「哀愁のシンフォニー」とキャンディーズの色褪せない名曲がズラリ。ファン大感涙の奇跡の一夜。
伊藤 蘭のコンサートツアー「伊藤 蘭コンサート・ツアー2020 〜My Bouquet & My Dear Candies!〜」が2月15日(土)、東京・新宿文化センターで幕を開けた。
2019年5月にソロデビューアルバム「My Bouquet」をリリースし、キャンディーズ解散以来、41年ぶりに音楽活動を再開した伊藤 蘭。昨年の『伊藤 蘭 ファースト・ソロ・コンサート2019』に続く今回のコンサートで彼女は、アルバム「My Bouquet」の楽曲、そして、キャンディーズ時代のナンバーもたっぷり披露し、ソールドアウトとなった会場を心地よい熱気で包み込んだ。
ピンクの衣装に身を包んだ伊藤蘭が登場した瞬間、ステージは一足早い春の雰囲気に包まれる。オープニングはアルバム「My Bouquet」から「Wink Wink」。軽やかな歌声がゆったりと広がり、客席からは「ランちゃ〜ん!」という声援が送られる。
「昨年に続き2度目のコンサートツアーが始まりました。皆さんに最高の時間を過ごしていただけるように、一生懸命、歌います」という挨拶の後も、ソロアルバムの楽曲が続く。軽やかなボサノバのサウンドと“ひとりの時間の大切さ”をテーマにした歌詞が溶け合う「ミモザのときめき」、シックなストリングスがナチュラルな歌声を際立たせる「恋とカフェインとスイーツと猫舌」。事前のインタビューで「何度も聴きたくなるようなメロディの楽曲を選ばせてもらったのですが、自分でもいいなと思える曲ばかりです」と語っていた「My Bouquet」の世界を丁寧に描き出した。
純白のドレスに着替えた後は、「時間を巻き戻して、若き日に作詞した曲を」という言葉とともにキャンディーズ時代の楽曲「恋がひとつ」「アンティック・ドール」を披露。どちらも彼女自身が作詞を手がけた(「アンティック・ドール」は作曲も担当)、知る人ぞ知る名曲。会場を埋め尽くした観客も感慨深そうに聴き入っていた。
バンド演奏による「SUPER CANDIES」が始まった瞬間、観客が立ち上がり、大歓声が沸き上がる。モノトーンのコートに着替えた伊藤 蘭が登場、「危い土曜日」を皮切りに、「その気にさせないで」「ハートのエースが出てこない」「哀愁のシンフォニー」とキャンディーズのヒット曲が次々と放たれる。“ランちゃん”コールもさらに大きくなり、サビでは大合唱が生まれるなど、会場の熱気は最高潮。当時の振り付けを再現したステージング、ブランクをまったく感じさせない瑞々しいボーカルも本当に素晴らしい。「懐かしい曲ばかりですが、皆さんと一緒に歌っていると全然古い歌に感じないですね」と笑顔で語る彼女も、キャンディーズ・ナンバーを全身で楽しんでいるようだった。
吉田拓郎の作曲による「やさしい悪魔」からライブは後半へ。「年下の男の子」「暑中お見舞い申し上げます」「春一番」とキャンディーズを代表する楽曲が続き、ライブの盛り上がりはピークに達した。
「あの頃は若さゆえの葛藤や悩みがあったと思いますが、いまは楽しく、幸せな思い出ばかりです。ここに集まってくださった皆さん、そして、スーさん(田中好子)、ミキさん(藤村美樹)に感謝を伝えたいです」
心のこもったMCとともに歌われたのは、キャンディーズのラストシングル「微笑がえし」。42年ぶりにステージで披露された名曲が響き渡り、客席は大きな感動で包まれた。
アンコールでは、アルバム「My Bouquet」から「秘密」「女なら」を披露。さらに「今日は本当にありがとうございました。私も本当に楽しかったです。最後に、私も大好きな、もちろん皆さんも大好きなスーちゃんが作った曲を歌います」と「Please Come Again」をしっかりと歌い上げ、ライブはエンディングを迎えた。
コンサートツアー「伊藤 蘭コンサート・ツアー2020 〜My Bouquet & My Dear Candies!〜」はこの後、大阪、名古屋、広島、福岡、香川、札幌、仙台で開催。4月16日(木)のファイナル、東京・LINE CUBE SHIBUYA公演まで続く。アルバム「My Bouquet」とキャンディーズの名曲による、2020年と1970年代をタイムトラベルするような貴重なステージをぜひ体験してほしいと思う。
取材:森朋之 / 撮影:吉原朱美