ミュージック&キャンプイベント『PEANUTS CAMP』を兵庫慎司がキャンプインして総括レポート!“Let’s Chill”をテーマにしたピーキャンの魅力を探る!!!

ライブレポート | 2017.08.29 12:00

PEANUTS CAMP便利

PEANUTS CAMP

高速に乗れば東京都心からクルマで1時間半、という地の利は、やはり圧倒的にラクであることを、行ってみて思い知った。普段、富士の裾野に向かって4時間も5時間もクルマを走らせたり、中部地方のキャンプ場を目指してツアーバスに長時間揺られたりすることに慣れている身からすると、嘘みたいな近さだった。
でも、そもそもキャンプ場というのは山の中にあるのがあたりまえであって、千葉県市原市の郊外の一帯が突然森になっていてその中にいきなりあるこのフェスの会場、一番星★ヴィレッジが特殊なのだと思う。
クルマで会場から出てちょっと走ったら、すぐ普通にスーパーとかファミレスとかある街道に出るし、10キロちょっと行くと蘇我に着くし。
あと──これは僕の家の場所によるところもあるが──「帰りに高速が混まない」というのも、本当に大きい。東京から西方向とか北西方向のフェスに……いや、フェスじゃなくても、東名も中央道も関越も、日曜夜に東京方面へ帰ろうとすると、渋滞にはまる確率が極めて高いのは、経験者はご存知だと思う。
逆に、千葉方面から東京へ帰ってくるのは、全然混まないのです。最後までフェスを堪能し、くたびれた身体で運転する身としては、大変にありがたかった。夜遅くに幕張メッセから帰った時くらい覚えがない、こんなに帰路がラクだったの。

PEANUTS CAMP音楽以外の催し、活用されまくり。

子供が遊べるツールが多くて豊か、というのは他のフェスにも共通することかもしれないが、それらが「めっちゃ活用されている」という点において『PEANUTS CAMP』は突出している印象だった。
まず、出演アーティストが子供たちにフリスビーやボンビングを教えている、ということ自体、ほかのフェスではありえないが、それを省いても、常にみんななんかしらして遊んでいる。ちょっと目を離してる隙に子供がいなくなってしまう、というほど広い会場ではないのも、功を奏している様子。

PEANUTS CAMP

PEANUTS CAMP

それから、今年この一番星★ヴィレッジの村長が希望して、カジヒデキが曲を作り、事前にスタッフが振付も考案した「ピーキャン音頭」。
1日目のトリ前、19時から盆踊りタイム。やぐらの上に村長とかせきさいだぁとDJみそしるとMCごはんが上がり(カジくんがいなかったのはbridgeの本番直前だったからだと思います)、振付を教えて、2回みんなで練習して、3回目に本番やっておしまい──。
というこの時間、正直、どれくらい人集まるんだろう、多くの人にとって初めて聴く曲で、いきなり踊れって言われてもなあ……ってとこあるよなきっと、人は集まるけどみんな傍観、みたいなことにならないかなあ……と心配していたのだが。

PEANUTS CAMP

びっくりするくらいいっぱい集まって、びっくりするくらいいっぱい踊っていた。ギャラリーごくわずか、ほぼみんな踊る側。普通盆踊りって、やぐらのまわりをぐるりと一周囲んで踊るもんだけど、もう二重三重で「みんな踊りながらぞろぞろ行進」みたいなことになっていた。
ああ、これ、いいフェスなんだな、ということが、スッとわかった瞬間でした。

PEANUTS CAMPこぢんまりしているとライブを観る。

これ、とりわけ個人的な感想です。
というのもですね。スマッシュが毎年10月に富士山麓の朝霧アリーナ・ふもとっぱらでやっている『朝霧JAM』に顕著なのだが……いや、顕著というよりも、自分がそのフェスのリピーターなので身にしみていることなのだが、キャンプが楽しいと、テントの前で酒飲んでいるのが心地いいと、ライブ、観なくなっちゃうのです。
『朝霧JAM』、メイン・ステージの後方のテントエリアは、火を起こすの禁止。火を起こしたい人はサブ・ステージに近いエリアに張るルール。当然僕は毎年そっちに張る。
そうするとメイン・ステージまではかなり距離があって、サブまでもそこそこ距離あるのですね。で、飲んでいて、「あ、そろそろ××の出る時間だ、行かなきゃ……ああ、まあ、いいやあ」みたいなダメーなことに、ついついなりがちなのです。
単に「広い」「遠い」のが理由なだけですが。というか、「広い」「遠い」は、むしろ『朝霧JAM』の売りなのですが。
という点でいうと、『PEANUTS CAMP』は、2ステージかぶりなしで、ステージにへばりついてなくても、会場のどこかにいれば音はきこえてくるくらいのキャパ。ステージ同士が近いし、テントエリアもそのすぐそばなので「あ、始まった」って歩けば、1分もしないうちにステージが視界に入ってくる。
なので、目当てのアーティストはもちろんがっちり観るし、そうでないアーティストでもとりあえず行ってちょっと観てみる、というふうにフットワークが軽くなる。
時には、観てみておもしろくなかったら戻ればいいやぐらいのつもりだったりするんだけど、観始めるとおもしろくて最後まで観通したりすることになったりもする。
2日目の後半くらいで「あ、俺、いつもより全然いっぱい観てるわ」と気がついた。で、なぜなのかを考えたら、今ここに書いたような理由に行き着いたのでした。

PEANUTS CAMP

もちろん、ちょっとこぢんまりしすぎかも、とか(3日いたらたぶん飽きると思う)、もうひとつくらいステージあればいいのにとか、夜中までやればいいのにとか(近隣の問題で無理なのだと推測します)、そういうようなさらなる希望も、なくはない。
なくはないが、この規模で、このオペレーションでやっているから、トイレも飲食もほぼ並ばなくていい、近隣の道路や会場に出入りする道の渋滞もない、会場内の移動が人でぎゅうぎゅうになることもない、限りなくノーストレスに近いフェスが実現できているんだと思うので、そこは痛し痒しというか、絶妙なラインの上に成り立っているんだろうなあ、とも思う。
ただ、このフェス、もし来年も開催されたら、間違いなく、さらに、目に見えてお客さん、増えると思う。今のところ、もうちょっと増えても「Let’s Chill」が可能なキャパシティだとお見受けしたが、数年後にそれが臨界点を迎えた時にどうするか、興味があります。見守っていきたい。

とりあえず、会場のランドマーク的な大きな木の前に「ピータのステージ」が建てられていて、そこでいい音楽が鳴っている、という画、現実離れしていて素敵でした。何か、とても象徴的だった。
それから、カジくん、ボンビングを教えたり自分の出番が近かったりする時間以外は、ほんとにほぼすべてのアクトを観ていた。ソデからとかじゃなくて、お客さんに混じって。

PEANUTS CAMP

PEANUTS CAMP

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