amiinA×TOKYO FM presents 「Arch Delta Tour」Moirai
2017年6月9日(金)新宿ReNY
共演:the band apart / sora tob sakana
Text:永堀アツオ
Photo:玉井美代子
3ヶ月連続で開催されているamiinAが主催する音楽イベント『Arch Delta Tour』。5月7日(日)には渋谷WWW Xで第1回目となる「ケルベロス編」が開催され、BiSとGOING UNDER GROUNDが出演。フロアは観客による大合唱が鳴り響き、知らない曲でも一緒に歌えるメロディの力を感じさせるイベントとなっていた。一方、6月9日(金)に新宿ReNYで開催された第2回目「モイライ編」は、ひと言で言えば、聴き手の心も体も躍らせる複雑で多様なリズムの気持ち良さを感じる1日だった。
最初に登場したのは平均年齢15歳、amiinAと同年代の4人組ガールズユニット、sora tob sakana。 彼女たちのステージは、少女の一瞬の煌めきを切り取った映画『櫻の園』や大林宣彦監督の尾道三部作のような叙情とストーリー性を感じずにはいられない。ステージ中央で円になり、4人が手を合わせて、「sora tob sakana、はじめます」という語りから始まる物語。手を離した瞬間に、彼女たちは集団から個のリズムを弾き出す。神﨑風花、山崎愛、風間玲マライカ、寺口夏花と歌い継いでいく「ribbon」では、1+1+1+1=4になることを見せ、続く「タイムマシンにさよなら」では二人ずつのペアで2+2=4になり、一人が人形となる「Summer Plan」で1+3=4から、ラインダンスで肩を組み、再び集団となる。フォーメーションダンスもあるのだが、変拍子の楽曲に合わせて、それぞれが自分のリズムで自在に体を動かしながら、やがて1つの流れを作っていく様が心地いい。海や宇宙を想像させる楽曲から、歌詞を一言ずつ区切って歌うことで新たなビートを生み出す「広告の街」を経て、やがて景色は都会のナイトミュージックへと移り、マライカの「2015年の12月19日にバンアパさん、めっちゃカッコいいってツイートしたんです。今日、3マンができて奇跡だと思ってます。ピルグリムという曲で知ったんです」というMCでバトンはバンアパへと引き継がれた。
バンアパのステージは、イントロで歓声が上がったオープニングナンバー「Eric.W」から観客はバウンスし、ジャンプし、ダンスしていた。フレンチエレクトロの要素も感じる「higher」やロックンロールナンバー「Snowscape」でフロアは常に踊りっぱなしでフェスのような様相となっていた。ヴォーカル&ギターの荒井岳史は「彼女たちが頑張ってるのを観て、頑張ろうと思いました」と語り、ベースの原昌和も「どうしてあんなに素敵なんでしょうね。だから、みんなはさ、元気づけられるでしょ」と観客に語りかけ、「おじさんたちだって女の子に負けないくらい頑張ってるんだよ」としゃがれ声でシャウトし、大きな歓声と拍手を浴びた。7月19日にリリースされる最新アルバムからディスコ/ブギー感のある「Find a Way」やウエストコーストロック「KIDS」、ラテンのビートから80年代のブラック・コンテンポラリーを経て、メタルへと移り変わっていく「led」やボサノヴァからロックになる「fool proof」、夏の風を感じる「ピルグリム」やAOR/シティポップ風味の「夜の向こうへ」などなど。1曲単位でも様々なビートに変化し、それぞれのプレイヤーが全く別のフレーズを弾きながらも全ての音が有機的に絡み合うサウンド。たとえ、彼らの曲を知らないとしても、そのバンドのグルーブだけで聴き手を踊らせることができる。来年20周年を迎える彼らのバンドの底力を感じるライブだった。
バンアパのステージで踊り、ジャンプし続けた余韻だろうか。amiinAのライブも観客はいつになく激しく、まるでスカコアやパンクバンドのライブのような熱狂をみせると同時に、彼女たちのパフォーマンスからは野外ステージが似合うような広がりも感じた。 特に、バックライトで顔の表情が見えない中、バラードのようなスロウテンポから入る「Atlas」。
<♪光の中>というフレーズから爆音が鳴り響き、二人の動きも大きくなっていく。満面の笑顔で歌う彼女たちはそのまま羽を広げて大空へと飛んでいってしまいそうな跳躍をみせ、後半のロングトーンと重なる観客によるコーラスではスタジアムロックのようなスケールも感じられた。
また、彼女たちは楽曲のビートとは別に、キックやターンで観客の体感リズムを自由に上げ下げする表現力も持っている。美しいハーモニーを響かせた「Callin’」や躍動する「Avalon」では彼女たちが回転するたびに、高揚感が増していく感覚があった。ライブが終盤に向かうにつれて、miyuがさらに観客を駆り立てた。「signal」のパフォーマンス中もモニターに乗って、「もっと声出せー!」と叫び、「もっと来いよ!まだまだ足りないよ!!」と煽った。
amiもMCで「まだまだ終わりじゃないよ。みんな、体力残ってるでしょ」と語りかけ、全てのエネルギーを放つかのようなバラード「illumina」を経て、ファットなベースが効いた「Canvas」「キーメーカー」でフロアが1つとなり、全員が右手を高々と掲げながらジャンプし、大声で歌い、熱狂の渦が巻きこる中で、フィジカルに感じるリアルさを提示し、無条件に体を揺さぶるイベントは締めくくられた。
7月17日(月・祝)に新宿BLAZEで開催される第3回目の出演者には、Maison book girl、アイドルネッサンスが決定している。
amiinA×TOKYO FM presents 「Arch Delta Tour」
6月9日(金)新宿ReNY ~amiinA・SET LIST~
01.Valkyrie
02.atom
03.Atlas
04.Legacy
05.lilla
06.Drop
07.◯△□
08.Callin’
09.Avalon
10.signal
11.illumina
12.Canvas
13.キーメーカー
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