doa約1年ぶりの新作『FREEDOM×FREEDOM』は、様々なタイプのサウンドに持ち前のハーモニー・ワークを印象的にフィーチャーした、彼らならではと思わせる12曲が並ぶ。テーマはずばり、「大人の自由」だ。“大人の”と付いているのがポイント。それは単に気ままに生きることを求めるものでは ないと彼らは言う。
「本当に何かを自由にやろうと思ったら、それこそ仕事とかやることはちゃんとこなさなくちゃいけないじゃないですか。それに、肝心な“一緒に過ごしたい人”との自由な時間も合わせなきゃいけないし。逆に自由な時間ができたところで、“あれ?何しよう?”みたいになっちゃうこともある。自由っていうのは楽しいだけじゃなくて厳しい部分も含んでいると思う。『いろいろちゃんとしてなきゃ自由になれない。だから無意識に頑張る』みたいな心得でしょうかね。まあそんな問いかけというか」
(徳永暁人/Vo&Ba)
むしろ、相手の自由と自分のそれとを掛け合わせることが大事なのだ。
「例えば忘年会(笑)。年末はみんなの予定が合わなかったなぁ。結局できずじまいで新年を迎えましたよ。あと、いつも『バーベキューやろう!』っていうのにできない(笑)。こういうのって家族間でもそうなんじゃないでしょうか?まあ、そういうレジャー的なものじゃなくても、例えば僕らみたいなミュージシャンはセッションするときに『じゃ、自由に弾いてみてください』とよく言うんですよ。ミュージシャンは譜面を見て自分なりの解釈で弾かなくちゃいけないんだけど、それこそ本当に自由にみんなが弾き始めたらヒッチャカメッチャカになる。相手のことや全体を思いやっていないと成り立たない自由。あとは仕事でも『自由に好きなものを作ってください』なんて言われても、何作っていいかわからなくなる。それが『〇〇さんのために自由に好きなものを作ってください』と言われるとできたりすると思うんです。それも結局は相手に対する思いやりってことじゃないかな」
(徳永)
この新作は、彼らにとって10枚目のオリジナル・アルバムだが、そのキャリアの積み重ねについての感想を聞くと、ちょっと違う感触なのだと説明してくれた。
「キャリアって言われるとむず痒いくらいあんまり気にしたことがないです。他のバンドはどうか知らないけど、いい意味で積み上げている感はないんです。積み木じゃなくて、サンタクロースの袋みたいにどんどん詰め込んで膨らんでいるみたいな。それを年に一回配っているような」
(徳永)
そういうアルバムを携え、2月7日の福岡から全国ツアーがスタートする。
「とにかく3人が歌います。サポートメンバーも歌うので6人で歌います。歌うロックの世界、みんなで歌うということの力、声の力。それをずっと信じてやってきているので、ぜひ生で感じてもらいたいです。そして来てくれるお客さんにも声が枯れるくらい歌って欲しいですね。もうその時は自由に」
(徳永)
インタビュー/兼田達矢