Reolが壊したい虚構や虚像とは何なのか。6月に開催されるワンマンライブ「刮目相待」を控える彼女に、作品やライブへの思いを聞いた。

インタビュー | 2018.05.02 18:00

REOLからReolへ。2017年10月に開催されたラストライブ「終楽章」をもって、3人組ユニット"REOL"を解散。ソロアーティスト"Reol"としての活動を始めた彼女は、「虚像を壊したい」という思いを込めた先行配信シングル「平面鏡」を収録した1st ミニアルバムに、『虚構集』という冠をつけた。元々は匿名性の高いインターネット上の"歌い手"として脚光を浴び、ユニット結成前に"れをる"名義でのソロアルバム『極彩色』をリリースしている彼女が壊したい虚構や虚像とは何なのか。6月に開催されるワンマンライブ「刮目相待」を控える彼女にその意図を聞いた。
──3月14日に1stミニアルバム「虚構集」がリリースされました。
パッケージのリリース自体が1年ちょっと間が空いたので、店頭に並んでるのが久々の感覚で。初心を思い出したじゃないですけど、初めてCDが全国流通して嬉しかったときの気持ちが戻ってきた感じがあって。いまは頑張ろうっていう前向きな気持ちになっています。
──実際に世に出してみて、ご自身で何か発見はありましたか?
今までのファンは変わらずについてきてくれつつ、ユニットの時にはめぐり合ってなかった人たちが聴いてくれてるなって言う感触がありますね。発売日付近にTwitterで#虚構集で検索したら、見たことのないアイコンの人がツイートしてくれたりしてて。ああ、新たな層に届いたんだなって。
──聴き手の層を広げていきたいって言う意識はあった?
そうですね。今までももちろん、外に広げていきたいと言う意識はすごくあったんですけど、そこに関してはなかなか自分たちの働きかけでは難しい部分もあって。今いるファンはそのまま連れていきたいという意欲もありつつ、今回は J-ROCKやポップスを聴いている層にも聴いて欲しいっていう思いもありました。

ユニットのヴォーカリストであろうとした自分を一度葬いたかった

──ミニアルバムの中でその思いが反映された楽曲というと?
表題曲『エンド』と『あ可よろし』はわかりやすい作りになってるかな、『平面鏡』は自分の攻めた部分を凝縮した感じです。
──「エンド」と「あ可よろし」は2曲ともクラムボンのミトさんに編曲をお願いした楽曲になってますね。ミトさんに求めたものって何だったんでしょう。
まず、私がユニット時代と同じことをやってもしょうがないと思って。編曲にギガ以外も迎え入れて、差別化も測りたいなと思った時に、音源制作の担当のディレクターさんにミトさんが編曲した大森靖子さんの『TOKYO BLACK HOLE』が好きだっていう話をして。『僕も1回、仕事してみたいんだよね』って言うことで、当たってもらったら、快諾していただいて。ギガ(「平面鏡」「カルト」)と瀬恒啓さん(「ミッシング」)はネットシーンで知り合った二人なので、聴く層が据え置きになってしまうかな、と。J-POPシーンでずっとやってきてらっしゃるミトさんには入りやすさみたいなのをお借りしたかったところが大きいですね。
──ストリングスをフィーチャーしたロックナンバーになってますが、1曲目のタイトルを「エンド」にしたのはどうしてですか?
終わりから始めるみたいな表現をされることが多いんですけど、逆というか、私としては、1回、『エンド』で終わらす、みたいな意味合いが強くて。私は最後まで解散を反対していたので、ユニットとして上を目指していた気持ちに、自分自身で落とし所が欲しかったんですね。『エンド』で終わらせて、次の作品が、ソロとしての一歩目かなっていう感じなので、『エンド』は一歩目ではないんですよ。
──終わりの始まりじゃなく、まだ終わってる最中っていうことですよね。終わりそのもので、まだ始まってるわけではないという。
そうですね。終止符みたいな感じの意味合いが強いです。
──電話のコール音が入ってますよね。MVでも公衆電話をかけてるシーンがありました。
私がミトさんにお渡ししたデモの段階から電話の音を入れてました。電話をかけてるけど、繋がらないっていう感じが、訴えが届かない自分の気持ちとすごくリンクして。だから、受話器を取る音もしてないし、最後も通話不可の音で終わってしまうっていう。行き場のない気持ちを表現してます。
──アルバムのタイトル『虚構集』とのつながりで言うと、<気丈な演技を磨きます>というフレーズが気になったんですが。
要は、大丈夫じゃないけど、大丈夫だよって言ってるってことですよね。実際、そうだし。私はユニットとして世の中に名を馳せていく自分を想像していたから。別に一人で有名になりたいと思っていたら、そもそもユニットでやりたいと思ってなかったわけで。10月に解散ライブを終えて、これを作った時はまだ12月とかだったので、1ヶ月半くらいしか経ってない。だから、ぜんぜん大丈夫じゃなかったんです(笑)

──そんなにすぐに切り替えられないですよね。
そうですね。特にその時はファンにも、まだ今後、活動を続けていくとも伝えられてなかったので。去年の5月くらいから解散に至る協議を重ねてたので、2017年の1年間は全然人と会ってなくて。友達に会っても『今、何作ってるの?』って聞かれるから、全然会えなくて。だから、気持ち的には全然大丈夫じゃないんだけど、まだなにも成し遂げてないのに、終われないなと思ってて。だから、自分自身へのマインドコントロールじゃないですけど、こういう言葉を口に出して歌うことで、自分を奮い立たせるというか、こう言ってしまったからにはやり遂げなければっていう覚悟を歌ってる曲ですね。
──MVをご自身のお葬式にしたのはどうしてですか?
私がMVの葬式で葬いたかったのは、ユニットとしてのREOLですね。ユニットのヴォーカリストであろうとした自分を一度葬いたかったっていうのがあって。ファンからしても気持ちの落とし所がないだろうなと思っていたので、真摯に向き合いたかったのと、いつも通り、エグい映像作品を残してやりたいっていう思いがあって、ああいう題材になりました(笑)
──ユニットとしてのREOLを葬り去る一方で、メンバーの一人だったギガさんを編曲に迎えたのはどうしてですか?
彼も辞めたくなかった側だったから。ユニットの時と立ち位置は変わるけど、身近にいて切磋琢磨できる間柄は、変化させないでいきたいなっていうのがあって。単純に元気もなかったんですよね。創作のいいところは、たとえ落ち込んでても、曲を作って、自分たちすごいじゃんっていう気持ちにまた戻れる部分があるっていうこと。だから、お願いをしましたね。音はもちろん、4〜5年前に見つけたときから私が惚れ込んでるので。
──「平面鏡」にはガラスを割る音が入ってます。
これは最初はなかったんですけど、アレンジをブラッシュアップしていくときに入れてもらってますね。やっぱ、もうツーカーの仲なので、こういう音が欲しいなって思ってたら、入れてくれていたりします。この曲は、解散とかはあんまり関係なく、フラットな気持ちで書いたので、とっちらかってるんですよ。何か一貫したテーマがあるというよりは、ここ2年くらいずっと、東京と自分の対比っていう視点に立つことが多くて。東京に住み始めて5年くらいになるから、自分が東京の人間になってきたなっていう感覚があるんだと思うんですけど、『平面鏡』はまさにそんな感じで。地元や田舎にはない雑多な感じ。いろんな人の思惑がごちゃごちゃっとあることへのストレス発散みたいな感じの曲ですね。
──<真実よりも確かな虚像>というフレーズがありますね。
このアルバムの中で一番最初にできた曲なので、タイトルを『虚構集』という名前にしようって決めてから入れたんですね。何が本当かなんて、人によって違ってくるっていうことかな。

公演情報

DISK GARAGE公演

ライヴ『刮目相待』

「刮目相待 -六の宴-」
2018年6月1日(金) 東京:EX THEATER ROPPONGI

「刮目相待 -八の宴-」
2018年6月8日(金) 大阪:Namba Hatch

チケット一般発売日:2018年5月5日(土・祝)

RELEASE

「虚構集」

MINI ALBUM

「虚構集」

(CONNECTONE)
NOW ON SALE
初回限定盤(CD+ブックレット)、通常盤(CD)
※画像は通常盤
  • 永堀アツオ

    TEXT

    永堀アツオ

  • PHOTO

    横井明彦

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