トレードマークは“つのみみ”と呼ばれる暁(Vo)のヘアスタイル。始動時からスターダムを駆け上がり、最近の若手ヴィジュアル系バンドのなかでは最速で渋谷公会堂ワンマンを達成するなど話題性、注目度満点のアルルカン。そんな彼らが、勢いだけではなく本気でヴィジュアルシーンを牽引するスターになるべく個々を見つめ直し、突入したバンド結成3年目にその決意を感じさせる新曲「PARANOIA」を3月2日に発売。これまでのアルルカンは単なる片鱗でしかなかった。名実ともに揃ったいまの彼らを、ぜひツアーで見て欲しい。
──クイズです。ここに“アルルカン”という缶詰があったとします。蓋を開けると、さて中からどんなものが出てくるでしょうか?
奈緒(Gt.) 切なさと激しさがバラバラではなく、同時に出てきます。
暁 人間臭い匂いがします。当り障りのない綺麗な食べ物が出てくる訳ではなく、ちょっと匂いのキツい物が入ってる気がします。
來堵(Gt.) 感情っスね。様々な強い感情。
堕門(Dr.) 熱が出てくると思います。それぞれが思う音楽へのパッションが詰まってます。
祥平(Ba.) いろんな色。ライブごとにいろんな色が出せる。そんなバンドだと思うので。
──そんなアルルカンは始動1年で渋公ワンマンまで駆け上がり、話題を集めました。
奈緒 僕らは渋公ワンマンまでの間に中身が変わってきたんですよ。それまでは調子に乗ってて、要はバンドの勢いあるイメージに、自分たちの中身がともなってなかった。
來堵 それで2年目からは外からの見え方にともなうような中身を作って行く為に必死でした。各々が自分と向き合って。
奈緒 そして、再びアルルカンのコンセプトである切なさと激しさを突き詰め、3年目のスタートとして作ったのが『PARANOIA』。
──切なさと激しさに加え、今作はクラシック、キャッチーな歌謡曲的要素まで全盛り!!
墮門 だから、新しい化学反応が起きていて。
祥平 カッコいいバンドサウンドになった。
──“人生はどこまでいっても地獄”で、本作でも“息苦しいのはどこにいても同じだろ”と歌う暁さん流こじらせ男子の叫びは?
暁 去年よりもこじらせ具合はマシになっていると思います。多分。自分がいいたことをいうのが第一なんですけど、それを分かりやすく噛み砕いて、今作はいかに自分が思ってることを伝えられるかに挑戦した第一弾です。
──バンドの意識変化とともに原点回帰した新曲を携え、アルルカンは現在全国ツアー中。
暁 2年前のツアー名が含まれているのは、その頃の気持ちを持って、今の力で挑もうという意味。そこに“片鱗”と加えたのは、ライブを観た人に後から“あれは片鱗でしかなかった”といわれるぐらい成長して、それを“決別”とつけた赤坂BLITZで証明したい。
奈緒 自分の曲は“絶対に響く”と昔から自信があるので、ヴィジュアル系を知らない世代、一般層の方々にも“ヴィジュアル系っていいね”って言ってもらえる曲を今と同じやりかたで届けたいです。
暁 自分たちが上を目指す事でそれが結果的に少しでもヴィジュアルシーンに還元できたら嬉しいです。これ以上先輩の財産を食いつぶすのは終わりにしないと…。
インタビュー/東條祥恵