ツアーのたびに成長と進化、そして経験値を活かしての新たな魅力を見せてくれる彼女。だくさんの可能性の結実とさまざまな化学反応が起きた新作アルバム『TIME』を引っ提げてのツアーでは、想像を越えていくミュージックスケープが展開されていきそうだ。
ライヴは一番自分らしくいられる 音楽を続けていく意味をくれる場所
──家入レオというアーティストにとって、“ライヴ”という場、空間、そこに広がる風景はどういう存在なのでしょうか?
家入レオライヴは…活動していく中で、自分が一番自分らしくいられる場所ですね。そして、音楽を続けていく意味をすごくくれる場所でもある気がします。
──“音楽を続けていく意味をすごくくれる場所”とおっしゃいましたが、例えばレコーディングやテレビ出演、イベントなどいろいろな場がある中で、それをライヴに強く感じるのはどういうところが大きいのですか?
家入レオ歌うということについては、違いはあまり持っていないんです。全部同じ心意気で臨んでいるので。ただ、同じ歌を歌っていくわけじゃないですか。今回のツアーも全部で12公演あるんですけれど、セットリストもほぼ変わらない…同じ歌詞で同じメロディーで歌っていく。でも、同じ曲でもその日の私の心持ちだったりとか、環境、湿度…ちょっとしたことで二度と同じものが味わえないというのがすごくあって。それは私だけでなく、ライヴに来てくださる方、バンドメンバー、照明やPA、衣装、メイクを担当してくださっている人たち…みんなそれぞれの日常があって、そこからその会場に集結してくる人たちもそうだと思うんです。で、“もう二度と今日と同じことは起こらないんだな”って思うと、それぞれの尊さを感じますし、全部が当たり前じゃないってその都度教えてくれる場所でもあるなって。
──同じセットリスト、同じステージセット…その条件、時代は変わらないけれど、たしかに空気、湿度感、もちろんその日に出会う人たちのテンションによって変化しますものね。
家入レオそう、同じ条件だからこそ違いが分かるんですよね。“あ、今日はこの曲がみんなに受け入れてもらえた”とか、“この間と違ってここでみんな泣いたんだ”とか、“私、ここのゾーンですごくノッたな”とか。それに、同じことをするからこそ自分のコンディションの違いも分かるし。うん、やっぱりライヴっていいなーと思います。だから、ファイナルが近くなればなるほど、“なんでもっと本数組まなかったんだろう?”って毎回思うんですよね。
──ツアー毎にご自身の心境の変化があると思いますけれど、これまでのツアーを経て一番変化したところというと?
家入レオ昨年のZeppツアー…ツアーっていうほど本数はなかったんですけれど。バンマスに本間昭光さんを迎え、ドラムに玉田豊夢さん、ベースに足立貴史さん…今のJ-POPのシーンを作っていらっしゃる方たちとご一緒できた時に、“自分の歌のノリ方がこんなに違うんだ!?”というのを実感しまして。すごく本能的に歌える自分に出会えて、“頑張らなきゃ”とかではなく“本当に歌いたいんだ、自分”っていう突き上げてくるような感情に改めて出会うことができて。で、その瞬間にまた“あ、次に向けて自分はこういう宿題をもらったな”ということも感じられました。
──やっぱり前回バンドメンバーを一新したというのは大きかったんですね。
家入レオ大きかったですね。学生だと、6年、3年、3年、4年ってガラッと環境が変わるというのが自動的にやってくる。だけど、この仕事をしていると意外と変わらないんですよね。何かの総入れ替えとかなかなかないし。だから、近くにいるスタッフさんたちとかにどうしても家族感が出てきちゃうんです。それがすごく良い作用をもたらす時もあるんですけど、私はもっともっといろんな刺激を受けて貪欲になりたいと思っていて。そういう意味でも、バンドメンバーが変わったっていうのは、私にとってはすごく大きなことでした。今度のツアーは今回のアルバム『TIME』を作ったメンバーで回るんですけど、一緒に作品を作った人たちと回るのは初めてで。曲の解釈もどんどん深まっていくんだろうなって思っています。
──いちから新たに信頼関係を築いていくことは勇気もいると思うんですが。やはり5周年で日本武道館のステージを経験したことも大きな後押しになっているのでしょうか?
家入レオそうですね。“音楽って自我じゃないんだな”ってあのステージに立った時にすごく思ったので。自分で曲を作って歌うのはもちろん自我ですし、私は自分で自分のことを伝えていくこともすごく好きですけれど、そういう軸を持ちながらも“歌を魅力的に見せる”というところに徹するのもすごく好きなんだなって。自分の気持ちを歌うことと演じること、両方好きだということに魂レベルで気付いたのが、武道館公演だったかもしれないです。だからこそ、武道館後に出すシングルの「ずっと、ふたりで」で完全に楽曲提供というスタイルをとれたのかもしれません。
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