Hanah Spring　“歌うことは夢” 10年目の自信作『Dreamin’』誕生！オーディエンスと共に、共鳴し合うライブを誓う！

——ここからちょっと、男性には耳が痛い曲が続くんですよね。

うちの旦那と同じこと言ってますね（笑）。「NONO MAMA」は一緒にコーラスをしているTIGERさんが歌詞を書いてくれて。私はあなたのお母さんじゃないのよっていう。世界中の女性が共感する歌詞。私が自分の口からは言えないことを書いてくれたと思います（笑）。

──……ちょっとインタールードを挟みます。

タイトルは当時大好きだったマライア・キャリーが2000年にヒットさせた『Thank God I Found You』をヒントにデモを書いてて、デビュー前、エリカ・バドゥのオープニングアクトをやったときに歌った曲なんですね。未だにお客さんから音源化してって言ってもらうことがあるんですけど、作った当時の年齢の目線でリリックを書いていたので、大人になればなるほど、この曲の存在が遠くなっていって、ずっと置いてあったんですよ。でもサビだけ採用して、サトシさんのアレンジでリハモをしてもらって。メロディだけ同じで、どんどんハーモニーが変わっていくっていう大人っぽいインタールードになってます。このトラックは、ギターとベースとクラップと甥っ子達の声だけでオーガニックに作ってますね。

──そして、『Do U?』なんですが、＜初めてのバースデー／覚えてますか＞っていう歌詞があって。

案外、覚えてないから、こんなこと言われたら怖いって言われました（笑）。作曲はキーボードの宮川純くん。彼の結婚式で『Happysongtoday』を歌って、お礼に曲を書いてくれたんですね。だから、この曲は純が幸せになった、20年後、30年後の熟年カップルの姿を想像して描いてますね。

難しくなくて、カッコいいものができたかなって感じてます

──家族愛とも捉えられますね。ゆったりしたリズムの『ほほにキスして』も家族愛ですか？

この曲は、MISIAさんのツアーで東北を回ってる時期があって。ライブの次の日に福島の南相馬でアンプラグドライブをやって、被災されたおばあちゃんたちに歌を聞いてもらったことがあったんですよ。その時は、ジャズのスタンダードとか、おばあちゃんたちの世代でも知ってるであろう曲を英語で歌って。おばあちゃんたちはすごく喜んでくれたんですけど、『ぜひ日本語でも歌って欲しい』って言われたんですね。そうだな、日本語でも曲を書きたいなって思うと同時に、おばあちゃんたちはいろんな思いを伝えてくれて。『東京から来てくれてありがとう。私はお家も畑も流されちゃったけど、こうやって会いに来てくれて、歌ってくれて嬉しい』って言ってくれて。手をぎゅうって握ってくれたんですね。その手が、すごく力強くてあったかかったんです。それが忘れられなくて、東京に帰ってすぐにこの曲を作ったんですけど。

──とてもシンプルで強い言葉が並んでます。

優しさを大事にすることだったり、前向きな気持ちを伝え続けることが大切だったり。いろんなことを感じたんですけど、笑っていて欲しいっていう。今回の制作で一番感じたのは、音作りも含め、本質的な事や正直さを大事にしなきゃなっていうことなんですね。私は不器用だから、正直な気持ちじゃないとバレちゃう。その分、時間がかかっちゃったんですけど。

──最後にアコギを基調にしたバラード『君のいる場所』が収録されてます。明るい気持ちでスタートしたアルバムですが。

元になるメロディを佐々木潤さんがこのアルバムのために書いてくださっていて、この曲をどうしても完成させたいと思っていました。サトシさんが相談に乗ってくれて。『手紙を書くように歌詞を書いてみなよ』って言ってくれて。彼がずっと心に抱えていることなんですけど、サトシさんが10歳の時にお兄さんが他界してしまって。10歳くらい年が離れているお兄さんだったので、お兄さんが遺したギターを寂しくなると弾いて、ギターに救われて、今はギタリストになって。人生は本当に不思議なものだけど、サトシさんはずっとお兄さんに曲を書きたかったんですね。この曲は私が代筆させてもらった手紙というか。私だけの作品というより、サトシさんと二人の人生を込めた作品になりました。

──全11曲が完成して、ご自身ではどんな感想を持ちました？

難しくなくて、カッコいいものができたかなって感じてます。だけど何度も手を加えて、パッと聴いて伝わるように、丁寧に作り込めました。

全力で音楽を、夢の中で生きている瞬間を感じられるライブにしたいなと思ってます

──リリースライブも決定してます。

実はduo MUSIC EXCHANGEでのライブは2回目なんですよね。1回目はメジャーでのアルバムのリリースライブでしたが、その時は自分がやりたいことがわからなくて。だから、今回はもう一度チャンスをいただいたような気持ちでいるんですね。自分がこうあるべきだなっていうことを表現できるチャンスをいただいたなと思っています。アルバムの曲は全部やりたいですね。サトシさんが嫌がる『NONO MAMA』も。男子はみんな下向いちゃかもしれないけど（笑）。

──（笑）足を運ぶお客さんにメッセージをお願いします。

成長してる所をお見せできるように、期待していてください。歌もですが普段から演奏したり遊んでる仲間達と作る嘘のない音楽を楽しんでもらいたい。ライブではオーディエンスとミュージシャンは共鳴し合う関係にあるんですよね。みなさんには思い切り楽しんでいただきたいですし、私も全力で音楽を、夢の中で生きている瞬間を感じられるライブにしたいなと思ってます。

──ライブのタイトルを『Thank you! Thank you! Thank you!』にしたのは？

3月9日にやりますよっていう日程をみんなに覚えてもらうためにサンキュー（3・9）を連呼してまして。チケットも3900円なんで、ライブも（19時）39分に始めるかもしれないです（笑）。