一般的な解釈や固定概念とは真逆に伝えることが好き
──1曲目の「ショーベタ」はGOTRのパンク精神が赤裸々に出た、初期を思わせる曲になっていると感じました。
伊丸岡 まず1フレーズだけ歌詞をもらって、それを見て「ああ、なるほど。この歌詞なら疾走感なきゃまずいでしょう」と(笑)。音をつけて、また歌詞をつけてもらって、また音をつけて……というふうに作っていきました。
──“光”という言葉を掲げてここまでダークサイドを描けるのも、GOTRの強みというか。
千野 一般的な解釈や固定概念とは真逆に伝えることが好きなんですよね(笑)。表に見える部分ではなく、ひっくり返した部分を見せたい。ひねくれている……というよりは、面白いなと思えるものを作りたくて。“光にまみれて”という言葉だけのイメージは日差しであたたかいけれど、ジャケットは真逆。でもこれはネオンにまみれているとも言える。「モラトリアム」のイメージから生まれたジャケットですね。
──「モラトリアム」もウェットでありながら淡々とした雰囲気が作る孤独感がリアルで。
伊丸岡 これは全部歌詞が完成していて、それにまず1コーラス曲をつけて戻して。千野ちゃんは歌謡的なジャジーな曲をイメージして歌詞を書いていたらしいんですけど、歌詞を読んだとき僕はバラードだとしか思えなくて。サビはすごくマッチしたと思います。
千野 言葉が詰まっている早口な感じで歌う曲をイメージして歌詞を書いていたんです。だから返してもらったとき「すごく意外だけど、すごくいい!でもこのテンポでこの歌詞を全部使うとなると尺が8分超える!」と思って(笑)。テンポを上げるという案もあったんですけど、最終的に歌詞をだいぶ削るという方法に落ち着きました。それでも6分ちょっとあるんですけどね(笑)。
──千野さんはもともと女性目線の歌詞もよくお書きになりますが、どういうことが基準でそういう歌詞になるのでしょう?
千野 「モラトリアム」の歌詞は園子温監督の作品のようなドロッとしたものを書こうと思って書き始めたので最初から女性目線だったんですけど、書き出した歌詞に合う言葉が女性的なものだなと思うときにそうすることが多いですね。「私へ」はまさにそういう流れでした。やっぱり男性から見ると、女性は綺麗なイメージもあるし、寂しさも絵になるというか。
伊丸岡 情景が浮かびやすいよね。
千野 女性目線の歌詞を書くときは主人公の女性になりきって書く感覚というか。僕から生まれている言葉ではあるので、根本にあるのは自分なんですけど……いろんな考え方を真っ向から否定したくないし、俺の言うことが全部正義ですべてだと思いたくないから、ある程度違う考え方を想像して書くこともあります。……でもそれも自分のなかにあるものなのかな(笑)。
──千野さんの“心”と“言葉”の間に“女性”というものを立てることで、出てくるものがあるのかもしれないですね。ギターで言うエフェクター的な役割というか。
千野 うん、そうですね。そう部分はあると思います。
大人にはなりたいけれど、音楽をやっている以上はキッズの心は忘れずにいたい
──「かくれんぼ」や「Marble」のようなストレートなメッセージが込められた歌詞は新機軸です。
千野 僕自身もこういう歌詞が書けたのはびっくりしました。この2曲は亮太ががっつり作ってきてくれたデモに僕が詞を乗せたものなんです。曲先の場合は楽曲のイメージや雰囲気をランダムに書きだしていって、そこから歌詞を紡いでいくんです。この2曲はサビがキャッチーだから、そういうことも影響しているかもしれない。
──「Marble」はキッズがコピーしたくなる曲調だと思いますし。
伊丸岡 若い子たちががむしゃらにバンドをやっているような、キッズ目線の曲が作りたいなと思って。大人にはなりたいけれど、音楽をやっている以上はキッズの心は忘れずにいたいですよね。
千野 歌詞も青春パンクみたいですからね(笑)。今だから書ける歌詞だとも思います。昔は新宿Marbleで仲のいい同世代の仲間のバンドとよくイベントをしていたけど、そういう仲間がバンドを辞めるたびに悔しくてやりきれなくて――でも30になって子どもが生まれたという話もよく聞くようになって、「あいつあの道でがんばってるのかな。幸せでいてくれたらいいな」と素直に思えるようになった。だからこういうことをやっと書けるようになったのかもしれない。大人になって、いろんなことが許せるようになってきたのかな。
──“かくれんぼ”や“シャボン玉”という言葉もそうですが、千野さんは幼少期のモチーフを歌詞に用いることが多いと思うので、「Marble」も近い意味合いがあるのかもしれませんね。
千野 ああ、そうかもしれない。未来は想像することしかできないから、リアルなことを書くとなると、過去のことしかないと思うんですよね。あと、窓を開けたときに「ああ、懐かしい!」と思ったり、子ども時代の自分には無敵感があったのにいまの自分は走れてるのかな?と思ったり……ああいう言葉にできない感覚が好きで。だからこそ明るいことや希望、力強く踏み出そうとするときに、そういう無敵だった時代の自分をモチーフにした歌詞を書こうと思うのかも。
伊丸岡 「Marble」で書かれているときの俺らは、とにかくがむしゃらだったしね(笑)。
千野 いまもがむしゃらだけど、当時はとにかくがむしゃらだったね(笑)。配ったフライヤーが道に落ちてたり、お客さんも2桁いかなくてフロアは出演者だらけ。地方に行ったときは漫画喫茶すら泊まれず車中泊……。いま考えると超つらくて戻りたくないけど(笑)、そういう時代を過ごした経験は糧になっていますね。
伊丸岡 うん。財産はいっぱいあるよね。
──自主レーベルでの活動も、いろんな財産が生まれるでしょうね。だからこそ『光にまみれて』というエモーショナルな作品が生まれたのでしょうし、ツアーもそういうものになるんだろうなと思いますし。これからのソングライティングにも影響してくると思います。
千野 確実にそうですね。活動環境は意識しないところで自然と曲やライブにも反映してくると思います。
伊丸岡 ツアーの東京公演は六本木のEX THEATERで。キャパシティに左右されず掌握するイメージでライブをしているので、すごく綺麗なあの会場を地下の洞穴みたいなライブハウスにできたらいいですね。各地で会場に合わせた演出もしようと思っています。
千野 EX THEATERくらいの広さでも、いちばん後ろの端っこのひとりにまでちゃんと感情が伝わる、キャッチボールできるようにしたい。小さいライブハウスと同じように突き刺していきたいですね。もともとライブでも一人ひとりのお客さんを全員見たいという性分があって。それぞれの生活があって、自分と同じように悩んだり苦しんだりしていて、同じ場所にいる――そういうものを大事にしたい。『光にまみれて』はそれがより強く出た作品なので、ツアーもだいぶエモーショナルになると思います。心構えしておいてほしいですね(笑)。
伊丸岡 今回のツアーは、みんなもうちょっと暴れてもいいですよ(笑)。
千野 ははは!みんなそれぞれ自由に楽しんでもらえたらうれしいですね。
千野&伊丸岡の「初めて行ったライブ」「人生で初めて立ったステージ」
コラム記事を後日公開!
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